スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2014/05/23更新

Vol.009 地震学者 大木聖子先生  前編

夢中努力に勝る
夢中になれるものを見つけよう

大木 聖子 (おおき さとこ)
北海道大学理学部地球惑星科学科卒業、東京大学大学院理学系研究科にて博士号を取得。国内外での研究員、東京大学地震研究所助教を経て、現在は慶應義塾大学環境情報学部で准教授を務める。著書に『地球の声に耳をすませて』(くもん出版)など。

高校1年生のときにテレビで阪神・淡路大震災の惨状を見て以来、地震学者を志し、「同じ悲劇をくり返さない」と決意した大木聖子先生。大学で地球科学や防災学などを教える一方、幼稚園や小中学校に赴いての防災教育も精力的に行っています。「夢を叶えた」かに見える大木先生ですが、ご本人曰く、「まだまだ学究の徒の入口です」とのこと。どのように道を選び、学びを突き詰めてきたのでしょうか。また、「教育者」として人を育てる醍醐味についてもうかがいました。


「IT×防災」「ダンス×防災」さまざまなアプローチで、学生たちとともに防災を発信

その防災教育のための教材や教え方を考えたりするのが、現在の私の研究テーマのひとつです。一方で、学校の先生方向けに研修を行ったり、実際に小中学校の教室に赴き防災授業をしたりと、防災教育の実践にも力を入れています。

大学では地球科学と防災の講義を担当し、自分の命だけでなく、周りの人の命も救えるスキルと心を身につけることを目指しています。慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスには、総合政策学部と環境情報学部がありますが、文系・理系といった区別意識はなく、学生はどの学部の講義も履修できて、教員も、都市計画・環境・IT・医療など、さまざまな分野の専門家がいます。防災学そのものが、いろいろな切り口がある学際的な学問なので、学生たちの学び、自身の学びを考えたとき、今この環境は私にとってベストです。

たとえば「高台への避難の道順を確認しなくちゃ」「食糧を備蓄しなくちゃ」と思っていても、実行しない防災。「ガン検診に行かなくちゃ……でも病院に行くのは面倒だなぁ」と、検診を受けるという行動をしない。この2つは、とても似ていると感じています。そんなとき、健康や医療を専門とする教員がすぐ近くにいれば、「そうした人を動かすためにどうしているか?」と、アプローチ法を聞くことかできます。地震学者だけといった同分野の専門家のコミュニティだと、なかなかそうはいきませんが、異分野の専門家がすぐ近くにいることで、互いの知見や情報などを活かして、新しい発想を生み出すことができます。

学生たちにも同じことがいえて、さまざまなアイデアで防災を考えていけることがおもしろいと実感しています。たとえば、ITスキルの高い学生がPC用の防災アプリを開発したり、デザインに秀でている学生が3Dプリンターで防災グッズを作ったり。幼稚園児のための防災ダンスを創作した学生もいます。もちろん、ダンスが大の得意な子です。大人から子どもまでみんなが防災への意識を高めるには、これまでの地震学だけでは限界があります。その人その人の得意分野と防災を結び付けたユニークな発想と行動が、防災意識の浸透に役立つのではないかと感じています。

父から学んだ仕事に対する姿勢とは?

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