「夢」「学び」を支えるKUMONの「いま」を伝えます

記事検索
Vol.065 2019.12.06

弁護士・薬剤師・弁理士
中村智広さん

<後編>

一つひとつ積み重ねた結果、今がある
枠にとらわれず好奇心をもち、
学び続けて前進しよう

弁護士・薬剤師・弁理士

中村 智広 (なかむら ともひろ)

1982年、和歌山県生まれ。12歳で親元を離れ、神奈川県の公文国際学園で中高生活を送る。京都大学薬学部在学中に、行政書士、宅地建物取引主任者の資格を取得。大学卒業時に薬剤師国家試験に合格し、京都大学大学院薬学研究科へ進む。その後、法律家をめざして神戸大学法科大学院に進学、司法試験合格を経て弁護士に転身。現在は主として医療・知財分野を扱う弁護士として活躍中。両分野の専門知識を活かし、産官学の医療研究開発に関する適正調査や法的助言なども行う。

弁護士・薬剤師・弁理士などの資格をお持ちの中村智広さん。大学・大学院で薬学を学んだ後、法科大学院へ進み、医薬やヘルスケア分野に詳しい弁護士として活躍されています。華やかなキャリアをお持ちですが、これまでも現在もやはり壁はあったそう。それを突破できたのは、「目標を設定し、達成して前に進む。悩んだら常に基本に立ち返る」という、公文式で身につけたスモールステップの積み重ねのおかげだといいます。現在のお仕事だけでなく、生き方そのものにも公文式での学びが影響しているという中村さん。幼少期を含め、学びや仕事への思いなど、過去、現在、未来を語っていただきました。

目次

さまざまな背景の人たちと学び暮らした6年間
夢をかなえるステップに

中村智広さん

12歳で親元を離れ、知り合いのいない土地での生活は、最初こそ心細かったですが、振り返ってみると非常に有意義なものでした。質の高い教育を受けられたことはもちろんですが、それ以上に大きかったのは、育ちも背景も違う仲間たちと寮生活ができたことです。本来、大学生くらいで経験するような異文化との接触を、中学生から経験できたわけです。早い段階で「世の中にはいろいろなバックグラウンドをもった人たちがいる」「自分とは異なった考えの人がいる」ことを知り、視野や見識を広めることができました。これは、その後の人格形成にも影響していると思います。

大学は薬学部に進みました。個別の患者を診るよりも、薬を開発することで多くの人に貢献できるのではないかと考えたからです。また、私が進学した京都大学では、所属学部での学びにとどまらず、さまざまな分野の授業を履修することができました。私自身、いろんなことを貪欲に学びたいと思っていましたし、周囲にも好奇心旺盛な友人が多かった影響もあり、法律や経済、植物学など幅広い分野の講義に顔を出し、最終的に、卒業時の履修単位は、最低履修単位を大きく上回る200単位に上りました。また、学部在学中には行政書士や宅建の資格もとったりして、「やってみたい」ことはすべてやっていました。今でもそうですが、目標を設定して集中して取り組んで達成する。すると、また新しい課題が出てきて、それにチャレンジする……というサイクルを繰り返していました。

このような幅広い学びの経験の中で、薬学とは異なり、徹底して理詰めなのがおもしろい、と感じたのが法律学でした。大学卒業後、大学院の薬学研究科に進みましたが、薬の開発にもやりがいを感じる一方、今後は個別のクライアントに直接かかわり、具体的に問題を解決する仕事に就きたいとの希望も持つようになっていきました。ちょうどその頃、多様なバックグラウンドを持った法曹の養成を目指し、法科大学院制度が創設されたことを知り、法律学への興味がよみがえると同時に、「医療知識を持って、法と医療を結ぶ法律家」になれば、これまでの自分の学歴や経験、興味関心などを総合的に活かせるのではないか、と強く感じました。そこで、現在の職業である弁護士を目指すことを決意しました。

壁を乗り越えるためのポイントとは?

落ち込んだときは「寝て、忘れる」のもいい
壁を乗り越えるポイントは「基礎力」があるかどうか

中村智広さん

薬学の研究を行っていた頃は、トライアルアンドエラーの連続でした。失敗したら原因を分析して次に活かすしかありません。今の仕事をしていても、うまくいかないことはしょっちゅうあり、落ち込むこともたくさんあります。何をやってもうまくいかないときは、寝て忘れるようにしています(笑)。

法律問題の場合、既に先例が積み重なっている分野も多くありますが、私が関わっているのは最先端の医療に関する分野なので、先例が極端に少なかったりします。そうした中、難しい局面に立たされても乗り越えようとする原動力は、やはり「法律と医薬のクロスボーダーをめざし、最先端医療を社会に届けることを、法律という観点からサポートしたい」という強い思いです。

困難なことは、どんな学問でも仕事でもあると思いますが、その壁を乗り越えられるポイントは、基礎力があるかどうかだと思います。私はいろいろな勉強をしてきましたが、どんな分野でも基本が大事。悩んだら基本に戻る。本当の意味でそれが実践できれば、ほぼすべての課題は解決できる、と感じています。これは、まさに公文式で身につけたやり方です。

私が夢を実現するために心がけてきたことは、「社会に対する好奇心を常に持ちながら、一つひとつ自分が納得するまでやってみる」ことです。とくに弁護士という職業は、「社会に対する好奇心」がないとなかなかできません。社会を多角的にとらえていくことに興味をそそられ、今に至っています。

子どもたちへのメッセージ

時代の変化に対応できる力を身につけ
その力を社会にどう活かせるか考えよう

中村智広さん

これからの子どもたちに身につけてほしいのは、「時代の変化に対応できる力」です。今後、技術が発展し、価値観の多様化がますます進むでしょう。ハード面もソフト面もより目まぐるしい変化にさらされることが予測されます。そうなれば、これまでになかった社会問題が生じてきます。先例を学び、過去のやり方を踏襲しているだけでは対応できなくなり、自分の頭で考えて行動する力が必要になります。ただ、本当に大事なのは、その力を身につけた先、どう行動するか、ということだとも思います。そうした力を、自分の利益のために使うのではなく、周りの人や社会、日本や世界のためにどう活かせるかを考える人になってほしいと思います。

そのやり方は、人それぞれ、十人十色だと思いますし、そのための道がなくても、前にチャレンジした人がいなくても、自分でその貢献の道筋を作っていくこともできます。私自身、弁護士になったばかりのころは、「医療と法律をつなぐ弁護士になりたい」と言っても理解されなかったこともありました。でも、ちゃんとニーズはあった。その証拠に、今、クライアントさんから、「こんな弁護士さんにお願いしたいと思っていた」と言っていただけることもあります。だから、子どもたちには、「無理だ」「どうせ自分にはできない」などと考えて自分の可能性を狭めたりしないで、いろいろなことにチャレンジしてほしいですね。そして、「学ぶ」ということは、可能性の幅を限りなく広げることに役立ちます。「知らなかった」を「知っている」に、「知っている」を「実行できる」に変えていくことで、視野が広がっていくからです。それは、もちろん時にはつらいこともありますが、同時にとても楽しい経験でもあると思いますよ。

報われないことも多いかもしれません。しかし、続けていかなければ何事も達成できないと思います。私自身も一足飛びで今に至ったわけではありません。一つひとつ積み重ねた結果、今があるのです。だから、決してあきらめないでください。くじけそうなときは、基本に戻れば答えのヒントが見つかります。

保護者の方には、そんな子どもたちをサポートしていただけたらと思います。ぜひ、子どもたちの力を信じ、子どもが成長したと感じられるところを積極的に見つけてほめてあげてください。それが子どもにとって大きな力になると、自分を振り返ってみて、強く思います。

私自身も、当然まだまだ完成されているわけではないので、これまでのポリシーを変えずに、いろいろなことに興味をもって、歩み続けていきたいと思っています。社会の変化の中で、法律家という職業に求められる役割も変わってくるでしょう。AIやビッグデータに関する法律相談も増えてきていますし、学ばなければならないことは、まだまだたくさんあります。変化に対応できるよう、私も常に成長を続けていきたいと思います。

前編を読む

関連リンク KUMON創立60周年記念式典|KUMON now!


中村智広さん  

後編のインタビューから

-医療と法律の両分野を横断できる法律家をめざして
-中村さんに影響を与えた両親の姿とは?
-公文式学習を通して身につけたこと

前編を読む

    この記事を知人に薦める可能性は、
    どれくらいありますか?

    12345678910

    点数

    【任意】

    その点数の理由を教えていただけませんか?


    このアンケートは匿名で行われます。このアンケートにより個人情報を取得することはありません。

    関連記事

    バックナンバー

    © 2001 Kumon Institute of Education Co., Ltd. All Rights Reserved.