「子ども浮世絵」を通してリアルによみがえる江戸期の子ども文化
KUMONでは1986年から子ども文化の研究を目的に、江戸時代以降に描かれた「子ども浮世絵」「巻物」「屏風」「絵本・古書」、そして江戸時代の寺子屋で使われていた教科書である「往来物(おうらいもの)」などの蒐集をスタートしました。現在、約3,200点を所蔵しています。
そして、2013年4月1日より、その研究成果もふまえ、所蔵する「子ども浮世絵」を中心とした浮世絵・版画などすべての所蔵作品が閲覧できるウェブサイト『くもん子ども浮世絵ミュージアム』を開設しました。国内だけでなく、海外からも多数のアクセスがあり、「浮世絵1枚からでも江戸時代の子どもたちの育ちや遊びがリアルにわかりますね」などの嬉しいメールもいただいています。
江戸時代の子育てから学ぶこともたくさんある
これまで、所蔵作品は教科書や専門研究誌などに掲載されたり、美術展などに出展協力をしてきました。例えば、この7月~9月に三井記念美術館(東京・日本橋)にて開催された『大妖怪展―鬼と妖怪そしてゲゲゲ』は5万人以上の入館者があり、大盛況のうちに終了しました。KUMONからも歌川国芳が描いた、巨大な骸骨が印象的な『相馬の古内裏』を含む子ども浮世絵6作品を出展。また、同時期に横須賀美術館(神奈川・横須賀)にて開催された『日本の妖怪を追え!展』にも3作品を出展しました。
こうした美術展からの出展依頼やその準備を通して作品を見つめ直してみると、私たちがあらためて学ぶこともたくさんあります。例えば子ども浮世絵には、子どもたちの遊ぶ姿、あいさつをする姿、学ぶ姿など、あふれんばかりの姿が描かれています。彼らの姿をじっくり見ていると、江戸という時代の社会情勢や世相とともに、子どもたちの本来あるべき姿が見て取れます。そして、それはそのまま、現代のわれわれ大人が子どもたちをどう見守っていけばよいかを教えてくれているような気がします。
これからの出展協力 (9月末時点で確定しているもの)
那珂町馬頭広重美術館(栃木)
『天下を巡る男たちの戦い-城と武将-』開催中
前期:9月14日(土)~10月20日(日)
後期:10月25日(金)~11月24日(日)
現代のボードゲームのルーツである歌川芳員が描いた絵双六『甲越勇将寿語録』や武者絵など7作品を出展協力しています。
小山市立博物館(栃木)
開館30周年記念特別展「宇宙(そら)と人の物語」
前期:10月5日(土)~10月26日(土)
中期:10月29日(火)~11月19日(火)
後期:11月20日(水)~12月8日(日)
一勇斎国芳(歌川国芳)が描いた『雅遊五節句之内 七夕』など、七夕にちなんだ6作品を出展協力しています。