スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2019/05/24更新

Vol.054

関西大学 外国語学部・
関西大学 大学院外国語教育学研究科
教授 竹内理先生  後編

ふれて、使って、気づいて、直す」
外国語習得の効果的なサイクル
自分の目的にあった英語力を育てよう

竹内 理 (たけうち おさむ)

1962年兵庫県生まれ。専門分野は、英語教育学、応用言語学、第二言語習得。神戸市外国語大学外国語学部および同大学院外国語学研究科(英語学)を修了後、同志社女子大学研究助手に着任。専任講師時代にフルブライト奨学金を得て米国に留学。カリフォルニア州のモントレー大学院を首席で修了(英語教育学)。帰国後、同志社女子大学助教授および関西大学総合情報学部助教授などを経て、現在に至る。博士(学校教育学)。著書に、『達人の英語学習法——データが語る効果的な外国語習得法とは』(草思社)、他。国際研究誌にも論文多数。文科省検定英語教科書(小中高)の執筆にも携わっている。

「英語(外国語)教育学」という学問分野が、まだ十分に確立されていなかった17年前、外国語教育学を専門に学ぶ大学院の創設に尽力された竹内理先生。自身が学び始めた頃は、英語があまり好きでなく、成績も芳しくなかったとのこと。しかし、中2の時のある先生との出会いにより成績がぐっと伸び、英語を学ぶ楽しさを知ったそうです。そんなご自身の体験を踏まえ、英語学習は「ネイティブのように話す」ことではなく、「英語を使って自らの目的を叶える」ことを目指そうと提案されています。そんな先生に、英語の学習法や今の時代に必要な「英語力」、そして「学びのあり方」などについて、うかがってみました。

子どもがやりたいと思ったことをサポートしてあげる

関西大学 外国語学部・関西大学 大学院外国語教育学研究科 教授 竹内理先生

これからの世界を生きていく子どもたちは、「英語力」のほかに、様々な領域での「幅広い知識」、「論理的な思考力」、そして「相手への共感力」を身につけることが必要だと思います。幅広い分野での教養に裏打ちされた内容を、相手のことも考えながら、論理的に組み立てて伝える。そして、それを母語はもちろんのこと、外国語でも出来る。そんな能力・資質がこれからは必要だと思います。

保護者の方には、「自分が身に付けたかったこと」を子どもに押しつけるのではなく、「子どもがやりたいこと」を伸ばしてあげてほしいと思います。子どもは、私がそうであったように、自分からやる気になったら劇的に変わります。だからこそ、子どもたちには、「興味をそそるもの、楽しいものを見つけて、どんどんやってみよう」と伝えてあげてほしいのです。また「できない」なんて、決して思わせないことが大切です。少しだけ助けて、足場をかけて、「できる」という気分を体験させてあげてください。また、成績はあくまでひとつの尺度にしか過ぎません。保護者の皆さんは、「この子は毎日を楽しんでいるのか」「興味をもってやっているのか」といった異なる尺度も導入して、わが子を見守ってあげてください。そして、基本は「この子はきっとできる」と親が信頼することですね。

英語学習について言えば、「全部わからなくても構わない」と伝えてあげると良いと思います。わからないところは推測すればよい、補えばよい、聞けばよいのだから。また、「正確さ」よりも「目標を達成すること」の方が大切、という考え方も伝えてあげてください。「正確さ」は後から付いてくれば良いのです。

私の目下の目標は、今年10月、大阪で開催される学習方略の国際学会 (SSU3) を成功させることです。英語学習はもちろんのこと、さまざまな外国語の学習法、さらには(海外の学習者の視点から見た)日本語学習法についての発表などもあります。この学会は、これまでオーストリアやギリシャで開催されてきましたが、日本で開催することで、「外国語教育学」という学問分野の存在を、国内に向けてもアピールできると思っています。個人の経験だけではない、しっかりとした科学に根ざした「学習法の研究」の現在と未来をご覧になりたい方は、ぜひ参加ください。

日本では、外国語教育を学問として取り扱う伝統がありませんでした。私は外国語教育を「学問」にしたくて、体系性をつくること、方法論を確立すること、研究者を育てること、の3つに着目して、17年前に日本で初めての外国語教育学研究科をつくり、ともに歩んできました。当初の学生は日本人が中心でしたが、今や半分は海外からの学生です。ということで、中期の目標としては、もっと世界中から学生が集まる組織にして、外国語教育学の普及を国内外で目指していきたいですね。

また、長期的には、ライフワークとなるかもしれませんが、英語(外国語)を「使い」ながら学び、その過程でもっと学んでみたい、もっと知りたい、そして、なぜだろうと考える人たちを増やしていきたいですね。強制されて学ぶよりもずっと楽しくなる、主体的な英語の学びを、教育現場で実現していきたいと思います。

 

関連リンク
関西大学外国語学部
Situating Strategy Use 2019 (SSU3)


 

関西大学 外国語学部・関西大学 大学院外国語教育学研究科 教授 竹内理先生  

前編のインタビューから

-研究からわかった効果的な学習法とは
-竹内先生が考える「英語を使う」ということ
-目標を定めることの大切さとは

 
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