子ども時代は動物やおもちゃの動きに興味津々
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私は動物園で動物を見るのが好きな子どもでした。その他に大好きだったのが、「ZOIDS」(ゾイド)という組み立ておもちゃです。ゼンマイというひとつの仕組みでいろいろな動きができることにとてもひかれ、「同じエンジンなのになぜ違う動きをしているんだろう」と不思議でした。当時同じように流行っていたガンダムのプラモデルは、動かないのでまったく興味をそそられませんでした。また、お絵かきや粘土をこねたりして何かを作ることも好きでした。
今考えると、それらは全部、現在の自分の研究である「復元」につながっています。おもしろいですね。
親は好きなことを自由にやらせてくれました。姉がいたので、姉がピアノをやれば自分もやりたいと始めたもののすぐ飽きる、といったこともありましたが……。短期間でしたが公文式教室へ通っていたこともあります。保育園の終わり頃から小4の途中まで、母の仕事の関係でアメリカで暮らしていたので、帰国後、日本の学校の勉強に馴染めるよう、親が配慮してくれたのだと思います。
小さい頃から「恐竜博士になりたい」と考えていた私は、中学生の頃にそのための進路を本格的に考えるようになりました。周囲には大学付属の高校に進む友人もいましたが、付属校は受験しませんでした。当時、自分で調べた限りでは、恐竜のことが学べそうな地球科学系の学部があるのは国立大学しかなかったからです。
それで国立大学を目指せる高校へ進みました。その後、浪人も経て…東京大学の理学部地学科へ進みますが、そこでは恐竜について学ぶことができませんでした。当時、日本で恐竜を教えられる先生がいなかったからです。また当時の古生物学は、「研究をしたければ自分で化石をとってこい」という考え方が主流で、国内で化石の産出が少ない恐竜研究においては、それがネックでもありました。
それで、ウミユリの化石の世界的な研究者である大路樹生先生のもとで、ウミユリの研究をすることにしました。ウミユリとは、植物ではなくウニやヒトデなどの棘皮(きょくひ)動物に分類される深海に生息する生き物で、「生きている化石」として知られています。外見がユリのようなのでこの名がついています。
研究対象は恐竜ではなかったものの、「生きていたときの姿をいかに確からしく復元していくか」という意味で、いい修行になりました。興味というのはどんどん広がっていくもので、今「ウミユリをテーマに何をしたいか」と問われたら、いくつも思いつきます。学んできたことでムダなことはなかったと実感しています。