まず「自分がどう生きたいか」を考えることが大事
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これまでお話ししてきた歩みの中で、私は将来についてあまり具体的には考えていませんでした。普通の高校生なら持たないような疑問をたくさん感じていたので、「自分は多くの人と同じようには生きていけない人間だ」と高校時代から認識していたからです。
結果的に、「労働経済」の研究者となり、いまこうして振り返ると、一本につながっていることがわかりますが、これは運良くつながっただけでしょう。進路指導で、「あなたが抱いている疑問に応えてくれるのは、こういう分野だ」などとは誰からも一度も言われませんでしたから。私の経験を踏まえて、子どもたちの進路指導やキャリア教育に携わる方々には、まずその子が何をしたいか、何にこだわっているかをじっくり聞いてほしいと思いますね。
いまの学生たちを見ていると、多くはとにかくまじめでいい子たちですね。一方でとにかく反発する少数派の学生たちもいます。つまり与えられた環境にできるだけ順応するか、すべてを拒否するかの二極化している。本来、「自分がどう生きたいか」を考えることがまず大事で、そう考えると順応するか、拒否するかの二者択一ではなく、与えられたことの一部は取り入れ、一部は取り入れないというように、さまざまに組み合わせていくことができると思います。しかし、そのような選択をしている学生はあまり見かけません。ちゃんと自分で考えているのかな、と心配になります。
日本はまだまだ守られた温室のように感じられるかもしれませんが、グローバル化が進む今、「日本だけで生きていきますから」とは言っていられません。日本企業は海外進出するだけでなく、海外企業に飲み込まれる状況です。ですから、私は学生たちにはなるべく早く外に出ろ、と言っています。外の世界を知ることで意識を変えてほしいと思っています。