江戸時代の人の目線になってみるとおもしろさが倍増!
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では、江戸時代に庶民に広く普及した浮世絵を例に、「日本美術のおもしろさ」とは何かということをご説明しましょう。私は浮世絵は「物語る絵画」だと思っています。その時代のさまざまな人たちが、さまざまな感情を抱えて生きる等身大の姿が描かれていて、いろいろなドラマが展開されています。
どんなドラマが描かれているのかを読み取るには、当時の風俗、たとえば髪型、服装などを知ることが必要で、そこから年齢や性別、身分などを読み解くことができます。例をあげると、描かれた「男性」が成年か少年か見分けるには、髪型がヒントとなります。浮世絵が流行った江戸時代では、おおよそ月代(さかやき:ひたいから頭の中ほどにかけて髪をそった部分)があれば成人男性、前髪が残っていれば少年と言えます。そうやって江戸時代の人の目線に近づくことができると、作品がぐっとおもしろく見えてきます。
当時の文化、風俗を知ると興味が増すのは、海外を知ろうとする時、現地の風習を理解すればより親しみを感じるのと同じです。浮世絵は海外からも大変注目されています。私が解説をお手伝いしている「くもん子ども浮世絵ミュージアム」のウェブサイトも、海外からのアクセスが増えています。ウェブなのでどこででも見られるのがポイントですし、検索機能が充実しているので、自分の興味に沿って見ることができるのも嬉しいです。
近年、授業でもこのサイトをご紹介することが多くあります。学生のレポート制作に役立っているようです。KUMONで学ばれているお子様や保護者の方にも、ぜひこのサイトを見てみていただきたいですね。その際、江戸の子どもと現代の子どもの共通点を探してみてください。「こんなに違う」というより、「こんなに似ているんだ」という視点で見ると、江戸と現代のつながりがわかり、おもしろいですよ。