スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2014/03/20更新

Vol.007 発達心理学者 田島信元先生  前編

もって生まれた学習能力
衰えることはない
生涯にわたって発達し続ける

田島 信元 (たじま のぶもと)
1946年生まれ。東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒業。東京大学大学院教育学研究科修士(教育心理学専攻)。博士(人間科学)。北海道大学教育学部発達心理学研究室助手、東京外国語大学外国語学部心理学研究室助教授・教授を経て、現在、白百合女子大学教授・同大生涯発達研究教育センター所長。

大人になったら人としての発達は終わり、と思いがちですが、赤ちゃんでも高齢者でも、人は生きている限り、条件さえあれば発達し続けるそうです。その条件を明らかにしようと、「生涯発達心理学」の研究を続ける田島信元先生。人の発達に影響をおよぼす大切なこととは? ご自身の体験を踏まえながら、発達心理学の視点から、意欲的に学び続ける秘訣もうかがいました。

人はいろいろな人と関わることで発達し続ける

親や友だち、保育士や先生など、子どもはさまざまな人と関わりながら大人になります。その過程で、どのような関係性やどういう側面が発達に影響をおよぼすのか。私はそれを明らかにしようと研究を続けています。

最近では歌いかけや読み聞かせの影響を中心に研究していますが、その際、高齢者と小学生がひとつのチームになって、乳幼児に読み聞かせをするという試みもしています。なぜそうするかというと、さまざまな世代の人との交流が、子どもたちの発達を促すと予測したからです。興味深いのは、読み聞かせを「受ける」乳幼児はもとより、「する」側の小学生たちと高齢者も変化していく、つまり発達していくのが見てとれることです。

一般的な発達の過程を簡潔に説明しておきましょう。例えば0~1歳の乳児期には、基本的に身近な一人の大人、多くは母親ですが、その一人とやりとりすればよく、そこから「自分には頼れる人がいる」と安心感や信頼感を得て、ひとつ大きな発達を遂げます。

幼児期になると、友だちと触れ合うようになりますが、すべてのことを受け入れてくれた母親とは違い、思うようにはいきません。戸惑いを感じ、「自分とは異なる人がいるんだ」ということを受け入れざるを得なくなります。ここでも子どもは急速な発達を遂げます。他者の存在に気づくと、人とつき合う態度だけでなく、自分の欲求をコントロールできるようにもなるからです。これを「発達課題の達成」といいます。

同様に、児童期・思春期・青年期とさまざまな人と関わるなかで、いろいろな発達課題が生まれますが、それを葛藤しながら乗り越えて達成していくと、またひとつ大きく伸びます。その意味では人間はさまざまな人との関わりを続けていく限り、生涯発達していく可能性があるといえ、成人期以降も発達が止まることは原理的にはありません。

発達が止まるとすれば、つき合う人の範囲が固定されたり、発達課題にチャレンジしなくなったりするからです。成人期以降は個人差がものすごくあり、チャレンジングな人は高齢でもどんどん伸びます。いろんな人たちと関わっていこうという積極的な気持ちがあれば、ずっと発達し続けるのです。

母から学んだ事とは?

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