OB・OGインタビュー
Catch the Dream - 夢をかなえる力

2014/08/01更新

Vol.012 棋士(囲碁九段) 山下敬吾さん  前編

囲碁おもしろさ
考えても考えても
よくわからないところ

山下 敬吾 (やました けいご)
1978年、北海道旭川市出身。小3でプロを目指し上京。1993年に入段し、1998年には第23期新人王戦で優勝、初タイトルを獲得。2003年、第27期棋聖戦で棋聖位を獲得し、九段昇段。2010年には第65期本因坊戦を制し、「本因坊道吾」と号す。続く2011年には第38期名人戦にも勝利、史上7人目の「名人・本因坊」となる。

小学2年生のとき全国少年少女囲碁大会で歴代最年少優勝、そして15歳でプロの世界へ。今や日本を代表するプロ棋士となった山下敬吾さん。「正解がない」という囲碁の世界で、山下さんが目指す“進化”についてうかがいました。

囲碁の学びの場が教えてくれた、人としての礼儀

プロの世界の厳しさを垣間見たのは、小5で「院生」というプロ棋士の養成機関、将棋でいう奨励会のようなところに入った時期ですね。小2で大会で優勝して、地元では「小学生天才棋士」と呼ばれ、自分でもちょっと勘違いしていた時期もあったのですが、東京には強い人がたくさんいて、なかなか勝つことができませんでした。「やっぱりそんなに簡単に勝てる世界じゃないんだ」と、かなり身に沁みました。

上京してすぐ、私は緑星囲碁学園(以下「学園」)という囲碁の学校(教育機関)に通いはじめました。この学園は本来プロを育てる学校ではないのですが、結果として多くのプロがそこから輩出されています。また、囲碁の技術的なことよりも、人間形成や礼儀作法などを重んじるところでもありました。ですので、私もたくさん叱られましたね。

今でもはっきり憶えているのは、旭川と東京では大きく環境が違い、囲碁の勉強にまったく身が入っていなかった私に、学園の先生が言った言葉です。「旭川にいるお父さんの気持ちになって考えてみろ」。これは効きましたね。裕福な家ではないのに、遠く離れた東京に住む私を父は養ってくれている。それがきっかけになって、「しっかり囲碁の勉強をしなきゃ」という意識に変わりました。「プロを目指そう」という目標をもちました。家族と離れて暮らすという厳しい決断をしてくれた父に、私は何ができるのか。両親の思いの深さは今になってやっと分かるようになりました。子どもがやりたいということを最優先で考えてくれたことには本当に感謝しています。

上京してから二十歳くらいまで、学校が終わったあと、私はほとんどを学園で過ごしました。学園は何かを教えるというよりは、子どもたちに囲碁の勉強の場を提供しているところ。対局するだけでなく、人の試合を見て学んだり、何人かで集まって研究し合ったり。教えてくれるのを待つのではなく、課題を自ら見つけて取り組まないといけない場所でした。ここで多くの友人もできましたし、ふつうの人の青春とはだいぶ違うかもしれませんが、僕にとっての青春時代はこの学園にあります。


 

   

後編のインタビューから

– 大きなタイトル戦の緒戦で3連敗。山下さんはどう対処したのか?
– 何歳になってもタイトル戦に出られる力を持ち続けるため、山下さんが心がけていること
– 「対局に負けても、考えても考えてもよくわからない囲碁。だからこそ、囲碁は楽しい」

 

 

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