OB・OGインタビュー
Catch the Dream - 夢をかなえる力

2015/06/12更新

Vol.020

建築史・建築批評家 五十嵐太郎さん  後編

誰もやっていないことに
チャレンジしてみよう

未経験はむしろ自分の可能性
ひろげるチャンス

五十嵐太郎 (いがらし たろう)

1967年フランス・パリ生まれ。1990年東京大学工学部建築学科卒業。1992年東京大学大学院修士課程修了。博士(工学)。中部大学工学部助教授、東北大学大学院准教授を経て、2009年から東北大学大学院教授。ヴェネツィアビエンナーレ国際建築展2008の日本館コミッショナー、あいちトリエンナーレ2013の芸術監督を務めた。著作に『現代建築に関する16章』(講談社現代新書)、『被災地を歩きながら考えたこと』(みすず書房)、『建築と音楽』(NTT出版)、『戦争と建築』(晶文社)など多数。

「建築史・建築批評家」として、「建築」という分野に軸足を置きながら、新聞の書評委員や映画のコメンテーターとしても活躍されている五十嵐太郎さん。来場者62万人を超えた「あいちトリエンナーレ2013」では、芸術監督を務められました。「より多くの人に建築はおもしろい!と思ってもらいたい」との思いで多彩な活動をされている五十嵐さんに、建築の魅力や「建築史・建築批評家」として活動される背景などについてうかがいました。

社会はどう変わるかわからない「知的好奇心を持続できる人」が強く生き残る

東北大学大学院教授 建築史・建築批評家 五十嵐太郎さん

大学院に入って、真剣に建築を学ぶようになったぼくが博士論文に選んだのは、誰も手掛けていなかった「日本の新宗教」でした。思想や哲学と建築とのつながりを論考したものです。その頃、ぼくは建築評論雑誌に文章を書いたりもしていて、批評にも関心があったので、そうした視点も盛り込みました。ラッキーなことに、この博士論文は完成前に書籍化が決まり、『新宗教と巨大建築』(講談社現代新書)というタイトルで出版されました。

*現在はちくま学芸文庫より『新編 新宗教と巨大建築』として刊行

結局、博士課程を5年、研究生を3年やったのち、2002年に中部大学工学部建築学科講師に就任しました。博士時代に非常勤講師などを兼務したりしましたが、ここで初めてきちんとお給料をもらえるようになったんです(苦笑)。このとき35歳になっていました。

その後、2005年に東北大学の准教授になり、現在は教授として学部生も院生も教えています。学部生には建築の基本的な知識を講義して、習得させるようにしていますが、院生には繰り返しはやらず、毎年違うテーマで発表をしてもらいます。ぼくは方向性を示すことはありますが、研究室では基本的には学生がテーマを見つけて、一緒に学び合う場としています。例えば駅舎についての修士論文を書きたいという学生がいたので「戦後間もなく国鉄(当時)が自らつくったモダニズムの駅舎があるんだけど、素晴らしいのにほとんど評価されていないんだよ」といった「入口」をつくってあげたら、そこから学生自らどんどん調べていって結果的に私も勉強になった、というように。自分たちで問題設定をしてどう解決するかが大事ですし、ぼくが知っていることだけだとぼく自身が面白くありませんから。

学生を含め若い人たちには、知的好奇心を持続してもらいたいと思います。それはぼくも取り組み続けていることですが、難しいことでもあります。でもこの先、社会はどう変わるかわかりません。そのときに強いのは、知的好奇心を持続できる人だと思います。

五十嵐さんが未経験のことにチャレンジする理由とは?

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