スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2021/10/29更新

Vol.070

特別対談 未来を生きる子どもたちのために③
  前編

学び合いが創り出す
KUMONならではのホスピタリティ

原 良憲 (はら よしのり)

兵庫県姫路市出身。1981年東京大学工学部電子工学科卒業。1983年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。2005年京都大学博士(情報学)。1983年日本電気株式会社入社以来、日本と米国・シリコンバレーの研究拠点で、メディア情報管理などの研究・事業開発に従事。2006年より京都大学経営管理大学院教授(現職)。同大学院院長(2018~2020年)、サービス学会会長、日本学術会議連携会員、京都市ベンチャー企業目利き委員会審査委員など。

各界の識者とともに、教育の未来やKUMONのこれからを探っていく対談シリーズ。今回は、サービス・イノベーション、インテグレイティド・ホスピタリティなどを専門に、京都大学経営管理大学院にて教鞭をとる原 良憲教授にお越しいただき、公文教育研究会 代表取締役社長の池上秀徳が対談を行いました。前編ではサービス業としてのKUMONの特色、KUMONならではのホスピタリティについて意見を交わしました。

教育サービスにおけるホスピタリティ

原:KUMONは、体系的な教材はもちろんですが、それを使って、先生たちが褒めて生徒の自己肯定感を高め、自学自習に導いていく学習法ですよね。実は、京都大学の基本理念のひとつに「対話を根幹とした自学自習」が掲げられています。創立時の初代の総長が述べられた中に、「自重自敬」という言葉があります。これは、自分とは何かを知り、高い倫理性に支えられた自由の学風の中で、創造的な学問を切り開いていく重要性を伝えられたものと思います。このような勉学を行う手段として、教師から言われて学習したり、あるいは、勝手に自学自習したりすることではなく、学生が他者との対話を根幹とした中で自学自習することが大切だということですね。これはKUMONと非常に近い考え方ではないかと思います。KUMONの場合は、先生たちが褒めて自学自習を支援するということを大事にされていて、そういうところが特に興味深いと思っています。

池上:自学自習というのは、教材に生徒自身が向き合い、教材と「対話」しながらどんどん先まで進んでいくのが本質です。指導者は、生徒が自ら持っている可能性に気づけるように一人ひとりを観察し、生徒が自分の力で伸びていけるように対話を行っていきます。生徒との対話とは、今日の学習課題の見通しを示したり、行き詰っているときにヒントを与えたり、できたときに褒めたりといったことですが、こうした指導者の指導がなければ、生徒の内発的な変化や成長は起こりにくいだろうと思っています。こうした自習方式で生徒の可能性を引き出す学習は一斉型の授業では難しく、公文式は必然的に個人別の学習をベースにしています。生徒の自学自習に指導者が関わることによって、能力開発につながっていくということが大事な点だと思っています。

特別対談:原良憲教授,池上秀徳

公文式教育の特長は、指導者が子どもの学習に献身的に関わることによって自学自習する力をどんどん伸ばしていく。つまり、自学自習にサービスという考え方を入れたということなんですね。もちろん創始者が公文式学習を始めた60年以上前は、サービスという言葉が今ほど使われていたわけではないですし、教育サービスという言葉もありませんでした。明治以来、教育というのは人が人に教えるもの、薫陶するものだという考えが根強くあって、伝統的な教育のあり方は子どもたちが道場で師からいろんな教えを受けるものだったと思うんです。
いい悪いではなく教育をとりまく風潮とはそういうものだったと思います。そういう中で、創始者は異質な考えをとったと言えます。

原:サービスというのは、ある程度標準的なレベルの価値の提供を目指すのに対し、ホスピタリティはそこを超えた価値を提供することと思います。KUMONの指導者は、明示的に教えるのではなく、生徒が自分で気づくように「見立て」たり、あるいは、生徒の無意識のふるまいや様子から気づいて「慮る」ことをされていて、ホスピタリティの要素を含んでいると言えます。そこはかとなく、さりげなく伝えるといった暗黙的なコミュニケーションですが、それは、生徒だけでなく、うまく教えられたときの先生自身の自己効力感の向上にも繋がると思います。

池上:ご専門の先生から「ホスピタリティ」という言葉で公文式学習の価値を言っていただけるのは嬉しいです。おっしゃる通り、学習者の気づきを大事にする、その蓄積により、自己肯定感を育んでいく。そのことがKUMONの価値であり、KUMONの指導者の価値でもあります。
創始者の公文公は「学習」という言葉を大切にしていました。「学習」は学んで習う、つまり学習者の立場です。創始者は、先生も子どもの目線に立ち、子どものことを学ぶ学習者になってほしかったのだと思います。子どもから学ぶというスタンスは、創業からずっとこだわってきていることです。指導者が「自分の公文式教室は子どもたちに作ってもらった」と言っていることを聞くことがあります。要は生徒が教室のレベルを上げてくれたということですが、顧客によってサービスの質を高めていくということが重要だと思うんです。

生徒と先生が共に創る学習プロセス

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