スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2020/04/03更新

Vol.061

臨床心理士、国際TA協会公認交流分析家
末松渉先生  前編

「心の危機」は成長の機会でもある
「学ぶ喜び」を知って
「生きる力」にしていこう

末松 渉 (すえまつ わたる)

1951年宮崎県生まれ。慶応大学法学部卒業後、企業での勤務経験ののち、2度目の大学生活(哲学)、都立高校勤務(9年)の傍ら大学院生活(臨床心理学、コミュニティ心理学)を送る。その後、東京いのちの電話(ディレクター、事務局長)に10年、大学教員(准教授)として5年勤務。米国のSoutheast研究所でヴァン・ジョインズ博士より博士課程プログラムトレーニングを受ける(TA、グループセラピー、ファミリーセラピー/1998-1999)。*現在も同博士よりスーパービジョンを受けている。
現在は末松TAコミュニティ研究所を開設して心理臨床活動をしながら、TA、ゲシュタルト療法を中心として地域社会の心理学的支援活動に携わっている。
臨床心理士/国際TA協会公認交流分析家・准教授資格(心理療法部門)/清泉女子大非常勤講師/東京都スクールカウンセラー/いのちの電話研修委員長・東京いのちの電話理事長/チャイルドライン(品川区、港区)スーパーバイザー

「いのちの電話」をはじめ、企業や民間団体のスーパーバイザーなど、「心」に関するさまざまな支援活動をされている末松渉先生。子育てに関わる電話相談窓口「くもんダイヤル相談」のスーパーバイザーや、指導者対象の「コミュニケーション講座」では講師を務めるなど、公文教育研究会の活動にも尽力いただいております。今に至るまで、国内外の複数の大学などで学びを深め、「現在もまだまだ学びの途中」と話す末松先生。若い頃には“心の危機”があったと振り返り、だからこそ今があるといいます。その道のりや学びを積み重ねてきた原動力、活動を通じて感じる課題などについてうかがいました。

高校教師時代の体験が
「本当の支援とは何か」を考える原体験に

臨床心理士、国際TA協会公認交流分析家 末松渉先生

2度目の大学卒業後は、都立高校の社会科教員になりました。30歳の時です。最初に赴任した高校では、「どうせ自分たちは……」と卑屈になっていた生徒たちが何人もいました。彼らをなんとかしたくて、休部中だった柔道部と剣道部を再開したところ、生徒たちの成長が目に見えるようになりました。

ところが、練習では強いのに試合になると勝てない。なぜなのか? 中学の頃から「どうせお前は……」と言われ続け、自信を持てず、公的な場では萎縮して力が出し切れていないことがわかりました。そこで、私立の強豪校と合同合宿をしたところ、「彼らも僕らと同じ高校生なんだ」と実感したようで、それ以降、試合でも自信をもって活躍するようになりました。

「自信をつけること」の大切さを痛感したものの、彼らを卒業させた後、「生徒に対し、雑ではなかったか」という思いが残りました。例えばいじめられている生徒はかばっても、いじめている生徒とゆっくり話したことがなかった。彼らは、私の姿が見えるといじめはやめますが、心から納得していないので、私がいなくなれば繰り返します。同時に、いじめられている生徒をかばうということは、その子が自分で立ち直ろうとする機会を奪っていることになります。

これでは本当の教育とはいえません。その子が「自分の力でできる」と思うように導かねばならないのではないか。そう感じた当時の経験が、「本当の支援とは何か」を考える原体験となっています。

そうしたこともあり、仕事のあとにカウンセリング養成研究所に通うことにしました。さらに大学院で臨床心理学を学び、夕方から定時制高校で教える生活を続けました。そして38歳のとき、「いのちの電話」のボランティア相談員のトレーニングを受けます。先に相談員をしていた妻から勧められたのがきっかけです。

2年間の相談員を終えると、相談員のケアや研修を担当するディレクターを務めることになりました。1年間は教員と二足のわらじでしたが、どちらかにしないと失礼になると思い、「いのちの電話」での仕事を選ぶことになります。

 

関連リンク
東京いのちの電話
チャイルドライン

くもんダイヤル相談


 

臨床心理士、国際TA協会公認交流分析家 末松渉先生  

後編のインタビューから

-公文式の「ちょうど」は相手を見て合わせていく関わり
-「学び」とは「知ること」そして「愛すること」
-きちんと観察し、気にかけているということを伝える

 
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