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KUMONグループの活動  2017/11/28更新

Vol.237

「高次脳機能障害」支援拠点病院でのKUMON  

笑顔で、できることを増やす
リハビリテーション
その日々の先に職場、学校への復帰が見えてくる
~よりそう医療、伴走しながらのサポートをめざして ~

みなさん、こんな経験はありませんか?インフルエンザにかかり高熱が出て体調がよくないとき、いつもは難なくできる仕事や学習が、その段取りもうまくできず、注意散漫で失敗。できないことにいら立ち、さらにできなくなってしまう…。でも、ある日突然の事故や病気が原因で、そんな状態が長く続くことがあります。そう考えると「高次脳機能障害」は、ある意味身近な障害とも言えます。今回は、高次脳機能障害の方たちを支援する大分県の拠点病院からのレポートです。

リハビリテーションと公文式学習の共通点
“できることを増やす”

療法士さんの日々の忙しい業務のなかで、公文式学習の指導をする惠藤先生(臨床心理士)と二宮先生(言語聴覚士)のおふたりに、学習を通しての患者さんたちの変化や成長をうかがってみました。惠藤先生は主に大人の方たちの、二宮先生は主に子どもたちの指導を担当されています。

二宮先生(言語聴覚士)
 二宮先生(言語聴覚士)
惠藤先生(臨床心理士)
惠藤先生(臨床心理士)

「個人差はありますが、10枚、20枚と教材に集中して取り組むという、作業・言語聴覚療法のリハに近いトレーニングをしていることになりますから、全体的には集中力や注意力が培われます。それが機能としての記憶や遂行機能の底上げになっていると感じますね。もちろん、学習を続けていくモチベーションとして100点をとることでの満足感や達成感、それらが積み重なっての自己肯定感も育っていると思います。もう少し細かく見ていくと、注意や集中を持続しにくい方は、学習の後半でミスが出やすくなるという傾向があります。そんな方には“学習の後半も集中しましょうね”と声をかけるだけでも注意が持続できてミスが減り、ご本人の自信につながるということがあります。細かいことのようですが、職場に復帰して仕事をするという場面で役立つのではと思っています。」(惠藤先生)

「わたしは主に小・中・高校生の子どもたちを担当していますが、半年、1年、2年と学習を続けていくと、ほんとうに変わっていきますね。たとえば…宿題を“する”、“しない”でご家族との摩擦が大きくなってしまいかんしゃくが出やすかった子が、公文でできることが増えてほめられると学習に前向きになる。すると宿題もやるようになり、かんしゃくを起こす回数が減っていき、やがてはなくなってしまう。また、勉強がイヤだと学校で暴れていた子が、公文で学習する習慣を取りもどすと、見違えるように落ち着いて授業を受けるようになり結果的に学力が上がる、といった変化です。わからないところを質問できないような子が、学習を続けていくと不思議と“教えてください”って聞けるようになる子もいます。モジモジと引っ込み思案だったのに、急にハキハキ話すようになった子もいます。自信がついたのでしょうね。ほんとうに、たくさんの成長があります。」(二宮先生)

「発達障害の子にも似たところはあるのですが、高次脳の場合、大人も子どもも、ある日突然に病気やケガでできないことが一気に増え、困り度もすごく大きくなってしまいます。そして、そのことをご家族も含めた周りに理解してもらいにくい。自分自身もそのことが受け入れられず、さらにフラストレーションがたまってしまう。これは想像しただけでもたいへんなことです。リハは、できなくなったことを再びできるようにしていくことですが、シンプルに“できることを増やす”と考えてもよいと思っています。それも、楽しく、笑顔で、できることを増やすのがいちばんですね。わたし自身も病院全体でも、このことを大切にしています。“できることを増やす”という意味では、公文式学習も同じですね。できることを積み重ねながら、少しずつできることを増やし、レベルアップもしていくわけですから。」(浅倉部長)

さて、最後に学習者の方おふたりに、学習をしての感想や手応えを聞いてみましょう。おひとり目は、中学生のときの事故で受傷。入院治療後、復学を目標に諏訪の杜病院を受診し、ほどなく公文式学習を開始したSくん。どんぐりの杜クリニックに移ってからも学習を続け、成人した現在も続けています。[算数D(小4相当)、国語CⅡ(小3相当)学習中]

「わるいんですけど、公文の学習はあまり楽しくありません(笑)。でも、みんなとプリントをしたっていう達成感がうれしいです。国語はいいですね。誰かと話すとき、きちんと文章として話せるようになったし、このごろは、相手の気持ちを考えるようになったと思います。」

なるほど、楽しくはないけれど、学習効果は実感しているようですね。しかし、Sくんは公文の学習室で教材に向かっているときも、二宮先生と話しているときも終始笑顔が絶えません。「やっぱり、楽しいんじゃないの?」と聞きたい気持ちでした。

おふたり目は、50代のGさん。2年前に交通事故にあい、脳を損傷。高次脳の主な症状は記憶障害。2015年から学習をスタートしました。こつこつとひたむきに学習する姿が印象的です。[数学F(小6相当)、国語FⅡ(小6相当)学習中]

「この病院で公文をやっていると聞き、それも回復へのひとつのトレーニングだと思い学習をはじめました。初めにやったテスト(学力診断テスト)はひさびさで緊張しましたが、教材を解いてみると楽しくできました。いまは、公文の学習が生活の一部になっていて、リハのあとは公文をするという習慣がついています。効果ですか?リハも含めてですが、けっこう正常に近づいていると感じています。」

取材を終え帰り支度をしていると、こんな光景が病院の玄関にありました。高次脳で通院中の小学生の女の子が学習を終えて、お母さんと一緒に浅倉部長、二宮先生、惠藤先生と談笑しています。2時間ほど前にリハビリ室と公文の学習室で見た、一所懸命な顔とはまた違う晴れやかな表情でした。しばらく談笑したあと、その女の子とお母さんは連れ立って病院をあとにしましたが、よりそいながら歩いていく、ふたりの後ろ姿からは、「きょうもがんばったよ、お母さん」「よく頑張ったね。えらいね」という会話が聞こえてくるようでした。

 

関連リンク
諏訪の杜病院 (医療法人光心会)
高次脳機能障害 関連情報 (国立障害者リハビリテーションセンター)

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