OB・OGインタビュー
Catch the Dream - 夢をかなえる力

2020/11/13更新

Vol.073

講談師
旭堂南湖さん  後編

最初から100点満点を目指さなくていい
間違ってもいいから繰り返し、
続けていけば、芸も学びも磨かれる

旭堂 南湖 (きょくどう なんこ)

兵庫県生まれ。幼少の折に滋賀県甲賀郡甲南町(現・甲賀市)に移り住む。地元の小中高を卒業後、大阪芸術大学芸術計画学科を経て、1999年大阪芸術大学大学院修士課程(芸術文化研究科)修了。在学中に3代目旭堂南陵の講談を聞き、その芸に魅かれ、卒業後、弟子入り。平成14年度「大阪舞台芸術新人賞」受賞。平成22年度「文化庁芸術祭新人賞」受賞。主演作品『映画 講談・難波戦記-真田幸村 紅蓮の猛将-』が全国ロードショー。CDに「上方講談シリーズ4 旭堂南湖」「講談 古典怪異譚」「講談 現代怪異譚」「こども講談」(12月発売予定)がある。

日本が誇る伝統話芸「講談」。旭堂南湖さんは、全国の講談会でご活躍するほか、講談教室や小中学校でのワークショップなど、さまざまな場で講談の魅力を広めています。南湖さんは大学院生のとき、3代目旭堂南陵さんの講談を聞いて弟子入りを決意。様々な理由で講談師を辞めていく人が多い中、支えとなったのは、公文式学習での「続けていれば成長できる」という実体験だったそうです。「師匠の芸を次世代につなぎたい」と語る南湖さんに、講談師という仕事の醍醐味や続けることの大切さなどについて、師匠の思い出とともに語っていただきました。

「この人の弟子になりたい!」
食えないのを覚悟して4.5畳半住まいからスタート

旭堂南湖さん

大学院2年目のとき、師匠となる3代目旭堂南陵の講談を聞いたことが転機となりました。当時すでに80歳過ぎ。ゆっくり舞台に上がり、話し方もゆっくりそろそろ。ところが話が進むにつれて、お客さんの顔がぐっと舞台に近づいていくんです。まるで鵜にヒモをつけて繰って魚を獲らせる鵜飼いのように、お客さんが糸でクイクイ繰られている。それほど観客を魅了する芸を私も身につけたい、この人の弟子になりたいと、強く思いました。

もう一つ理由があります。そんな魅力的な芸事なのに、当時、講談師は大阪に10人足らず。講談への認知は低く、そんな中でも師匠は、お父さんである2代目旭堂南陵とふたりで続け、2代目が亡くなってからは、たった一人で、まさに孤軍奮闘。野生動物だったら絶滅していますよ。そういう苦労があった中で、弟子が増えてここまでになったわけです。

当時私は文章で講談を広めようと考えていましたが、それ以前に講談師の「コマがない」ことを知り、「自分は不向きかもしれないが、それならコマのひとつになって、師匠の芸を次世代へつないでいこう」と方向転換しました。弟子入りを頼んだものの、高齢ですし、断られるかと思ったら、あっさり「うん」と承諾していただきました(笑)。

一方で、講談を知らない両親には弟子入りを理解してもらえませんでした。「私の人生なのだから」と説得しましたが、「勝手にせい」と、ほとんど勘当状態です。父は「芸の世界は厳しいから、どうせ途中で逃げ出すのでは」と思っていたようです。

1999年に師匠に入門した私は、15番目の入門希望者でした。過去に14人が入門したのですが、7人は残り7人は辞めていき、私はどちらになるかと兄弟子たちに注視されていたようです。

辞める理由はいろいろあるのですが、その一つが「食えないから」。若くて独身だった私は、「食えないのは当たり前」と覚悟して飛び込みました。4畳半一部屋のアパートに移り住み、朝6時から昼までは寿司屋で働き、昼からは師匠の身の回りのお世話をしたり、稽古や講談会の手伝い。お花やお茶などの稽古とは違い、師匠は無料でメシのたねを教えてくださるのが講談の世界です。独特の徒弟制度をありがたく思いながら稽古に励みました。

いつの間にか5年、10年経ち、賞もいただくようになり、父は新しい着物を買ってくれたり、地元で講談の会をつくってくれたりと、応援してくれるようになりました。親というのはいくつになってもありがたいものですね。

公文式学習にも通じる師匠の教えとは?

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