トップ > KUMON now! > OB・OGインタビュー > アート・トランスレーター/Art Translators Collective主宰 田村 かのこさん(前編)

OB・OGインタビュー
Catch the Dream - 夢をかなえる力

2020/08/07更新

Vol.071 アート・トランスレーター
田村 かのこさん   前編

今ある“型”にはまらなくていい
自分にできることを一つずつ進めていけば
自ら“型”をつくることができる

田村 かのこ (たむら かのこ)
東京都生まれ。都内の中学校を卒業後、スイスのアメリカンスクールを経て、2008年タフツ大学工学部土木建築科(米国)卒業、2013年東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業。2016年から2018年まで、東京藝術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻で助教を務めたのち、同大で非常勤講師としてアーティストのためのコミュニケーション授業「アートコミュニケーション」を担当。アートを専門とする通訳・翻訳者の活動団体「Art Translators Collective」主宰。札幌国際芸術祭2020では、コミュニケーションデザインディレクターとして、展覧会と観客をつなぐメディエーション(媒介)を実践。NPO法人芸術公社所属。

現代アートや舞台芸術のプログラムを中心に、日英の通訳・翻訳、編集や広報など、幅広く活動されている田村かのこさん。「アートと人と言葉の間に立つ媒介者でありたい」と、自身の職業を「アート・トランスレーター」と名付けて活躍されています。幼い頃から絵を描くのは好きだったそうですが、それを仕事にすることは考えず、学生時代は将来を思い悩み、紆余曲折があったと振り返ります。公文式で学んだことをきっかけに数学好きになり、アメリカで土木工学を学んだ経験もお持ちです。公文の教室での思い出なども含め、現在に至るまでの道のりや、心がけてきたことについてうかがいました。

「媒介者」としてクリエイティブな翻訳・通訳の可能性を探る


札幌国際芸術祭でのコミュニケーションデザイン
ディレクターとしての活動風景(一番右)

私が名乗っている「アート・トランスレータ―」とは、簡単にいえばアート専門の通訳・翻訳をする職業です。もちろん通訳・翻訳は従来からある仕事ですが、アートの中でもトランスレーターの役割を認識してほしいという思いを込めて、自らこう名付けました。通訳・翻訳は正確性が重要視されますが、アートの世界では言葉を伝える過程にも創造性を発揮して工夫する余地があると考え、その可能性を仲間と探っています。

具体的には、現代アートをベースに、海外アーティストの来日時に開催するトークショーで通訳をしたり、展覧会のカタログやアート関連の記事を翻訳したりしています。日本語の表現ではこだわっているのに、外国語は得意でないからと、訳者にお任せのアーティストも少なくありません。しかし言語がわからなくても、アーティストとトランスレーターが協働すれば、単純に言語を変換する作業ではなく、どうしたら表現としておもしろくなるか、伝え方自体も考えていける可能性があります。アーティストにとっても表現の幅が広がり、トランスレーターにとってもやりがいが増えると思っています。

ところで、「現代アート」には難しいイメージがあるかもしれません。たしかに建築や演劇などさまざまな分野を横断して表現することや、作品の題材も「5世紀の音楽」や「難民問題」など幅広く、パッとみて「わからない」と思うのは当たり前です。ですから見てすぐに理解できないことを気にする必要はありません。

ではどう見ればいいのかというと、「謎解き」だと思って作品を見てみてください。そこにあるのは、わかりやすい答えではなく、何かの「提案」や「問いかけ」です。ヒントは作家の出身地や年齢にもあります。たとえば60年代のアメリカで作られた作品だったら、ヒッピー活動に影響を受けているかもしれません。「世界をこんな風に見る方法があったのか」「人の喜びや苦しみをこう表現するのか」と、体が震えるほどの感動があります。

問題提起をするには、わかりやすい言葉で伝えることが効率的と思うかもしれませんが、アートによって伝わったときの力はとても大きい。頭での理解を超えて経験や感覚に訴える力があり、その記憶が心の支えになったり、数年後によみがえってきたりします。そういったアートならではの作用は、とても重要だと思っています。

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