OB・OGインタビュー
Catch the Dream - 夢をかなえる力

2021/07/16更新

Vol.079

常葉大学造形学部
講師 村井貴さん  前編

本当の学びは“外”にある
教科書ネットから飛び出して
外の景色を見に行こう

村井 貴 (むらい たかし)

岐阜県高山市出身。大学でフランス文学を学んだ後、ウェブデザイナーとして複数の企業に勤める。会社員生活を送りながら、産業技術大学院大学にて創造技術修士を取得。その後、北海道大学CoSTEPに特任助教として着任し、サイエンスカフェの企画や大学広報に取り組み、2020年に常葉大学造形学部へ移る。北海道大学エクセレント・ティーチャーズに4年連続で選出、グッドデザイン賞、キッズデザイン賞、朝日新聞社 朝日VRアワード 自然部門賞など受賞歴多数。編集統括を担当した著作に『北大キャンパスガイド』(北海道大学出版会/2021年3月発行)がある。

ウェブデザイナーとしての実務経験を活かし、大学で情報デザインなどを教える村井貴さん。活動範囲は学内にとどまらず、サイエンスカフェを開催して「サイエンスコミュニケーション」を推進するなど、学生、専門家、地域の人々をつなぐ“場”をデザインされています。会社員からキャリアチェンジして教える立場になり、子ども時代に公文式で学んでいたことが役に立ったと振り返る村井さん。どんな点が有益だったのでしょうか。現在のお仕事につかれることになったきっかけや、サイエンスコミュニケーションを実践する意義などについてもうかがいました。

文系出身の自分だからこそ、わかりやすく
科学とのつきあい方を解きほぐしていく

村井貴さん

サイエンスカフェは90年代にフランスやイギリスで生まれ、日本におけるサイエンスカフェ元年は2005年とされています。北海道大学CoSTEPというサイエンスコミュニケーションの教育研究機関では、2005年から2021年現在にいたるまでサイエンスカフェを継続的に開催しています。私は2015年から5年間、CoSTEPの教員として働き、サイエンスコミュニケーションを実践しました。

私は文学部の出身で、それまで科学と縁があったわけではありません。だからこそサイエンスカフェでは、文学部出身の自分が理解できるまで、徹底的に専門家やその方の研究テーマと向き合いました。そして、市民の方がここを疑問に思うだろうな、と感じたところを大切にして進行するよう心がけていました。

私が企画したサイエンスカフェの具体的なタイトルを挙げると、カーリングの戦略をAIで分析する「カーリングAI」の研究者(山本雅人さん/北海道大学 大学院情報科学研究院 教授)と元カーリング選手(小笠原 歩さん)を招いた「ラストストーンの軌跡 ~カーリングAIと選手の協力で勝利をつかめ!~」や、「働かないアリ」の研究で知られる研究者(長谷川英祐さん/北海道大学 大学院農学研究院 准教授)を招いた「働き方にも、いろいろアリ ~社会性昆虫に見る 組織の持続可能性~」があります。

以上は北大で実施していた例です。今は静岡にある常葉大学の学生たちと一緒にサイエンスカフェの企画を行っています。2020年は、食糧問題の解決につながる可能性を秘めた昆虫食をテーマにしたサイエンスカフェを実施しました。学生たちが主体となって企画運営したことは彼らの成功体験となり自信につながっているのではないかと思います。

サイエンスカフェでは「旬のテーマにすること」と、終了後に家族や友人に話したくなるようなテイクホームメッセージを込めることを意識しています。例えば前述の「働かないアリ」の場合、働きアリはすべてのアリが働くのではないということを学んだ上で、では人間の社会ではどうなんだろうと、自分たちの働き方を考えるきっかけにしてもらえたらと思って企画しました。

もうひとつ、私が意識しているのが、開催場所を大学ではなく、街中のカフェや開けたスペースにすることです。大学に呼ぶのではなく、市民のふところに入っていくことが大切だと思っているからです。街中を歩いていたら何かやっているなと、ふらりと立ち寄ることができる。コーヒー片手に気楽に参加できる。そんな“場”をデザインしています。

幼少期の、「没頭」と「自分でやってみる」経験

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