インドネシアで循環型ビジネスを構築
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私は現在、丸紅インドネシア代表という立場で、インドネシアにおける丸紅の事業オペレーションの責任者をしています。新型コロナのパンデミックの最中の2021年2月に着任しました。
総合商社の事業は非常に多岐にわたっています。当地でも、石炭などの資源のトレード、発電所や180社のテナントがある工業団地の運営、二輪車の販売金融事業、建設機械のリース事業を展開しているほか、身近なところでは食料事業で、皆さんが回転寿司などで召し上がる寿司ネタのエビや、コーヒー豆などを日本やアメリカ向けに輸出しています。
最近ではヘルスケアメディカル事業も手掛けています。インドネシアに赴任前はヘルスケアメディカル事業部長をやっていたこともあり、当地の最大手の病院グループには2年ほど前から出資参画しています。
このように、私たちは総合商社として多岐にわたるビジネスをインドネシアでも展開しているわけですが、インドネシア西端に位置するスマトラ島で取り組んできた、植林・パルプ事業も、大きな柱の一つです。「PT MHP(=Musi Hutan Persada)」は当社が20年以上続けてきた植林事業で、東京都の1.3倍の面積の土地に、今はコスト競争力のあるユーカリを植林しています。
そしてその植林地に隣接して、ティッシュペーパーなどの原料となるパルプ製造の工場「PT TEL(=Tanjungerim Lestari Pulp&Paper)」を併設しています。植林地にゼロから木を植えて6年かけて育て、それをパルプに加工するという循環型モデルが世界的にも珍しい特徴で、持続可能な植林経営に取り組んでいます。
丸紅はグリーン戦略を企業価値向上に向けた基本方針と位置づけていますが、インドネシアでの持続可能な紙パルプビジネスも、グリーン事業を代表するものとなっています。
さらに、この事業を通じて、ジャングルの中の土地で1万人以上の雇用を生み、地域の課題やニーズに応じた支援を行ってきました。2000年には小・中学校(TEL学校)を設立し、奨学金や学校運営費を拠出しています。この学校で従業員の子弟が学び、そして卒業生の多くがTEL社への就職を希望しています。これもまた良い循環だと考えています。