17歳で偶然みた浮世絵に衝撃
10代の体験が自分の興味を引き出すきっかけに
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絵を描くことが好きだった私は、子どもの時から油絵を習い、将来は美術系に進みたいと考えていました。中学、高校時代は、美術部や演劇部に所属。大学では美術部に加え、友人とバンドを組んでボーカルを担当したりと、表現することが大好きでした。いまでも、私の授業はパフォーマンスみたいだなんて言われています(笑)。興味を持って聞いてほしいという想いの根っこは同じかもしれませんね。
最初は印象派など、西洋絵画が好きでしたが、17歳のころ、印象派の展覧会に行ったとき、会場に展示されていた浮世絵の鮮やかな色彩とデザインに衝撃を受けました。私の好きな印象派の画家たちが、実は日本の浮世絵の影響を受けていたことを、そこで初めて知りました。同時に、「美術史」という学問の存在も知りました。
その頃に出会った浮世絵に、鈴木春信の「風流四季哥仙 二月 水辺梅」という作品があります。夜、少年が梅の木の枝を折ろうとし、横にいる少女がそれを見守っているのですが、少女は石灯籠に振り袖の袂をかぶせて明かりが漏れないようにしています。内緒の「恋」を描いた作品だと気づき、江戸時代の人も、少女漫画をみるような気持ちでこの絵をみていたのかなと思ったとき、時を超越し、江戸と現代が繋がる感じがしたのです。
以来、浮世絵や江戸風俗の虜に。学校帰りに歌舞伎座や国技館にも足を運んでいました。現在役者絵を研究している妹と一緒に通いましたが、10代のそうした経験が、自分の興味を引き出すきっかけになったのだと思います。
ところで、私は「色」にも興味がありました。私の名は「紫」、妹は「茜」。これは祖父が研究者としてフィルム会社で色の開発に携わっていたことが影響しているように思います。名前も日本的ですし、せっかくなら日本の美術史を研究してみようと考えました。中でも当時、研究者が今ほどは多くなかった浮世絵に惹かれ、「おもしろいかも」と直感しました。
その頃は、日本のことを知ることが、世界を知ることにもつながるのでは、と感じて、日本美術を通して、海外に日本のことを紹介できる仕事がしたいと思いました。また日本にいながら日本の良さに気づかないこともあるので、次第に、それを国内から発信していきたいと考えるようにもなりました。
私は幼稚園から大学院まで学習院で学びましたが、幸運にも学習院大学には、浮世絵研究の大家である小林忠先生(学習院大学名誉教授、岡田美術館館長、国際浮世絵学会会長)がいらっしゃいました。小林先生の元で学びたいと、迷わず文学部哲学科に進学。大学3年生のときには「もっと研究をしたい」と、大学院に進むことを決めました。

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