「悪いのは子どもではない」
インタビューの最後に、副施設長の西浜さんはこう話してくださいました。
![]() 西浜さん(副施設長) |
「公文には、創始者の公文公(くもんとおる)さんが遺された“悪いのは子どもではない”という言葉がありますね。聞いたときハッとしました。これをわたしなりに言い換えると、“障害のある方たちが就労できないのは、周りに問題や課題がある”となるでしょうか。
どんな人でも得意なことやすぐれた能力はあるはずですが、それに周りが気づけないだけなのかもしれません。けれど、ちょうどのことをしながら、少しずつレベルアップしていく公文の学習なら、まず、われわれスタッフが気づけます。そして、“あなたにはこんないいところがあるじゃないですか!”という言葉かけで、ご自身が気づき、自信となり意欲となる。いま、こういうことが、利用者様方とスタッフのあいだで日々おきているのだと思います。
自分の良いところ、現在の能力や可能性に気づくことで、自分に合った仕事も見つけやすくなるでしょうし、“自分がやりたい仕事に就くにはこれから何をすればよいか”といった道筋も見えてくると思うのです。そういったことを公文の学習を通して身につけてほしいですね。公文では“ちょうど”を大切にしていますが、それに倣って言えば、“いまの自分のもてる力に気づき、自分の可能性を知って、それに合ったちょうどいい仕事に就く”。それにより、働く喜びや幸せを感じることができれば、利用者様は生きがいのある毎日を送れるのではないかと思います。わたしたちは、その実現に最大限のサポートをしていきたいと考えています」。
さて最後に、利用者のみなさんの声をご紹介しましょう。まず、一昨年の暮れに脳卒中で倒れ、入院。 その後、失語症と診断された男性(60代)の利用者さんです。
「わたしの場合、倒れてから10ヵ月ほど入院しました。幸いなことに手足に麻痺は残らなかったのですが、ほんとに話せない書けないという状態になり、失語症という診断でした。それでも、なんとかしたいと、ここに来たのが昨年の12月。ですから、まだお世話になりはじめて9ヵ月くらいです。けれど、公文の学習が楽しくて、はじめのうちは教材の音読もほとんどできなかったのが、少しずつ言葉がでるようになって、それをスタッフのみなさんに“すごい!”ってほめられて…をくり返していたら、以前のように頭に描く言葉が出るようになってきました。自分でも、まだ信じられませんが…」
つづけて、4人の利用者の方のコメントをワンポイントで。
*「もともと計算が得意なんですが、満点がとれたとき、つぎの教材に進めたときの達成感は格別ですね」(40代・女性)
*「病気(うつ病)になるまではふつうに話せたんですが、病気になってからは話すのが辛くなりました。でも、ここに来て、音読しているうちに話してもいいんだ、話そうという気持ちになれました。救われました」(30代・女性)
*「公文の学習は楽しいですし、集中力を養うということではとてもいいですね。学習が仕事の延長線上にあるようにも感じられますね」(40代・男性)
*「担当医の勧めがあって、昨年の6月からお世話になっています。ここに来なかったら、これほどたくさんの量の学習はしていなかったでしょうね。頭の回転というか、脳の活動が良くなった印象があります」(40代・女性・就職活動中)
みなさんがやりたい仕事に就いて、やりがいのある日々を送れるようになる日が、一日も早くくるよう応援しています!
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