選べるチャンスがあるときは、「やってみたいこと」を選ぼう
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振り返ってみると、公文時代から、その都度自分で目標を設定し、モチベーションをあげてきたように思います。そして自分で選べるチャンスあるときには、「やってみたいこと」を選んできました。これが、夢を現実に近づける秘訣ではないかと思います。
私の場合「チャンス」というのは、たとえば産総研の中で、何を研究するかを自分で決めることができたということです。でもこれには同時にリスクも伴います。とくにトンボ研究に関しては、やりたいことをやっているように見えますが、先にお伝えしたようにトンボは研究の先例が大変少ないため、研究方法も確立されていません。サンプルも自分で調達しなくてはなりませんし、どんな結果が出るかもわかりません。でもリスクがありながらも、何をやるかは自分で選べる。そこで「チャレンジするなら今しかない」と思って行動した結果、今があります。
やりたい研究ができるのは、ある程度自由な研究の場を提供してくれているグループ長や部門長はじめ周囲の方々のお陰で、出会いに感謝しています。同時に、なにかを達成するには、やはり本人の地道な努力が大事です。本当にやりたいことがあるのなら、勉強はしっかりやっておいたほうがいいと思うことがあります。そうすれば、やりたいことができるチャンスが広がるように感じています。
例えば研究者にとっては論文を書くのは非常に重要で、論文は英語が基本なので英語力は必須です。でも、より大事なのは国語力です。英語はAIなどを使った自動翻訳で対応できる未来が来るかもしれませんが、それでもオリジナルの日本語の文章力や、論理が破綻していたらどうしようもありません。また、生物の研究では結果を数値として表すことが多いため、解析には数学的なセンスも欠かせません。こうした基本的な力を地道に積み上げてきたことも、私が夢に近づけた一因かもしれません。