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KUMONグループの活動  2014/10/21更新

Vol.059

発達支援としてのKUMON-発達支援トレーニングジムしゃ~れ  

一人ひとりを大切にした
発達支援
多様な未来を拓く
放課後等デイサービス事業所、『発達支援トレーニングジム しゃ〜れ』(仙台)での公文式導入

障害がある子たちが成長し、高校生くらいになると、本人を含め家族の大きな課題であり目標は「将来的な自立」。それは、ほぼ「就労」と言い換えてもよいでしょう。仙台市にある『発達支援トレーニングジム しゃ〜れ』は、そのための準備を中学・高校時代から、じっくりと時間をかけてしていこうという新しいタイプの施設です。

「自立」というより「自律した」子どもたち


その日の活動項目(支援プログラム)が視覚的にわかるボード。終わったもの(小さなカード)は、そのつど右の列へ移動する

JR仙台駅からまっすぐ西へ歩いて15分ほど、長いアーケード街を抜けた先のビルの4階に「放課後等デイサービス事業所 『発達支援トレーニングジム しゃ〜れ』」はあります。「放課後等デイサービス」は、2012年の障害者自立支援法・児童福祉法等の一部改正により、どの障害の人も共通のサービスを利用できるよう制度を一元化、施設・事業が再編されたことに伴い創設されました。その目的は「障害のある(療育が必要と認められる)子どもたちの学齢期における支援充実のため」です。「障害のある子どもたちの学童保育」ととらえてもよいかもしれません。ちなみに、「しゃ~れ」は科学実験などでおなじみの「シャーレ(ペトリ皿)」からネーミングされています。

午後4時をすぎるころから、1人、また1人と子どもたちがやってきます。しゃ~れに通ってくる子たち(中学生・高校生合わせ22名)は自閉症や発達障害の子がほとんど。「こんにちは」と元気にあいさつができる子もいれば、無言のまま入ってくる子もいます。部屋に入ってきて、彼ら彼女たちがまず行うのは、その日の活動項目(支援プログラム)が一目でわかる個別に用意されたボードを見ること。このボードには、「手洗い」「うがい」「べんきょうをする」「おやつ」などの小さなカードがタテ一列に貼られています(写真参照)。終わったものから、小さなカードをとなりの列に移していきます。「きょうすること」「したこと」が視覚的にすぐにわかるボードです。アメリカのTEACCHプログラム(※)を応用しているとのこと。

※ノースカロライナ大学で開発された自閉児向けの援助プログラム

しゃ~れの支援プログラムのメインは「べんきょうをする」ですが、それぞれの子の能力や特性に合わせた内容になっていて、公文式学習(算数)・PCで発達支援ソフトの学習・手先の巧緻性を高める各種作業などをはじめ、5~7種類の内容で構成されています。もちろん、公文式学習も一人ひとり、その子に合わせての教材と学習枚数です。どの子も在室時間は1時間ほどですが、静かに黙々と取り組み、大声を出したり、歩き回ったりする子はいません。「自立した」というより、「自律した」光景で、「障害ってなんだろう…」とあらためて考えさせられてしまいました。

「障害があっても、社会の一員として自立して生きていってほしい」


ぶれいん・ゆに~くす代表理事 伊藤さん

しゃ~れへの公文式導入の経緯を簡単にご説明しておきましょう。しゃ~れと同じビル内に「就労移行支援事業所 Schaleおおまち」があります。しゃ~れと同じく、一般社団法人のぶれいん・ゆに~くす(BRAIN UNIQUES)が運営しています。昨秋(2013年10月)、このSchaleおおまちが就労移行支援のプログラムの一つとして公文式を導入し、集中力・持続性・取り組み姿勢など幅広い面で良好な変化があったため、今春(2014年4月)、しゃ~れでも導入がスタートしました。

ぶれいん・ゆに~くすの代表理事であり、臨床発達心理士でもある伊藤さんにお話をうかがいました。「わたしは30年ほど前、公文式教室の指導者を5年ほどさせていただいたことがあります。ご縁があって大学に戻ることになり、公文とは離れてしまったのですが、個人別・能力別指導はずっといいなと思っていました。いま就労移行支援と放課後等デイサービスの事業所を運営していますが、ここまでくるには試行錯誤と紆余曲折の連続でした。授かったわが子が自閉症ということもあり、これまでさまざまな活動をしてきましたが、このまま待っていても何も変わらないので、仲間を募って活動しようと思いたち、現在のわたしがいます」。

伊藤さんによれば、障害者就労の実情は厳しく、例えば18歳で特別支援学校を卒業しても、自立のためのライフスキルが身についていない、働くためのスキルが身についていない場合もあり、それが「厳しさ」の要因のひとつとのこと。ここ数年、アスペルガーなど、知的な遅れのないタイプの障害ある子たちが大学に進学することが増えていますが、そういう子が大学を卒業しても同じ状況だといいます。さらによくないのは、そうして就労できないまま、在宅が1年2年と長引いてしまうと、外に出られなくなってしまうそうです。ここまでになると、けっこう深刻な問題です。

伊藤さんはこう続けます。「そうならないためにも、卒業後を見越した学齢期から成人期への移行支援が必要です。もっと言えば、中高生の時代から将来の自立を見据えて、どんな発達支援をしていくかを考えていかなければいけないと思っています。2つの事業所を切り盛りしているのも、たとえ障害をもって生まれたとしても、どの子も何とか自立してほしい、社会の一員として生きていってほしいからです」。

強みを活かして、弱みをカバーする


しゃ~れ指導スタッフ 福原さん

さて、前述のようにしゃ~れの支援プログラムは子どもたち一人ひとり、さらには同じ子でも日によって支援プログラムの内容が違います。それは、こんな理由から。

しゃ~れの指導スタッフ、福原さんのお話です。「ここに通ってくる子たちは自閉症や発達障害があるので、集団での一斉指導ではなかなか身につかないことが多いと思います。でも、その子の能力や特性をよく見て、それに合った支援プログラムとトレーニングのレベルを設定すると、ムリなくできるようになっていきます。できることが増えて、表情が変わってきますね。笑顔も増えます。公文式の学習は、支援プログラムのなかでも大きな存在だと感じています。算数というか、数字そのものに苦手意識や拒否反応に近いものがあった子でも、教材の学習によって、そういう気持ちがなくなっていきますから」。

そして伊藤さんです。「子どもって、一人ひとり顔も性格も、得意なことも不得意なことも違いますよね。不得意なことを練習して克服するという考え方もあるでしょうが、それは周りも、なにより本人がたいへんなのかなと思います。それよりは得意なことを見つけて、そこをどんどん伸ばすほうが気持ち的にもいいし、その子の強みにもなるはずです。強みができれば、弱みもカバーできますし、弱み自体が目立たなくなると思います。その意味では、公文式学習での大きなマルと100点は学力がつくという以前に、子どもたちの自己肯定感を大きく育んでくれています。こうした一人ひとりに合わせた発達支援を親御さんたちと協働でしていくことで、自分に合った進路を見つけたり、一生の仕事を見つけられたりするのだと思います」。

最後に、保護者の方と生徒さんの声をご紹介しましょう。まず、高校1年の男子生徒さんのお母さんです。「ここには今年の7月から通っています。まだ2ヵ月とちょっとですが、すごく変化がありました。家でお手伝いをするようになりましたし、姪っ子のめんどうを見るようにもなりました。この子の障害の特性として、人と関ることがむずかしいので、例年、夏休みは家にずっといるのですが、今年はしゃ~れに通っていました。そのせいか、いつもの年のように夏休み明けに学校に行きたがらないということがありませんでした。ここに来ることは、この子にとってはストレス解消だったり、自分をとりもどしたりできるようで、学校でもとても穏やかになったと聞いています」。

つぎは、高校2年(特別支援学校)の男子生徒さん。「しゃ~れには去年の11月から来ています。楽しいです。仲間が増えました。ここではいろいろやるけど、公文がいちばん楽しいです。学校でも、ここでも答えがパッと出てくるのが、とてもうれしい。たくさんやるほど、パッと答えがわかるのがおもしろい」とにこやかに話してくれました。彼は公文の教材学習枚数がかなり多く、1日30枚をひたすら解くこともめずらしくないそうです。彼の話を聞いて、「発達支援トレーニングジム」という呼称の意味がわかった気がしました。

関連リンク

bg_bnr_43 社会的自立をめざす方々に学ぶ喜び、成長する喜びを。
就労支援施設
導入目的は施設によって異なりますが、学力の向上と、態度面や生活面の変化は共通です。
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