OB・OGインタビュー
Catch the Dream - 夢をかなえる力

2014/01/10更新

Vol.005 ロボットクリエイター 高橋智隆さん  前編

 “1人1台ロボットと暮らす”を
挑戦試みを積み重ねて
具現化する

高橋智隆 (たかはし ともたか)
1975年生まれ。昨年、世界で初めてコミュニケーションロボット『キロボ』(トヨタ自動車・電通との共同開発)が宇宙に到達。ロボカップ世界大会5年連続優勝。米TIME誌「2004年の発明」、ポピュラーサイエンス誌「未来を変える33人」に選定。『エボルタ』によるグランドキャニオン登頂、ル・マン24時間走行等に成功しギネス世界記録認定。現在、(株)ロボ・ガレージ代表取締役、東京大学先端研特任准教授、福山大学/大阪電気通信大学客員教授、ヒューマンキッズサイエンスロボット教室顧問。

デザインや構造、プログラム、部品の加工まで、ロボット開発にまつわるすべてを束ねる「ロボットクリエイター」の高橋さん。京都大学工学部を卒業し、株式会社ロボ・ガレージを創設。ロボットが人間のパートナーとなり得る未来に向け、より身近で親しみやすいモデルを発表し続ける彼の描く将来と、その礎となる幼少期についてお話をうかがいました。

10年後にはロボットがスマホ代わりになるかも?

ロボットを取り巻く環境は2013年に入って大きく変わりました。シリコンバレーをはじめ、世界的な流れとして、ITに続く革新はロボットだろうといううねりが起きています。この10年、様々なサービスや製品がパソコン等の画面内で完結するようになり、場所を取り、メンテナンス等維持費が掛かり、自動アップデートができないような実体のある機械製品を所有することは合理的ではないと考えられてきました。例えばCDを買って音楽を楽しむ代わりに、音楽データをダウンロードするようになり、更にはデータすら所有しないで随時ネット上のデータにアクセスするようになりました。しかし、今やどんな美しいコンピューターグラフィックス映像を見ても感動しなくなり、どんな便利なアプリにもお金を払おうと思わなくなってきています。我々はバーチャルな世界での出来事に急速に興味を失いつつあります。そして、代わりに、実体のある物を個人で所有し、愛着を持って長期間使用したいと思うようになってきたのです。そんなバーチャルからリアルへの揺り戻しが世界的に起きていて、それが昨今の3Dプリンタを使ったメイカーズブームや、ロボット分野への参入につながっているのです。

かつて日本にも何度かロボットブームが起きました。しかしどれも万博開催等、国内の事情からでした。そこで開発されるのは、巨大で無骨な、とても身近に感じられないようなロボットばかり。ところが昨今のスマートフォン(以下「スマホ」と表記)の普及により、小型の情報端末を携帯し続ける習慣が根付き、機械と人の距離は急接近しました。ただ、スマホにも限界が見えてきています。アップルを筆頭に少数の企業が消耗戦を繰り広げる状態で、すでに各社は次の形を模索中です。

例えばiPhoneが成功した理由には、より使いやすくしたインターフェースがあり、その象徴がタッチパネルです。そして、次世代のインターフェースとして期待されていたのが、精度の高い音声認識機能です。しかし実際には音声認識はあまり活用されていません。なぜなら、このような四角い箱に話しかけることに心理的な抵抗感があるからでしょう。一方で我々はペットの金魚やカメ、クマのぬいぐるみにすら話しかけたりします。なので、音声認識を搭載し、人のような外観や動きを持った小型ロボットが実現すれば、人は自然に会話をすることができるはずなのです。5年前であれば、そのような会話は暇つぶしや癒しくらいの意味しかありませんでした。ところが今の時代、会話をすること自体に大きな価値があります。現在、ほとんどのITサービスが利用者の好みやライフスタイルといった情報を収集し、それに合わせた情報や商品の提案をおこなっています。ロボットとの日常的な会話によって、より良質な情報を収集し、より精度の高いサービスを返してくれるようになるでしょう。

そんなヒューマノイドロボット普及に必要なのはデザインです。外観のみならず、動きや発話内容、サイズなど、全てのデザインをバランス良く整える必要があります。現在既にそんな情報端末としての小型ヒューマノイドロボットを発売すべく、大規模プロジェクトを進めています。きっと10年以内に1人1台の時代が実現すると考えられ、それはひょっとすると更に早まるのではないかとすら感じています。

関連リンク
ROBO GARAGE | ロボ・ガレージ

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