公文式導入当初、事業所の職員は「半信半疑」どころか「一信九疑」だった!?
「支援事業所を開所しようと考えたとき、いちばん悩み、考えたのは、その職業訓練プログラムです。就労移行支援自体が新しい制度ということもあり、たくさんの支援事業所で、じつにさまざまなプログラムが実践されていました。そんなとき、公文式をメインプログラムとしている支援事業所(千葉県成田市の「就職するなら明朗アカデミー」)があると聞き、さっそく見学にうかがいました。百聞は一見に如かず。100点に大きなマル、利用者さんたちの笑顔、学習の場が模擬職場空間になっている。これはいい!と直感的に思い、すぐに導入しようと考えました」(志賀さん)。
そして、導入を検討する職員会議。「公文式を職業訓練プログラムのメインにしたい」とサテライトの職員とつかさ会の職員に話してみると、みなさん、「エッ?」という表情で、あっけにとられていたといいます。「あのときはですね、うちの理事長、いったい何を言いだすんだ?それ、大丈夫なの?と、半信半疑どころか、一信九疑くらいだったと思いますよ」と志賀さんは笑います。
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こうして、2012年7月、サテライトの開所とほぼ同時に公文式学習がスタートしました。サテライトの職業訓練プログラム(月~金)の概要は、午前中が公文式学習(算数・数学と国語)、午後はSST(Social Skills Training、社会生活技能訓練)やビジネスマナー講座などをはじめとする各種の実践的な内容で構成されています。
さて、「一信九疑」だった職員の方たちの思いは、その後どうなったのでしょうか。サテライトの松原さん(職業指導員)はこう話してくださいます。
「じつは、自分自身が公文を小学1年から6年まで学習していたので、教材の構成や指導法はわかっていました。でも、支援事業所で障害のある方が学習するというのは、正直しっくりこなかったのです。ところが、学習がスタートしてみると、利用者のみなさんがほんとうに集中して学習する。その集中力がとぎれない、つまり持続力がつく。これは就職にも役立つだろうと肌で感じられました」。
このときの利用者さん、いわば“1期生”は6人でしたが、学習スタートから1年から2年で、6人中5人が仕事に就くことができました。就職率83%です。もうおひとりも利用を延長して、“2期生”の皆さんと毎日通所しています。