Unlocking the potential within you ―― 学び続ける人のそばに

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Vol.023 2015.08.07

俳優 要潤さん

<後編>

努力は決して人を裏切らない
失敗や挫折は謙虚な自分を作り、
学ぶことにも貪欲になれる

俳優

要潤 (かなめ じゅん)

1981年生まれ、香川県出身。中学高校時代は陸上400mハードル選手として活躍。テレビ朝日『仮面ライダーアギト』で俳優デビュー。以後映画、ドラマ、舞台、CMなど活躍の場は多岐にわたる。現在、7月スタートのドラマ『エイジハラスメント』(テレビ朝日系)ではイクメンサラリーマンの佐田航一役を熱演中。

『タイムスクープハンター』の時空ジャーナリスト・沢嶋雄一役での好演をはじめ、数多くの映画やドラマでさまざまな時代のヒーローを演じながら、その一方でクセのある悪役や三枚目もこなす要潤さん。いまやドラマ、映画、CMとマルチに存在感を放つ俳優として、世代を問わず広く好感と注目を集めています。そんな要さんに、現在の活躍に至る原点となる大きな挫折のお話や、飽くなき学びへの欲求についてうかがいました。

目次

    学ぶことをやめたら自分の人生に意味が無くなってしまう

    俳優 要 潤さん

    僕は器用なほうではないので、仕事がうまくいかなかったときは何がダメだったか、それをひたすら考えますね。もし次にチャンスがあったときは、二度と同じ轍を踏まない、と自分に言い聞かせる。それしか立ち直る方法はないですね。それも陸上から学んだことかもしれません。

    大河ドラマ『花燃ゆ』では、僕は吉田松陰が率いる松下村塾で学ぶ入江九一という役を演じましたが、知識や学力がないと人の上には立てない、ということをすごく感じました。入江九一は松下村塾の四天王の一人だったんですけど、まずその枠に入らないと世の中は変えられない。逆に、学びが足りないと人に騙されたり傷つけられたりする。そして世の中の真実にたどり着くことはできません。学ぶことをやめてしまったら自分の人生に意味が無くなってしまうのでは?と考えるほどです。

    僕は好奇心は人一倍あって、たとえば話題になっている新しい小説を知ったら、「うわ、読んでみたいな」って思うし、人が話していることでわからないことがあったら、誰かに聞いてみたり自分なりに調べてみたりします。知らないまま時間が過ぎていくことがもったいなくて仕方ないんですね。

    たくさんのことに興味を持つことは俳優の仕事でもとても大切です。役を演じる場合っていうのは、ほとんどが自分がまったく知らない人になりきるわけじゃないですか。たとえばサラリーマンの役でも、どこの会社のどの部署のどんなポジションで働いているのか、さらに家族構成などのバックグラウンドはどうなっているのかとか、想像ができなければ表現できないと思っています。それこそ目線ひとつ、物を取る動作ひとつ、そこに意味がないと、視聴者の方には伝わらないと思うんですね。そこは最低限プロとしてやっていかなきゃいけない部分だという意識です。

    俳優としての要さんの夢とは?

    俳優としての僕の夢 海外で活躍するという夢を目指して

    俳優 要 潤さん

    読書をしたり、いろいろな人と会話をしたり、自分の足で街を歩いたりして経験を積み、その中のほんのわずかなかけらをつなぎ合わせて役を膨らませていくことが、「表現する」ということだと思います。俳優をしていく上では等身大の僕自身、つまり“要潤役”というのはありませんから。

    俳優の仕事は、「前にこういう役をやったから今回の役に生きる」っていうことがほとんどない世界です。すべて一から役を築き上げないといけません。でも、それが面白いんですね。ただ、経験があればこそ、未知なるものにも対応できると思います。主役だろうが脇役だろうが、役者はパズルのピースのひとつにすぎません。あくまでも大切なのは全体を通して見えるもの。独りよがりにならず、周囲の状況を見て柔軟に自分を対応させることが、僕に求められていることだと思います。そう考えると、俳優の仕事は団体競技と言えるでしょう。

    俳優としての僕の夢はずっと変わってはいません。活動の場を海外にまで広げることです。英語がすごく身近になってきて、どの業界でも外国人と仕事をするのは当たり前になってきています。その潮流には乗っていきたいなと。今はインターネットを通じて英語を勉強する素材はたくさんありますし、できるだけ生の英語に触れる機会を持つようにしています。

    陸上競技を通じて得た経験とは?

    夢やなりたいものはいくつ持ってもいいし 何歳になっても人生は変えられる

    俳優 要 潤さん

    こんなことを言ったらいけないのかもしれないけど、僕も公文で学習しながら「もうやりたくない!」って思ったこともありますし、プリントを乱暴に扱ってしまったこともあります。でも、公文式で学んだことのある子はみんなそんな経験があるんじゃないかな?誰にでもそういう壁はあるのだから、子どもたちには気楽にリラックスして勉強に取り組んでほしいなと思います。

    じつはかつて、少しだけ公文の教室でアルバイトをしたことがあるんですけど、先生の側から見ると景色がまったく違うんです。子どもたちはみんなとても真剣に取り組んでいるし、彼らが問題が解けて“できた!”ってパァっと明るい顔になるのを見るのがとても好きでした。

    僕は人生っていつでも変えられると思っています。たとえば別の仕事に興味や憧れを持ったとします。そんなとき「でも今の仕事は辞められない」って勝手に思い込みがちですが、決してそんなことはないでしょう。いつ辞めてもいいし、いつ新しいことにチャレンジしてもいい。

    僕はずっと自分自身を「子ども」だと考えていて、だから「いつでも何事にもチャレンジできるし、自由に立ち位置を変えられるんだ」と言い聞かせています。無責任なことかもしれませんけど、そう思わないと人生はつまらないのではないでしょうか。

    人生はいいときと悪いときが交互にやってくるものです。でも、自分の経験から言えることは「努力は決して人を裏切らない」ということ。僕は陸上競技を通じてそれを知ることができました。そしてその経験は、今の仕事における自信と、同時に謙虚な気持ちも与えてくれています。これからも、好奇心をもって視野を広げつつ、目の前のことにひたむきに取り組んでいきたいと思います。


    俳優 要 潤さん 

    前編のインタビューから

    – 陸上部一色だった中高生時代
    – 高校3年生のときに味わった人生最大の挫折とは?
    – デビュー作『仮面ライダーアギト』のオンエア後に感じた俳優という仕事のやりがい

     
     

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