受講者2名に対し、教室サポーターが1名の1テーブル3名が基本形。教室日は週1回、それ以外の日は自宅学習を行い、半年を1期として開講。
脳を活性化させ、「認知症にならない」「認知症の進みを遅らせる」ことを第一目的としているが、地域づくり・街づくりの一環としても活用されている。 2022年度は、約230教室が開講。
天理市の脳の健康教室「活脳教室」
「予防」と「共生」を核として、誰もが地域の一員として安心して暮らせる「認知症と共生するまちづくり」を進めている奈良県天理市は、2017年度から脳の健康教室「活脳教室」を、成果連動型支払事業(PFS)として開講しています。開講の背景には、①高齢化率は全国平均よりも低いものの、要介護等認定率は全国平均よりも高いこと、②要介護認定における認知症の症状のある人の割合が半数にのぼること、がありました。
2017年度・2018年度は市内1会場での開講でしたが、2019年度からは市内の複数会場で実施。2019年度から2022年度の4年間で、計19会場273名が受講しました。また、受講者の学習をサポートする「教室サポーター」も122名がボランティアとして参加し、教室を支えました。
教室参加で認知症疑いの割合が半減、手応えも
活脳教室の受講者には、教室開始時と半年後の教室修了時に認知機能検査である「MMSE(ミニメンタルステート検査:認知機能の簡易的な検査)」を実施し、学習前後の数値の変化を評価しています。全教室の評価の集約によると、認知症疑いのある人の割合は4年間の累計で26.6%から14.4%へと約半分に減少しました。
受講者の教室修了時の声でも、
「週1度の教室と毎日の宿題により、生活にメリハリができ、新しい友達ができた」
「地域の中でも活脳教室が話題となり、交流が増えた」
「この教室に参加していることが自分の自信になる」
「こうした雰囲気のところへ行くのは楽しい」
といった前向きな声が並んでいます。
また、教室サポーターからも、
「サポーターとして答え合わせをして丸をつけるだけでも、脳が働いていると感じた」
「受講者の方に『出会えてよかった』と言っていただき、嬉しかった」
「教室回数が増すごとに受講者の方の読み書き、計算のスピード、正確さが向上していくので、自分のモチベーションも上がった」
「地域のために何かやりたいと参加したが、気持ちが前向きになり明るくなった受講者の方を見てうれしくなった」
など、手応え・やりがいがうかがえます。
支え合うコミュニティづくりを目指して
市内複数箇所で実施するようになった2019年度以降は、半年間の教室修了者が参加できるOB会として、地域で住民が主体的に運営する「活脳クラブ」も誕生。現在、17クラブで202名が参加しています。
活脳教室の担当課である天理市福祉政策課の吉田久恵課長によると、「活脳教室修了後に参加できる活脳クラブが高齢者の継続的な通いの場となり、自助・共助の場となっている」といいます。活脳クラブは市民の自主運営という形態ですが、市としても各クラブ代表者のつどいを開催するなど、サポートしているそうです。
「活脳教室と活脳クラブを通して、認知症予防としての『活脳』の意識が市民の中に溶け込み、地域で支え合うコミュニティづくりを目指したい」という天理市。23年度もすでに1教室が開講し、今後更に増える予定です。ますます広がる「活脳」の輪が楽しみです。
【学習療法・脳の健康教室オンラインセミナー】
KUMONの学習療法センターでは、2023年6月に学習療法や脳の健康教室の実践者によるオンラインセミナーを開催します。脳の健康教室の講師は天理市です。
※終了しました。たくさんのご参加ありがとうございました。
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