KUMONトピックス
Feature Report - 進化し続ける活動
カテゴリーを表示

KUMONグループの活動  2022/11/01更新

Vol.460

公文式の使命、教材改訂に込める情熱物語   

国語教材改訂の舞台裏
~国語4A~2A~

創始者、公文公が大切にしていた「教材改訂」。その想いを引き継ぎながら、KUMONは創業以来絶えず教材改訂を続けています。そして、2022年10月に国語教材4A~2Aの改訂を行いました。今回は、そもそも教材改訂とは何か?どんな目的で改訂されているのか。教材改訂を担当する社員に、その裏側や想いを聞きました。

公文公の言葉から学ぶ
~教材の改訂は「子どもから学ぶ」~
国語教材改訂の舞台裏

公文式学習の出発点は公文公(くもんとおる)が、長男である毅(たけし)に行った数学の家庭学習です。この学習法については次のように述べています。

1日分の問題を作成して、子どもに夕食前に自習させる。私は夜採点する。間違った箇所の説明は夜せずに、必要な注意を書いて渡す。

彼は、わが子がそれぞれの問題をその日にどう解いたのか、どこでどう間違えたのかなどを注意深く吟味しながら翌日の教材を作成していきました。
このことから後に、こうも述べています。

この問題が難しいかどうかというのを知るためには、大勢の生徒にきいてみることが必要です。私たちは、問題だけを見て「難しい」「やさしい」と言うのではなくて、生徒がやってみて難しいかどうかという点から教材を見直しているのです。

その他にも私たちKUMONの社員が大切にする言葉があります。

「こんなものだ」はいつもなく、「もっといいもの」はいつもある。 
私たちにとって大切なことは、絶えず現在のやり方を反省し、より良い方法を発見していき、後世に伝えていくことです。

こうしたエピソードもあり、私たちは、子どもたちの学習の様子からたくさんのヒントを学び取りながら、どの様な教材が良いのか、考え続けています。その考えのもとで行われるのが教材改訂なのです。

公文式で育みたい力と国語教材の目指すもの
国語教材改訂の舞台裏

公文式国語では、文章を理解することにとどまらず、理解したことをもとに自己の考えを深めていくことのできる、高度な読書能力を身につけることを目指しています。「読書を通して社会と人生を深く知り、自分はどんな人生を送るべきかを考えられる子どもに育ってほしい」―― これは国語教材が開発された当時から変わらない願いです。
高度な読書能力の養成には、まず、文章内容を素早く、正しく把握する力が欠かせません。教材では、文章を素早く、正確に読み取る力を高めたうえで、文章を多角的、批判的に読む学習へと進みます。国語教材は、算数・数学教材と同じく、子どもたちが自習で取り組んでいけるよう、語彙の難易度や文章の読みやすさ、読解力を高めるための学習課題をスモールステップで配列しています。
また、教材には、幅広いジャンルの古今東西の名著もたくさん登場します。実際の作品を読みながら、読解力を高める学習課題に取り組んでいく―― これによって、高度な読書能力の養成を目指します。

そもそも国語教材は、1981年に「読書の力を高める教材、読書につながる教材」として全国の公文式教室で使用を開始しました。教材が開発されて以降、ラインアップを拡充しながら、子どもたちが学習に取り組む様子や指導者の指導状況を日常的に観察し、その課題をもとに、より学習しやすく、より着実に、より早く力のつく教材を目指して、これまで国語だけでも75回にもおよぶ教材の開発・改訂を重ねてきています。さらには、開発や改訂だけでなく、生徒事例や社会状況の変化に基づき絶えず微修正を加え続けるなど、教材の改良を施し続けているのです。

国語教材4A~2Aが大幅改訂
国語教材改訂の舞台裏

2022年10月に4A・3A・2A教材の改訂を行いました。これらの教材は、ひらがな文の読み・書きをマスターすることが目標の教材群です。この教材群では、ひらがなをなぞる、ひらがなを自分で書く、問題に答えるなど、生徒にとっていろいろな「はじめて」が登場します。今回の改訂では、そうした「はじめて」の課題に子どもたちがより楽しく取り組み、そしてより着実に読み書きの力を高めていけることを改訂の方針としました。
国語チームで教材を企画しているときに話題となったのが「キックバイク」です。これは、ペダルがついていない、足で蹴って進む自転車で、2,3歳から乗って遊ぶことができます。キックバイクで楽しく遊んでいるうちに、バランス感覚が養われて、らくに自転車に乗れるようになるのだそうです。
ひらがな文の読み書きもこれと同じではないか。学習を楽しく続けているうちに、ひらがな文を自在に読み書きできる力がしっかりと身についていく、キックバイクのような教材を目指しました。

教材の制作は、まず現状を把握して、どこに、どんな問題があるのか、課題は何かを特定することから始めます。教室に足を運んで学習の様子を観察したり、教室の指導者にアンケートやヒアリングを行ったり、教材の進み方などのデータ分析を行ったりします。

いくつか改訂のポイントはありますが、ここでは「ひらがなのみうつし」を紹介します。「ひらがなのみうつし」は、手本を見ながら自分でひらがなを書く、はじめての箇所です。
ひらがなを書くことは、はじめての子どもにとっては大人が思う以上に難しいものです。どこから書き始めて、どっちに曲がって、どこで止まるのか―― いくつもの難所があります。ひらがなを書くといっても、文字全体ではなく、特定の字画が、文字全体の見写しを難しくしているのではないか? そうであれば、特定の字画に絞って、スモールステップで見写しの練習をすることが、ひらがな全体を見写すことに有効なのではないか? この仮説のもと教材紙面を考えました。

教材改訂に関わる多くの方の協力と声

教材は全国で使用開始する前に、教室数を限定して検証を行っています。一定期間、モニター版の教材を使用していただき、改訂の目的が達成されているか、子どもたちがどのように取り組んでいるかを確認します。モニター協力の指導者には、学習中の映像や成績表、学習済の教材をたくさん送っていただきました。
実際に子どもたちが学習する様子を見ると、上手くいったという手ごたえが持てることもあれば、反対に上手くいかないところも見えてきます。そのようなときには、「なぜこんなふうに書いたのだろう?」と子どもの頭の中を想像したり、他に同じような事例がないか確認したり、どのように指導されたかを指導者に尋ねたりしながら、詳細に分析しました。こうした検討を経て、モニター版にさらに改良を加え、全国での使用開始を迎えています。
「もっといいものはいつもある」の精神で子どもから学び、指導者に聞くことが、よりよい教材制作に欠かせないものだということを、改めて今回の改訂を通して実感することができました。

国語教材制作担当者が大切にする想い
国語教材改訂の舞台裏国語チーム

教材改訂は国語チームだけで成立するものではありません。イラストや印刷データの作成、教材の印刷、教室に教材を届ける流通面の整備、指導者・社員との新教材の共有など、社内外のたくさんの方々の協力のもと、教材改訂という大きな仕事が進んでいます。
教材が改訂され、変わるということは、大きな変化とも言えますが、よりスムーズに、より楽しく学習していただき、より力を伸ばせるようにという想いで改訂に取り組んでいます。大変なことが多いものですが、この教材改訂を止めないのは、学ぶ姿勢を私たちが常に持ち続けていること・「学ぶ集団」であることを、私たちKUMON関係者の心の根底に軸として持っているからだと思います。
公文式の国語教材の学習を通じて、「本が好きだ!」「書くのって面白い!」と感じてもらえるように、これからも私たちは日々皆さまの学習の様子から学び、改良を続けていきたいと思います。

 

関連リンク
KUMONオフィシャルサイト「KUMONの国語」
iKUMONサイト「国語教材の音読の大切さ」
iKUMONサイト「KUMONの教材はどうやってできるの?」
学び続ける集団、KUMON

関連記事

KUMONグループの活動  2022/08/02更新

Vol.450 子どもの自立を促すために生まれた「くもん さっぷりん」

KUMONが家庭での学習を応援します! ~「くもん さっぷりん」のヒミツ~

KUMONグループの活動  2023/01/17更新

Vol.467 Baby Kumon 10年の歩み

~これまで語られることのなかった   Baby Kumon担当者たちの想い~

KUMONグループの活動  2022/05/17更新

Vol.444 19万組の親子が実践!子育てママ・パパの声から誕生したミーテ

ミーテ運用担当のKUMON社員にインタビュー 〜うた・読み聞かせで子育てが楽しくなるヒミツ!〜

KUMONグループの活動  2021/03/30更新

Vol.397 ~創始者公文公の言葉より~

    公文式の原点⑫            <悪いのは子どもではない>

KUMONグループの活動  2014/10/14更新

Vol.058 街角のKUMON-KUMONロゴ

世界各地の街角に 溶け込むKUMONブルー KUMONロゴのなかの”顔”の意味、ブルーに込められた願い

バックナンバー

KUMONグループの活動  2023/05/23更新

Vol.483 自治体が取り組む脳の健康教室

支え合うコミュニティづくりに 「脳の健康教室」を活かす ~「活脳のマチ 天理」を目指して~

KUMONグループの活動  2023/05/19更新

Vol.482 理科の目で社会科見学

未来を創る子どもたちへ カーボンニュートラルな社会の在り方を考える質の高い学習機会を

KUMONグループの活動  2023/04/25更新

Vol.481 学校でのKUMON-東京女子学院中学校

公文式学習で チャレンジする姿勢や粘り強さを 身につけてほしい  

KUMONグループの活動  2023/04/14更新

Vol.480 くもん出版のウェブサイトがリニューアル!

すべての人に 「できた!」の喜びを

KUMONグループの活動  2023/04/11更新

Vol.479 KUMONレポート-アブダビ学校導入編(動画紹介)

子どもたちの成長と未来のために アブダビでの学校導入の実践

KUMONトピックス カテゴリー別インデックス
記事アクセスランキング
おすすめ記事 Recommended Articles
OB・OGインタビュー
Catch the Dream 夢をかなえる力
NEW
Vol.094 後編
メンタルトレーナー
加藤史子さん
夢に大小はなく、いくつあってもいい 自分の「心の取り扱い方」を知って 夢を叶えていこう
Vol.094 前編
メンタルトレーナー
加藤史子さん
夢に大小はなく、いくつあってもいい 自分の「心の取り扱い方」を知って 夢を叶えていこう
Vol.093
弁護士・ニューヨーク州弁護士
松本慶さん
少しずつでも前進すれば大丈夫 「一日一歩」の精神で歩いていこう
Vol.092
丸紅インドネシア代表
笠井 信司さん
経験に無駄は何ひとつとしてなく 将来に必ず生きる “Discipline”を身につけよう
スペシャルインタビュー
Academic Milestones 学びを究める力
NEW
Vol.074 前編
名古屋大学 国際開発研究科 教授
山田 肖子さん
教育の意義を体現する公文式 AI時代の今こそ 人間と教育の役割の再定義を
Vol.073
特別対談 棋士 藤井 聡太さん
終わりのない将棋の極みへ 可能性のある限り 一歩ずつ上を目指していきたい
Vol.072
名古屋大学博物館 機能形態学者
藤原 慎一先生
さまざまな知識が ひも付いたときが研究の醍醐味 そのために学びをどんどん拡げよう
Vol.071
メディアと広報研究所 主宰
尾関 謙一郎さん
多角的な見方を磨き、 自分だけの価値を見つけよう
KUMON now! フェイスブックページ
KUMON now!に「いいね」して、子育てに役立つ情報を受け取ろう!