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OB・OGインタビュー
Catch the Dream - 夢をかなえる力

2018/06/08更新

Vol.054

「輪島キリモト」8代目 ブランドディレクター
桐本滉平さん  後編

過去の自分を超えていく
実感をもとに伝えていきたい
輪島塗と漆の魅力

桐本 滉平 (きりもと こうへい)

1992年石川県生まれ。江戸時代より漆器製造販売業を営む「輪島キリモト」の8代目。2016年、大学在学中に文部科学省「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」に採用され、パリにて漆器のマーケティングを実践。2018年、The Breakthrough Company GO、TBWA/HAKUHODO、QUANTUMとともに、「科学やデザインの視点で漆を捉えなおす」をコンセプトにした新たな漆のブランド「IKI」を発表。公文式には、小学校低学年から中学1年まで通い、算数・数学と英語を学んだ。

日本の伝統工芸品である漆器、その代表的なブランドのひとつが輪島塗です。桐本滉平さんは、江戸時代から続く輪島塗の老舗「輪島キリモト」の8代目。学生時代にパリで漆器販売を経験し、そこでの学びを活かして、25歳という若さで2018年3月に漆を活用した新ブランド「IKI -by KOHEI KIRIMOTO」をスタートさせました。漆を生業とすることに決めたのにはどんな転機があったのでしょうか。持続可能な産業として漆に向き合い、さまざまなチャレンジに挑み続ける桐本さんに、これまでの道のりと今後の夢についてうかがいました。

東日本大震災を転機に「灯台下暗し」に気づいた

桐本滉平さん

能登半島地震後に経験した忘れられない出来事とともに、私の転機となったのが、東日本大震災でした。震災が発生したあの日、私は大学受験のために上京していましたが、受験予定の国立大学の入試が中止となり、数日して輪島に戻りました。実家で原発事故などのニュースを見ながら、そこで初めて「自分は何のために生きていくのか?」「自分とは?」「日本とは?」「日本が失ったものは何か?」「未来に残していくべきものは何か?」といったことを、ずっと考えていました。

しばらく人とも話さず呆然とテレビを見るような生活をしていましたが、2週間ほどして日本の価値は日本文化にあるのではないかと気づいたんです。「日本の価値」は、よく「人」といいますが、それはやはり「土地」に起因しているもの。その土地が生み出す価値や伝統が、残すべき日本の価値ではないかと思ったんです。

「灯台下暗し」だったんですよね。私がここに生きていられるのも、先祖が代々この地で漆に向き合ってきたから。両親や先祖はもちろん、命をつなげてくれた日本という土地があったからなんです。それで「自分が存在できる理由に恩返しをしていこう」と決めました。

その土地の素材を使って、土地を尊重し、作る人も使う人も、この土地も、みんなが幸せになれる方法を考えて、伝えていこう、と思ったんです。地域で漆の木を育て、国産の木地に漆を塗り重ねて作り、欠けたりしても塗り直して使い続けることができる漆は、まさに持続可能な生産モデルです。あまり知られていないこの漆の価値を、私が「伝えていかねば」と、急に使命感が湧いてきました。

それまでは親や先生、職人さんなど、まわりの目を気にして、ときには自分の気持ちにウソをついていた私ですが、ここで初めて「浪人して商学部に行く」という「自分の意思」を押し通しました。使命を果たすには、「作って、売る」までが必要だと考え、マーケティングを学びたかったんです。

もともと理系を目指していた私の急な文転に、高校の先生はあきれていましたね。そして「浪人はさせられない」と言っていた両親には、「家業を継ぐつもりで“売る仕事”をするのでチャレンジさせてほしい」と懇願しました。なんとか理解してもらえて、輪島から東京に出て予備校に通うことになりました。

パリでのインターンで学んだこととは?

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