スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2014/01/24更新

Vol.005 丸の内ブランドフォーラム代表 片平秀貴さん  前編

気乗りせずとも
飛び込んでいくと拓け
それぞれの「らしさ」を大切にすれば
人生はもっと豊かになる

片平 秀貴 (かたひら ほたか)
1948年生まれ。ビジネスフォーラム「丸の内ブランドフォーラム」を主宰。国際基督教大学卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程で学び、大阪大学経済学部助教授、東京大学経済学部助教授を経て、同大大学院経済学研究科教授に。ペンシルベニア大学ウォートン経営大学院、カリフォルニア大学バークレー校、ストックホルム・スクール・オブ・エコノミクス等で客員教授を歴任。主著に、『マーケティング・サイエンス』(1987年 東京大学出版会)、『パワー・ブランドの本質』(1998年 ダイヤモンド社)、『世阿弥に学ぶ100年ブランドの本質』(2009年 ソフトバンククリエイティブ)などがある。

「ブランド」の本質を解き明かし、人々の“ワクワクする暮らしづくり”に貢献する片平秀貴氏が、ブランド研究の第一人者となったのは、気乗りしないことにも前向きに取り組んできたことが背景にあるといいます。「へそ曲がり」を自認される片平氏の半生から、学びに対する姿勢、どうやってわが道を切り拓くかを探ります。

「思い」が込められたブランドは感動を与えてくれる

「ブランド」と聞くと、日本ではいわゆる「ブランドもの」を連想しがちです。「実態的価値を問わずに名前だけを追う」という意味が込められている場合も少なくありません。消費者ばかりでなく、企業においても「ブランド」は、「商品名」や「サービス名」としか理解されないケースもあり、経営での位置づけも高くはありません。しかし、実はブランドとは「組織の存在理由そのもの」であり、消費者にかけがえのない感動や喜びを与えてくれるもの。私は欧米企業を中心に、ブランド力があると評価されている企業の経営者にインタビューした結果、そのことに気がつきました。

それらの企業に共通しているのは、自分たちの夢をものすごく大切にしているということ。ビジョンや哲学と言ってもいいでしょう。世の中の「ビフォー」すなわちここを変えたらもっと良くなるのではないか、を見つけてそこにもっていくためにどうすればいいか、を徹底的に考えています。

例えばメルセデス・ベンツは、「クルマ社会をより明るくするのはクルマを発明したわれわれの宿命」という一貫したミッションのもと、「車とはどうあるべきか? 私たちはこうしたい」という深い思いを持っている。その夢や思いが、従業員を、最終的には顧客をひきつけ、「なくてはならないもの」になっていく。それがブランドの本質です。

私は大学で経済学を教えながら、ブランドに関する研究を続けていましたが、実務を手掛けたいと考えるようになり、現在は大学を離れ、「丸の内ブランドフォーラム」というブランド実践の場を主宰しています。ブランドの先駆者である企業の経営者や研究者などの話を聞き、ワークショップを開き、成果を社会に発信することを主な活動としています。

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