OB・OGインタビュー
Catch the Dream - 夢をかなえる力

2021/07/16更新

Vol.079

常葉大学造形学部
講師 村井貴さん  前編

本当の学びは“外”にある
教科書ネットから飛び出して
外の景色を見に行こう

村井 貴 (むらい たかし)

岐阜県高山市出身。大学でフランス文学を学んだ後、ウェブデザイナーとして複数の企業に勤める。会社員生活を送りながら、産業技術大学院大学にて創造技術修士を取得。その後、北海道大学CoSTEPに特任助教として着任し、サイエンスカフェの企画や大学広報に取り組み、2020年に常葉大学造形学部へ移る。北海道大学エクセレント・ティーチャーズに4年連続で選出、グッドデザイン賞、キッズデザイン賞、朝日新聞社 朝日VRアワード 自然部門賞など受賞歴多数。編集統括を担当した著作に『北大キャンパスガイド』(北海道大学出版会/2021年3月発行)がある。

ウェブデザイナーとしての実務経験を活かし、大学で情報デザインなどを教える村井貴さん。活動範囲は学内にとどまらず、サイエンスカフェを開催して「サイエンスコミュニケーション」を推進するなど、学生、専門家、地域の人々をつなぐ“場”をデザインされています。会社員からキャリアチェンジして教える立場になり、子ども時代に公文式で学んでいたことが役に立ったと振り返る村井さん。どんな点が有益だったのでしょうか。現在のお仕事につかれることになったきっかけや、サイエンスコミュニケーションを実践する意義などについてもうかがいました。

モノだけでなく“コト”や“場”をデザインし
大学、研究者、地域をつなぐ

村井貴さん

私は現在、常葉大学造形学部で「情報デザイン」、「メディアデザイン」、「サイエンスコミュニケーション」などを教えています。造形やデザインというと、対象はモノだと思われがちですが、近年は“コト”のデザインが着目されていて、「社会の課題を発見したり解決したりすること」がデザイン教育に求められています。

例えば私のゼミ生は、「ロダン体操」(フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの彫刻のポーズをとって芸術を楽しむ体操。現代美術家の高橋唐子さんが制作)に着目して、今まで明らかになっていなかった高齢者の介護予防体操としての効果を明らかにしました。また、海洋プラスチック問題をグラフィックデザインでわかりやすく紹介して市民に問題意識を持ってもらう展示を企画した学生もいます。

もう少し、私の専門を説明しましょう。「情報デザイン」の代表例としてウェブデザインがあります。私は大学時代にウェブサイトの制作に出会い、会社員時代に実践的なスキルを積みました。これが私の専門の軸となっています。

「メディアデザイン」は、様々な媒体のデザインです。ウェブもそのひとつですし、近年私がよく手がけているイベントのデザインやSNSによる大学広報などもここに含まれます。「イベントのデザイン」とは、端的にいうと「イベントの企画」です。どのようなテーマにするか、どんな人をゲストに招くか、どの会場にするか、イベント告知のためウェブサイトやフライヤーなど紙媒体はどうするのか、これらは全てメディアデザインの範疇です。私はよく「“場”のデザイン」といったりします。

サイエンスコミュニケーションは「科学を専門家のものだけにするのではなく、広く市民に伝えて、一緒に考えていくこと」です。それを実現する具体的な手段として行われているのが「サイエンスカフェ」です。

簡潔に説明すると、専門家と非専門家が対話形式でひとつのテーマを気軽に語り合う場です。サイエンスカフェは、社会を多様な視点で捉えていくことができるようになるだけでなく、市民目線の声を交えることで、専門家だけのものになりがちな動きを牽制する役割もあります。

非専門家の中にも多様な意見があります。そうした中で、「こうしよう」「この意見がいいよね」と押し付けるのではなく、「こういう意見もあるんだね」と他者の声に耳を傾けることがとても大事だと思っています。

家族や友人に話したくなる、わかりやすさ

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