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Vol.462 2022.11.22

KUMONの取り組むSDGsを考える④後編

教育はSDGsの基盤
一人ひとりに向き合いながら
「ソーシャルグッド」を目指して

2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標が「SDGs(=Sustainable Development Goals)」。こちらの企画では、各界のオピニオンリーダーや実践者の方々をお招きして、公文教育研究会のSDGs委員会・アンバサダーメンバーの社員との対話を通じ、教育で社会の課題解決へのグローバルな貢献を目指すKUMONの取り組みへの理解を深めていきます。
今回お話をお伺いするのは、トイレのバリアフリーに関する研究をした経験をもとに、トイレにおけるジェンダー課題を解決するためのチーム「Plunger(プランジャー)」で活動する原田怜歩さん。公文国際学園の卒業生で現在は東京大学の学生である原田さんに、プロジェクトの成り立ちやSDGsへの取り組み、またKUMONに期待することなどを伺い、社員とともに話し合いました。

目次

原田 怜歩(はらだ らむ)

東京都出身。公文式学習経験者。公文国際学園高等部在学時に「トビタテ!留学JAPAN」代表留学生として渡米。コロナ禍により10ヵ月間のアメリカ留学となったが、アメリカにおけるジェンダーフリートイレの普及状況調査を行った。トイレにおけるジェンダー課題を解決するためのチーム「Plunger」を立ち上げ「SDGsを漫画で学べるトイレットペーパー」を製作、「日本トイレ大賞2021」を受賞。現在は東京大学に在学中。

公文教育研究会 会談参加メンバー(敬称略)
埼玉リージョナル推進チーム 柳原
甲府事務局 土屋
人事部採用育成チーム 澤崎

問題が生じたときに対立することなく
誰もが対等に話し合える環境が必要

原田 怜歩さん

―― 原田さんが現在、改善したいと思っている社会課題などはありますか?

原田:私は「Plunger」という団体で活動しているので、取材を受け発信する機会がありますが、個人で活動しているとまた違うのかなと感じます。

たとえば個人だと、SNSなどインターネット上での発信がメインになり、いい意見を言っていても同じような発信が起こりすぎて大きなインパクトになりづらい印象を受けます。また、インターネットを介してしまうと、ただ誰かの意見を聞きたいだけなのに、対立構造や炎上になってしまうことも多く、対等な関係で議論をすることが難しくなりがちですよね。

原田 怜歩さん

私自身も過去にプロジェクトをすごく批判されたことがありました。インターネット上では説明の時点で賛成か反対かという論調になって、意見を聞くモードになりづらいことは少し残念に思います。ですから、こういうことをやりたいと思ったときに、誰もが対等に話し合うとか雑談して意見を出し合える環境が欲しいですね。昔から今も続く課題なので、大学入学後に新たなプロジェクトとしても取り組んでいます。

―― 原田さんはまさにSDGsの広報大使のような活動をされていますが、SDGsについて目下感じていることはありますか?

原田:学校教育でも企業の研修でもどんどんSDGsが伝えられて、SDGsを知ることで見えてくる世界もあると思います。もっとこの動きが広がればよいなと思うと同時に、学んだ情報や知識をいかに具体的に実行するか、その方法を考えるとかアクションにつなげることを強化できたらいいなと思います。

このトイレットペーパーは4コマ漫画形式になっていて、3コマは知識で最後の1コマではアクションに繋げていくことを重視しています。そういうサイクルを作っていきたいです。

一人ひとりの学びの芽を摘まないように

一人ひとりの学びの芽を摘まないよう
声掛けやサポートの姿勢が重要

原田 怜歩さん

人事部採用育成チーム 澤崎:私たちはSDGsの中では質の高い教育、パートナーシップでの目標達成に取り組んでいると伝えていますが、決して限定した項目に特化しているわけではないんです。

KUMONは未知の分野を自学自習することで、これからの予測できない社会に取り組んでいける挑戦心や集中力が育つのではないかと考えています。もちろんこれはSDGsが提唱される前からKUMONが持ち続けている考え方なのですが、原田さんから見て、KUMONとSDGsの関わりについて何か感想はありますか?

原田:長年のKUMONユーザーで学んできた経験から思うのは、KUMONが単純な学習の教育というより人間全体を教育しているということです。SDGs全体の基盤を作るのが教育なのだと思います。

今の取り組みを続けてほしいのと同時に、教室や公文の先生方には、一人ひとりの学びの芽を見つけて、大切に伸ばしていただきたいと思います。芽を出そうとしているけど踏み出せずにいる子に対しては「こういうことに興味があるの?」って声掛けすることで変わると思いますし、私も決して自分一人で「Plunger」の活動ができるようになったわけではなく、公文国際学園の先生の声掛けがきっかけでもあったので、サポートや見守りの姿勢ができていたら嬉しいですね。

KUMONというと、単純にプリントを解く先取り学習だと思っている人もいるかもしれませんが、私が長年やっていて思うのは早い段階で集中力がつくのが大きいです。何かやるぞって決めたときにやり通す力は早めに養った方がいいと思います。

大学に入っても、やってみようって挑戦するとか目標設定するとか、得意な人苦手な人がいるなと感じるので、人生を豊かにするためのツールのひとつだと思います。また、個人個人にフォーカスしているため、みんなと歩調を合せなくてもいいところも大きな価値ですよね。世界共通して使える、一人一人があるべき姿の基盤になっているのかなと思っています。

甲府事務局 土屋:一番教室との距離が近い事務局で仕事をしていますので、学習経験者である原田さんが実感されている公文式の魅力や価値を、公文の先生方をはじめ、生徒さんや保護者様へ伝えていきたいです。また、今はオンラインでも学習できるようになり、不登校でしたがオンラインで公文式学習と出合えた生徒さんもいます。引き続き多くの方々が公文式学習との接点を持てるよう地道に活動を続けていきたいと思います。

選択肢をできるだけ広げることを大切に

選択肢を狭めることはいつでもできる
できるだけ広げることを大切に

埼玉リージョナル推進チーム 柳原:原田さんは社会への貢献に視野が広がっているのが非常に素晴らしいですが、一方で若い人たちの間ではやりたいことが分からない、好きなことが見つからないという声も聞きます。何かメッセージやアドバイスがあればお願いします。

原田 怜歩さん

原田:私自身も最初はやりたいことが分からない状態で、何を大事にしてきたか振り返ってみると、日常的な人と人のつながりを大事にしてきたなと気づきました。その瞬間に分かることは少なくて、時々振り返ることで、今後もそれを継続していきたいかが分かるかもしれません。

そして私もまだ将来の夢は決まっていないんです。決まってないというのは、やりたいことがないわけではなくて、あまりにもいろいろなことに手を出して、やりたいことがたくさんあるから決めきれていません。ただ、狭めていくことはいつでもできるので、今は時折振り返って自分の軸を見つめながら、なるべく広げて選択肢を削らないことが大切なのかなと思います。

―― 今後取り組みたいことについて教えてください。

原田:これからもトイレやジェンダーについての取り組みや研究を続けるつもりですが、そこに特化したいわけではないんです。大学でさまざまな人の話や講義を聴く中で、誰かのためになること、一人ひとりにプラスで「ソーシャルグッド」なことをしたいという自分の芯や軸は変わっていないことに気づきました。

人と人との繋がりを意識して生きてきたからこそ、人がやりたいことをサポートしたりその人の道を開くサポートをする。人と人との橋渡しやつなぎ役として社会に関わり、次第に自分のような仕事がフェードアウトしていくような社会が理想的です。

原田 怜歩さん

私はたまたまトイレとジェンダーについて取り組みましたが、他にもやろうとしていた人がいるのではないかと思います。ですから、私が第一人者になるのではなくて、この先、他の人も手を挙げてほしいですし、大きなインパクトになっていけばいいですね。

前編を読む

関連リンク All Gender Toilet Project Plunger. Plunger | 100BANCH 公文国際学園 トビタテ!留学JAPAN


原田 怜歩さん  

前編のインタビューから

-トイレットペーパーは新たな自学自習の媒体になり得る
-1歳から始めたKUMONと自分の原点
-日本と海外の先進的なトイレを伝えたい

前編を読む

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