「歌いたい」気持ちが弾けたとき

本当は小学生のころから歌手になりたいと思っていました。でも、中2くらいまでは誰にも話すことはなかったです。いちばん大切な夢だから、周囲に否定されるのが怖かったのかもしれません。歌手って資格があってなれるものではないし、夢見がちって思われてしまったり、勉強からの逃げって思われてしまったりするのかなって、そういう目線が怖くて話せなかったんだと思います。
その思いが弾けたのが、ピアノの発表会のとき。弾き語りをしたいと思って、歌いたいと思う曲もあって、思い切って先生に相談してみたんです。先生は何も否定せずそれを受け入れてくださいました。「これ歌っているとき、私は気持ちいいけど、聴いている側はどうなんだろうか?」と考え込んでしまう私に、「マリナちゃんの歌は伝わるものがあるから大丈夫」って言い聞かせてくれて。とにかくいつも励ましてくれたので、自信をもって歌手を目指すことができました。先生がいなければ大学のときにアニソングランプリに応募することはなかったと思いますね。
あんなに人見知りだったのに、あのときどうして「弾き語りがしたい」って思ったのか、今でもふと考えることがあります。たぶん「歌いたい」っていう気持ちが臨界点まで達していたのでしょう。本気の夢だから、言えないことが悔しくて、もどかしかったのかもしれない。発表会で歌えたことももちろん嬉しかったんですけど、アンケートの「もう一度聴きたい演奏は?」という質問に、私の名前を書いてくださる人がけっこういて。もっともっと歌もピアノも磨かなければと思いました。