災害で命を落とす人をなくしたい「地震学」を武器に「防災教育」に注力

ご存じの通り日本は地震国で、世界中で起こる地震の約1割は日本で発生しています。なぜ日本に地震が多いか。まず、地震が起こるメカニズムを簡単にご説明しましょう。地球は「プレート」と呼ばれる厚さ100㎞ほどもある十数枚の岩盤で覆われています。プレートはそれぞれが勝手な方向に1年間に数センチずつ動いていて、プレート同士がぶつかりあうと、大きな力が働きます。この力が地震を起こすのです。
プレートが動くのは、地球の内部にある岩石が溶けた「マントル」が対流しているためで、地球は地球自身の熱を冷ますために内部を対流させています。日本はユーラシアプレートと北アメリカプレートに乗っており、さらにその下に太平洋プレートとフィリピン海プレートがもぐりこんでいます。重なり合い押し合う4つのプレートの上にあるために、日本では地震が多く発生するのです。
いわゆる「地震学」とは、こうしたプレート運動や地球内部の構造などを研究します。具体的には、海の地震研究のために専用の海底地震計をつくり船に乗って観測に出かけたり、地震でどのくらい列島が動いたかを人工衛星を使って宇宙から測定したり、と研究活動は多岐にわたります。
私もそうした地震学を学んできましたが、現在は培ってきた知見を活かして、災害で命を落とす人をなくそうと、防災に関する研究と実践を進めています。なぜなら、プレートの動きなど、地震の仕組みがわかったとしても、実際に揺れているとき、自分はどうすればいいのかがわからなければ、結局命は守れないからです。地震が起こったとき、「何がどのくらい危険か」がわかって、すぐに行動できるようにするためには、防災教育が不可欠だと考えました。