トリケラトプスの標本を見続けても
いいテーマが思い浮かばず……
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大学院では、どうしても恐竜の研究をしたくて、大路先生に頼んだところ、上野の国立科学博物館の真鍋真先生を紹介してくださいました。日本で古脊椎動物研究の指導を本格的にはじめられた方の一人です。大学院で大路先生の指導を受けつつ、国立科学博物館の真鍋先生のもとにも通う、充実した研究生活が始まりました。ふたりの先生とも、やりたいことを応援してくれ、学生に考えさせる。その方針が私にはマッチしてありがたかったです。
国立科学博物館の展示室には、トリケラトプスの半身が完全に揃っている“いい標本”がありました。ただ実は、歩き方や前足の付き方がわからず、長年の論争の的でした。ヒキガエルのように脇を開けてひじを横に張りだして歩くのか、それともイヌやネコのように脇を締めて脚を真っすぐ下に伸ばすのか。同じ四足歩行でも歩き方はまったく変わり、体つきも変わるのです。
その答えが見つかっていなかったので、真鍋先生から「この標本を使って何か研究をしてみる?」と言われ、前足の付き方を研究することにしました。博物館の休館日である月曜に毎週通い、骨をなめるように見ていました。けれども何も見えてこず……。
修士課程の後半になると焦りました。博士課程で取り組めるようないい研究テーマが見つからず、先の見通しが立たなかったからです。博士に進むなら、その前に4~5年先の研究テーマを考えて、問題解決の方向性を決め、全体を構想できていなくてはなりません。しかし私は、トリケラトプスの標本をずっと見てはいたのですが、論文に出せるようないい研究にはなっておらず、半ば博士への進学をあきらめていました。
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