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Vol.090 2022.08.19

スキージャンパー
渡邉陽さん

<後編>

「やり抜く力」を身につけて
楽しみながらあきらめずに続けよう

スキージャンパー

渡邉 陽 (わたなべ みなみ)

1997年札幌市生まれ。小学校3年より札幌ジャンプスポーツ少年団でジャンプ競技を始める。中学2年より全国中学生スキー大会に出場。中学3年のとき全国中学生スキー大会の競技中に転倒し前十字靭帯断裂のケガをするも、リハビリを経て札幌日大高校1年の秋に競技に復帰。高校2年から海外遠征のFISカップ・コンチネンタルカップ・世界ジュニア選手権に出場。高校3年でシニア大会初優勝。インターハイ2連覇など高校時代は成績を残し、東海大学に進学。大学1年の時に出場した世界ジュニア選手権男女混合ミックス戦にて銅メダルを獲得。卒業後は、東部ダイハツグループにて自動車販売営業に携わりながら競技を続け、2022年4月からはプロアスリートチーム「team taku」に所属。

「飛ぶのが大好き!」と大きな瞳を輝かせながら、ジャンプについていきいきと語るスキージャンパーの渡邉陽(みなみ)さん。ジャンプ歴は今年で15年になるそうです。その間、インターハイ2連覇などの成績を残しましたが、ケガに見舞われたり再発したりと、道のりは決して平坦ではありませんでした。大学卒業直前となってしまった就職活動やスポンサー探しも自らの手で切り開き、現在は選手活動の一方で、スキージャンプの魅力を知ってもらうための広報活動も精力的に行っています。そのバイタリティとタフさは、公文式で「やり抜く力」を身につけたお陰でもあるそうです。好きなことにまっすぐに取り組む渡邉さんに、ジャンプへの思いや今後のプランなどについて伺いました。

目次

中3でケガに見舞われ約半年のリハビリ生活
高校入学式は松葉杖で出席

渡邉陽さん

私は一人っ子で、わが家は私のジャンプ中心の生活。ジャンプに合わせて家族も動いてくれました。そうして支えてくれた両親のおかげで、のびのびと好きなことに挑戦する中、中3のときに、富山県で開催された全国中学生スキー大会の競技中に、前十字靭帯断裂の怪我をしてしまいました。じつは前十字靭帯は切れていても痛くなくて、もう1本飛んでしまったんです。着地できるかと思ったら、それが無理で転倒してしまい、救急車で運ばれました。1ヵ月の入院と6ヵ月のリハビリを経て、高1の秋に競技に復帰することができましたが、リハビリ中は足がいうこときかなくてつらかったですね。

それで高校の入学式は松葉杖で出席しました。ジャンプ中心の生活のため、学園祭や卒業式などの行事はほぼ参加できませんでしたが、友だちとはジャンプの練習後など時間を見つけて遊んでいました。これも、いろんなことを効率よく回すトレーニングを小さい頃からしていたからこそなせる技、なのかもしれません(笑)。

高2からは海外遠征のFISカップやコンチネンタルカップに出場しました。FISカップで30位以内であればポイントがもらえ、次のコンチネンタルカップに出られます。そこでまたポイントがもらえれば今度はワールドカップ出場の権利が与えられます。ワールドカップに出て30位以内になってポイントが得られたらそのポイントは生涯使えます。けれどもFISカップやコンチネンタルカップのポイントは1年半で切れてしまうんです。なので、ワールドカップのポイントがなければ、またFISカップやコンチネンタルカップでポイントを取らねばなりません。振り出しに戻るわけです。それで大学1年までFISカップとコンチネンタルカップに出場するというのが私のルーチンでした。

私はこれまで出たワールドカップは「31位」なので、現在ポイントを持っていない状態です。ただFISカップのポイントはあるので、コンチネンタルカップをとる必要があります。今年はその日程が大切な国内試合と重なっているので、出場についてはコーチと相談しているところです。

高校時代に話を戻すと、高3のときにはシニア大会で初優勝、インターハイ2連覇、JOCジュニアオリンピックカップ優勝などの成績をあげましたが、大学1年の春に前十字靭帯断裂の後遺症が発症し、リハビリを行いながらワールドカップ札幌大会・蔵王大会に出場して、大学2年のときには前十字靭帯の再手術をし、約1年間のリハビリを経て競技に復帰しました。

渡邉さんが描く今後のアスリート像とは?

スキージャンプの魅力を広め
新しい女性アスリート像を自ら創造したい

渡邉陽さん

そして、大学4年となったのですが、忙しすぎて就職先を考えることを忘れていて(苦笑)。じつは復帰する際、北海道を拠点とするプロ野球の日本ハムによる次世代スポーツ人材育成型クラウドファンディング「ファイターズクラウドファンディングアスリート」第1号選手に選ばれ、球団イベントで道内の自動車販売会社の社長の方と知り合いました。

そのことを思い出してしばらく時間が経っていたのですが、メールをしたらすぐに会ってくださり、熱意を伝えたところ内定もいただきました。卒業直前の2020年2月のことです。それで最初にお伝えしたように、2年間は車の営業をしながら競技を続けていたのですが、長野にも拠点を置くことになったため退職して、team takuに合流し現在に至ります。

私がteam takuへの合流を決めたのは、競技に集中できる環境があることに加え、スキージャンプのことを知ってもらおうといろんな角度で活動していることに共感したからです。例えば、ジュニア選手を増やそうと長野で毎年ジャンプ大会を開いています。他の地域でも大会を開催し総合優勝したジュニア選手をワールドカップに連れて行き、そこでのジャンプを楽しんでもらう計画もあります。長野のフットサルチームのアンバサダーをしていますし、アパレルブランドの展開やSNSでのライブ配信にも重点を置いています。

私自身も、日本橋にあるオーダーメードのシューズメーカーのアンバサダーを務め、ジャンプの認知度を高める活動に力を入れています。日本、とくに東京ではスキージャンプはまだマイナー競技です。選手自体も受動的、特に女子選手にその傾向が強いと感じているので、それをなんとかしたいと考えています。

競技においては、スポンサー探しに苦労している選手がかなりいるのが現状です。これはジャンプに限った話ではありません。大学までは選手として活動はできても、社会人となるとスポンサー企業を見つけなくてはならないことに加え、ある程度の成績がないとその先にいけません。才能や熱意があっても続けることが難しくなります。

私はこれ以上そんなアスリートを出さないようにしたい。それにはどうしたらいいのか自分なりに考えたところ、アスリートと経営者をつなぐコミュニティをつくることを思い立ちました。具体的な内容はマネージャーと検討中ですが、資金援助をしてもらうだけでなく、アスリートが売上に貢献できるような仕組みを考えているところです。女子選手のセカンドキャリアにも関心があるので、そうしたことにも対応できるような会社をつくるなどして、起業家精神を兼ね揃えた新しい女性アスリート像を自ら創造したいと思っています。

育ててくれた北海道への思い

「ただただ、飛びたい」
育ててくれた北海道に恩返しがしたい

渡邉陽さん

振り返るとケガやリハビリで飛べない期間がけっこうありましたが、私には「やめる」という選択肢はまったくありませんでした。それはなぜか。「ただただ、飛びたい」からです。そして、「今のままでは終われない」という気持ちがあるからです。ワールドカップには出させていただきましたが、オリンピックにも世界選手権にも出ていません。ですから、まずは2026年のイタリアでの五輪、そして開催がほぼ確実視されている2030年の札幌五輪に出て成績を出したいと思っています。そうして25年間私を育ててくれた北海道に恩返しがしたいです。

つらいこと、思うようにならなかったことがあっても、「今日がんばったら友だちに会える」「あさってオフだから明日がんばろう」という楽しみをモチベーションに、へこたれずにがんばっています。子どもたちも、くじけそうになったら、そんなふうに乗り越えていければいいかもしれませんね。ただ、勉強はしておいたほうがいいよと伝えたい。そして、勉強でもスポーツでも、自分が納得するまで楽しみながらやり切ってほしいです。

特にスポーツは楽しんでやらないと続きません。それからスポーツをやりたい子は英語をがんばるといいですね。スポーツで使用する言葉は英語が多いですし、意味がわかると「こういう身体の使い方ができるんだ」と深く理解することができますよ。

私自身、両親が私のやりたいことをやらせてくれたお陰で今がありますので、保護者の皆さまには、お子さまがやりたいと思ったことはぜひやらせてあげていただきたいと思います。とはいえ家庭の事情もあり難しい場合もあるでしょう。そのとき保護者を説得するとすれば、熱意しかありません。あとは「公文のプリントをがんばるから、あれをやらせて」といった交渉でしょうか(笑)。

「熱意と交渉」で人の心を掴むのは、大人になった今でも同じです。熱意を持って接することで、ジャンプの魅力を知ってもらい、一人でも多くの方に応援していただけるよう、これからも明るく前向きに取り組んでいきたいと思っています。

前編を読む

関連リンク Minami Watanabe 渡邉 陽 (@minami___0905) • InstagramMinami Watanabe 渡邉 陽 (@minami___0905) 個人Twitterスキージャンプ選手 渡邉 陽 公式 (@5pdhj2JtOgNkIDP) / TwitterMINAMI WATANABE Promotion movie


渡邉陽さん  

前編のインタビューから

-札幌と長野の2拠点の現在の活動について
-「生身の人間が空を飛ぶ」スキージャンプの魅力
-やり抜く力と優先順位が身についた公文式

前編を読む

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