スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2014/05/23更新

Vol.009

地震学者 大木聖子先生  前編

夢中努力に勝る
夢中になれるものを見つけよう

大木 聖子 (おおき さとこ)

北海道大学理学部地球惑星科学科卒業、東京大学大学院理学系研究科にて博士号を取得。国内外での研究員、東京大学地震研究所助教を経て、現在は慶應義塾大学環境情報学部で准教授を務める。著書に『地球の声に耳をすませて』(くもん出版)など。

高校1年生のときにテレビで阪神・淡路大震災の惨状を見て以来、地震学者を志し、「同じ悲劇をくり返さない」と決意した大木聖子先生。大学で地球科学や防災学などを教える一方、幼稚園や小中学校に赴いての防災教育も精力的に行っています。「夢を叶えた」かに見える大木先生ですが、ご本人曰く、「まだまだ学究の徒の入口です」とのこと。どのように道を選び、学びを突き詰めてきたのでしょうか。また、「教育者」として人を育てる醍醐味についてもうかがいました。

「見守る勇気」で育ててくれた両親、ふり返ればいつもそこにいてくれた

大木聖子先生

私が地球に関心をもつようになったのは、中学2年のとき。理科好きな私に母が、『教室ではおしえない地球のはなし』(島村英紀著/講談社)という本を勧めてくれたのがきっかけです。現在の私があるのは、適正を見抜いてくれて、タイミングよく導いてくれた母の存在が大きいと思います。たとえば小さいころ、スズメの鳴き声を「ジユンジユン」と真似ていた私に気づき、「この子は耳がいいから語学をやらせよう」と、英語を学ばせてくれました。そのおかげもあってか、いまでも英語には不自由していません。

自営で建築士の父は、夕食時でも電話がかかってくるとすぐに現場に行ったりして、ほとんど休まず、働き通し。家族旅行の思い出はほとんどないのですが、それを不幸だと思ったことはありません。逆にそんな父から、仕事に対する姿勢を学びました。

私自身は、小学生くらいから「勉強が好き」という自覚があり、塾にも通っていました。ところが、一度だけ勉強が嫌になったことがあります。中3のとき、テストで学年1位になり、それはそれでよかったのですが、「つぎのテストで1位になれなかったらどうしよう」とプレッシャーを感じて、勉強するのが嫌になってしまったのです。

「もう勉強したくない」と両親に言うと、「これからどうするんだ?」と聞かれました。当時私は弓道部だったので、「弓道で生きていく」と答えました。すると父が、「弓道がオリンピック種目になってから考えなさい」。その一言で、「そうだな。勉強しよう」と勉強に戻ったのでした。自分ができるのは勉強だと、自分で気づいて納得できたのでしょうね。多くを語らずに済ませた父のユーモアにも感謝しています。

こうしてふり返ってみると、両親はある意味、忍耐強かったのかもしれません。「あれしなさいこれしなさい」とか「勉強しなさい」とか一切言わず、「好きなことをやりなさい」と、おおらかに育ててくれました。ただ、不安になってふり返れば、いつもそこにいてくれた。それで安心して先に進めたのかもしれません。

人を育てていくうえでは、この「見守る勇気」がとても大切なのだと、学生を教えるようになった今、あらためて感じます。自分が答えを言ってしまえば簡単だけど、本人が「うゎー!わかった!」と気づいてくれる。それがとてもうれしい。これこそが本当の学びなのでしょう。自分で考え、自分で学ぶ。それを見守る人がいる。これは「自学自習」を掲げる公文式学習にも通じることかもしれませんね。

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