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Vol.078 2024.06.28

学校法人智辯学園理事長
藤田清司さん

<後編>

ひとりの生徒との出会いがつないだ
公文公会長親子との交流と
スポーツコースへの公文式国語導入

学校法人智辯学園理事長

藤田 清司 (ふじた きよし)

和歌山県生まれ。学校法人智辯学園理事長。2000年智辯学園和歌山中学高等学校第二代校長に就任。2009年学校法人智辯学園第三代理事長に就任。現在に至る。主な公職として和歌山県並びに奈良県私立学校審議会委員、和歌山県では審議会会長。また和歌山県私立学校連合会会長も務める。

春夏合わせて4度の甲子園優勝経験のある智辯学園和歌山高等学校は、東京大学や京都大学をはじめとする難関国立大学や医学部受験に高い現役合格率を誇る県内随一の進学校でもあります。スポーツコースの生徒は約30年前から、公文式国語を授業の一環として導入しているという同校。導入を決めた藤田清司理事長に、公文式の効果や、創始者である公文公(くもん とおる)元会長や公文毅(くもん たけし)元社長との交流についてお話しいただきました。

目次

ゴールに向かってコツコツ進むカメであれ

最近は、すぐに結果を求める子どもが増えてきていると感じています。これは勉強にもスポーツにも当てはまるような気がしています。本校の野球部は少数精鋭とよく言われるのですが、この中でレギュラーになるというのは大変にハイレベルな争いで、2年生ぐらいで諦めかけてしまう生徒が出てきてしまう。

藤田 清司(ふじた きよし)

そんな子どもたちに私は『ウサギとカメ』の話をするんです。「なぜウサギはカメに負けたのか? よく考えてみなさい、今の君とウサギは同じ状態だよ」と話します。ウサギがカメに負ける理由は、ウサギはカメしか眼中にないからなんです。自分より遅いカメを見て安心してしまっている。一方で、カメはウサギを見ていない。ひたすら目標のゴールだけを見ている。そしてゴールに向かってコツコツコツコツ進んでいく。

だから悩んでいる子には、レギュラーになりたいなんていう目先の目標だけを見たり考えたりするのではなく、大学で活躍している姿やプロ選手になっている姿などもっと先の未来を思い描いてコツコツ練習しなさいとアドバイスします。身近な周りだけを見てその中でもがき苦しむのではなく、未来を見て、その未来のために何をすべきかを考えて新しい自分を創り上げていきなさいと伝えるんです。

これは勉強でも同じことです。就職しても数年で辞めてしまうケースも増えているようですが、これも周りしか見ずに結果を求めてしまうからではないでしょうか。もっと未来を見据えてもらいたいですね。

そのためには、「絶対にこの大学に行く」「こういう仕事に就いてリーダーを目指す」といった明確な目的、目標設定が必要です。近年は家庭でも学校現場でも、嫌なことはやらなくていいよ、好きなことをやればいいよという甘さがあるように感じています。

本校では入学したばかりの中学1年生に決意表明させて、自分の目的、目標をはっきりさせます。そのための学校に来ているのだから勉強するのが当たり前です。その上で、ロボットコンテストや科学オリンピックに挑戦したいという生徒は、学校をあげて積極的に協力します。最近は独特の考え方や行動力を持った生徒も増えてきて、驚かされることもありますよ。

一方で、少子化が進んでひとつの家庭の中の子どもの数も少なくなってきているからでしょうか、少ない子どもに対して目いっぱいの愛情を与えるあまり、すべてを抱え込みすぎている保護者の方が増えているという印象です。うまく行かないことがあると、すべて学校が悪いとしてしまう風潮も感じます。背景にはコミュニケーション不足が考えられますね。私は子どものためにとことん話し合い、心を通じ合わせることが不可欠だと考えています。

本校は「三位一体の教育」を掲げています。志の高い子どもと、子どもを愛する保護者、それを支える熱心な先生、この三者がスクラムを組まなければ子どもの成長は得られません。このことは常に意識していたいと思っています。

生きるための選択肢を作る方法が「学び」の真髄

私が考える「学び」とは、生きる手段、自己成長の手段です。多くの生徒が一度は、「なぜ勉強しないといけないのだろう」と悩む時があるでしょう。「生きるための選択肢を作る方法だよ」というのが私の答えです。

最初にお話したように、リーダーシップを取るためには専門的な知識や卓越した技術が不可欠です。これらは勉強しないと獲得できないものだと思います。AIや高度な知識や技能を有している外国人材と競い合っていかなければいけない今の時代、勝つためには学びに裏打ちされた学力が必要だというのは当たり前の話ではないでしょうか。

そして、公文式は幼児期から始められる学びの一環として、非常に良い教育だと私は考えています。おかげさまで3人の息子全員がそれぞれの第一志望校に合格しましたが、その土台を作ってくれたのが公文式だと感謝しています。3人とも小学低学年からスタートして中学に上がるまで公文を続けましたが、次男が国語の最終教材まで修了したのはうれしかったですね。泊先生が一生懸命指導してくれたおかげです。わが子が進度上位者として表彰されている姿に感動しました。

ただ、公文式を続けていくのは楽ではないですよね。子どもたちが遊びたい盛りの年頃ですから。毎日決められた時間に公文に取り組むのが嫌で教材を隠したり、教室で三兄弟が喧嘩して大暴れしたり、といろいろありました。公会長と毅社長のエピソードではないですけど、続けるためにはやはり親子の絆は必要です。

藤田 清司(ふじた きよし)
家族団らんでの一コマ

わが家で効果的だったのは「ナイフとフォークの夕食会」でした。兄弟の誰かがひとつの教材を終えて進度が上がると、妻が自宅でちょっと小洒落た洋食を作るんです。そして家族全員で夕食を囲んでお祝いする。「おめでとう」「よく頑張ったな」などと声をかけながら、みんなの前で父親である私が「お疲れさま」のスタンプを壁に貼った表にポンポンポンと押していくというちょっとしたイベントを開いていました。

兄弟たちはそれを見て、「次は僕の番だ!」と良い意味での競争心が出ていたと思います。家族みんなが支え合っている感じもして、これはなかなか効果的でしたね。妻もよく協力してくれたと思います。

そんな息子たちも今では全員が教育者となり、また家庭では父親としてそれぞれの子どもたちを教育しているようです。このように公文式との思い出話は尽きないほどありますが、これもすべて泊先生との出会いのおかげですね。それほどにインパクトの大きい出会いでした。

本校の在校生にも公文式の経験者が多いのですが、公文式の良さは教材の質の高さだけでなく、集中力や根気が養われること、それから指導者と親との連携にあると思います。これらすべて、後々にものすごく良い影響を与えてくれるものなので、これからも公文と手を取り合って協力体制を築いていきたいと考えています。

「リーダーシップの輪」というものを和歌山から世界中に広めたい

2028年4月、智辯和歌山は50周年を迎えます。最初にお話したように、本校では知力の徹底的訓練と豊かな人間性の育成を二本柱にして40余年、和歌山の地で教育に取り組んできました。宗教を柱とした心の教育は永久的に変わらないものである一方、時代は速いスピードで変化し続けています。

藤田 清司(ふじた きよし)
色紙の言葉 「和して同ぜず」(和而不同 )

AIが人間の知能を追い越し、人間の予測不能なことが起こるとされる「2045年問題」がメディアなどで取り上げられていますが、今の子どもたちは甘い認識でいるとロボットに支配されかねないのではないでしょうか。そうならないために何をしていかなければいけないかということをしっかり考えながら中高の6年間を過ごす必要があります。

具体的には、学力を最大開発してAIを扱う側の人間、そしてロボットにはできない、心を通い合わせてリーダーシップを取れる人間になることを子どもたちには意識してもらいたいですね。

これはつまり、今までの智辯学園の教育をさらに強化していくということです。今でも全国から多くの学校が本校をモデルにしたい、智辯のやり方を踏襲したいと言って視察に来てくれます。しかし、視察を終えるとみなさん、「理想の教育すぎて真似することは無理だ」とおっしゃいます。奈良の開校から50年かけて一つひとつ積み重ねてきた教育だからだと自負しておりますが、これからも理想を追い求め続けることに変わりはありません。

智辯和歌山の50周年に向けて、智辯の教育を完成に近づけていくことを目指しています。ICT、グローバル、SDGsなども取り入れて、50周年に竣工予定の新校舎で未来型教育を進めていきます。そして、「リーダーシップの輪」というものが和歌山から全国、そして世界中に広がって欲しい。それが理事長としての私の夢です。少しずつその夢の実現が近づいてきているのかなと感じているところです。

前編を読む

 


 

 

前編のインタビューから

-一流の仕事人、リーダーを育成する智辯学園の教育
-ひとりの生徒との出会いが広げた公文とのご縁
-智辯和歌山のスポーツコースで公文式国語を導入したわけ

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