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Vol.501 2023.12.19

児童発達支援・放課後等デイサービスでのKUMON

公文式学習を通じて
一人ひとりが目標をもち
将来必要な力を身につけてほしい

児童発達支援・放課後等デイサービス「びっかむ」(大阪府大阪市)は、未就学児から高校生までの発達で気になることや障害のある子どもたちが、幼稚園・保育園や学校の放課後、長期休暇中に安心して過ごすことができる場所です。「びっかむ」の語源は「become(~になる)」。「びっかむ」で過ごす中で必要な力をつけ、目標に向かって自立してほしいという願いがこめられています。利用者の「自立」を第一に考えて療育を行っている「びっかむ」のみなさまに、公文式を導入した理由や公文式学習での利用者の変化などを聞きました。

目次

公文式学習を
療育の中心に据えたい

藤内健治代表(左)、藤内大介先生(右)

「5分後の4時から、公文の学習を始めるよ」のかけ声とともに、子どもたちはそれぞれが取り組んでいたことの手を止めて片付けを始めます。そして、用意された教材を自分で取りに行って机の上に置き、静かに学習の準備をして開始のあいさつを待つ…、この光景が「びっかむ」では毎日くり返されています。

「びっかむ」の藤内(ふじうち)健治代表に公文式学習導入の経緯を聞きました。

「知人が運営する放課後等デイサービスの立ち上げを手伝ったご縁から、そこでの公文式導入にも関わりました。障害の程度に関係なく、どの子も公文式学習をきっかけに『座る』『指示を聞く』『あいさつをする』『集中して取り組む』『場面を切り替える』『やるべきことをやりきる』などができるようになるのを目の当たりにし、『びっかむ』でも療育活動の要として公文式を導入したいと考えました」。

さらに導入の成果については、「2019 年に導入して4 年以上が経ちましたが、前述の力はもちろんのこと、『自信をつけて積極的になった』『他者への配慮ができる』など、子どもたちの成長を実感しています」と学習面にとどまらないものがあるとのことです。

社会に出たときに必要な
力を身につけてほしい

「びっかむ」で大切にしていること、目指すことについて、藤内代表はこう言います。

「将来社会に出たときに、その子が困らないようにするためには、自分の意思や考えを自分で伝えられることが必要だと考えます。大人が先回りして環境を整えるのではなく、本人が自分の言葉で言えるように、こちらが待ったり、ときには誘導したりすることを心がけています。また、安心して失敗でき、何度もチャレンジできる、くじけない心を養う場でありたいと思っています。ここで小さな成功体験を積み重ねて、みんなで喜び合いたい、自信をつけてほしい…、これらが公文式学習を通じてできるのも大きな意義があります」。

次に公文式学習をメインで担当している藤内大介先生から、導入することが決まったときの気持ちを聞きました。

「自分自身、中学生のときに数学が苦手になりました。しかし、通っていた塾の先生が、できなくなったところから復習する課題をくり返し与えてくれ、練習を積み重ねた結果できるようになって、苦手だった数学が得意になりました。公文の教材を見たときに、『あ、これや! 自分に合った、ちょうどいいところを学習できる!』と思いました。また、『自学自習』というスタイルが、びっかむの目指す『自立』につながるのもいいなと思いました」。

より深く公文式学習を知るために教材を解いているという大介先生。「たし算の課題ひとつを見ても、たす1をたくさん練習して、たす2に進んでまた練習して、たす3へ…というスモールステップと反復練習によって力がついていくと実感しています。たす3、たす4 までは順調でも、たす5になって急につまずく子もいます。一人ひとりの『苦手』に気づくことができるし、もう一度すらすらできるところに戻って助走をつけて、たす5を乗り越えることができるのもスモールステップの教材だからできることだと思います」。

学習を通じて、自分と向き合う 
できる喜びが自信となる

公文式学習を通じて成長した利用者の事例を紹介します。

現在中1のAくん(ADHD:注意欠陥・多動症)。「びっかむ」で公文式学習を始めるまで、学校の授業中に教室から飛び出したり、ずっと寝ころんでいたりと、授業時間が苦痛に感じることがあったようです。小3で数字の表の数唱・数書の課題から学習をスタートした当初は、1問解いたら寝ころぶ、という状態でしたが、数か月後には10 枚のプリントを一気に解くことができるようになりました。たし算、ひき算と課題が進むうちに毎日決まった枚数のプリントに取り組むことができるようになり、難しいと感じる課題でも「もういやだー!」と投げ出したくなるのをぐっとこらえながら取り組めるようになりました。

学校の先生とのコミュニケーションも大切にしている「びっかむ」では、お迎えの時に先生と話すこともあります。学校の先生から「Aくんは『ぼくは公文(の課題)だったらできる』と言っています。どんな学習をしているんですか?」と尋ねられたことを機に、びっかむでの学習内容を伝えたり、学校の授業の様子を見学させてもらったりして、Aくんの状況を共有する中で「学校で取り組む課題のレベルを『びっかむ』の課題と合わせます」と話が進んだそうです。

Aくんは公文式学習に取り組むことを通して自分をコントロールできるようになるとともに、一定時間座ることができるようになり、現在は学校の授業にも参加することができています。

また、現在中3のBさん(ASD:自閉スペクトラム症)は不登校で、「びっかむ」が彼女の学びの場所になっています。小5で公文式学習を始めた当初から、ほかの子のお手本になるような学習姿勢と丁寧な解き方でした。年下の子たちの面倒もよく見てくれる、心の優しさももっています。中学卒業後の進路について、本人は不安で仕方がないそうですが、現在中3相当の教材を学習している彼女は、「数学と国語は公文でやっているから大丈夫」と自信をもつことができています。

一人ひとりの成長を喜ぶ 
目標をもち、さらに成長してほしい

山本まみ子先生(左)

公文式学習導入当初から、子どもたちの学習を見守っている山本まみ子先生に、子どもたちの対応をする際に大切にしていることを聞きました。

「社会で生きていく上であいさつは基本なので、学習の始めと終わりのあいさつは大切にしています。また学習中は、できるだけ楽しく取り組めるように、小さな成長を大きくほめています。さらに学習終了時には、学習記録を見ながら今日の取り組みを一緒にふり返り、『ここがんばったね』『集中して取り組めたね』と話しながら、子どもたちから発せられる『今日は○○に気をつけて解いた』『ここは難しかった』『ここバッチリできた!』など、職員に聞いてもらいたいことにも耳を傾けます。また学習の様子ややり取りの内容は、毎日のミーティングで職員全員と共有することを大切にしています」。

学習当初はミスをすることをいやがっていた子が、学習後のコミュニケーションや修正して100 点にする経験を積み重ねて、ミスを受け入れることができるようになったり、当初は自分から何かに取り組むことができなかった子が、自信をつけていろいろなことにチャレンジするようになったりと、成長の事例は数多くあるそうです。

子どもたちの成長や目標に向かう姿を藤内大介先生からも聞きました。

「『新しい課題に進みたい』『次の教材に進級してみんなの前で表彰されたい』など、公文式学習によって子どもたちが目標をもち始めたことは、大きな成果だと感じています。子どもたちは、その目標を達成するために自分はどう努力すればよいのか、自分で考えたり、職員と相談したりしています。私たちも、その子が自分でもった目標を達成できるように力を添えてあげたいと考えています。前述のAくんは、『このままずっと公文の学習を続けて高校を卒業したら、びっかむに就職する』という目標をもっています。それを聞いたときは『えーっ!!』とわざと大げさに驚きましたが、本当にうれしい目標だと思いました。公文式導入施設の学びの会で『分数の四則計算ができたら一般就労を目指すことができる』という事例を聞いたことがあったので、Aくんにも分数計算の教材をクリアして夢をかなえてもらいたいです」。

「びっかむ」の利用者一人ひとりが、さまざまなことにチャレンジし、自信をもって社会に出ていくことができるよう、私たちは公文式学習の導入を通じ、これからも「びっかむ」の活動に貢献してまいります。

 


 

 

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