「人生って楽しいよ」という大人は
幸せそうな顔をしている
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今回挑戦した「ヴァンデ・グローヴ」は、50%がリタイアするという過酷なレースです。厳しいチャレンジに見えるかもしれませんが、ヨットで世界一周するのは、僕がやりたいからやっていること。自分の楽しみのために、苦しいことをしているのだから、どんなにつらくても乗り越えられる。
逆に言うと、やりたくなければやめればいい。僕も明日、ヨットがいやになったらやめちゃいます。でも、これまで「やめたい」と思ったことはない。じつは、僕は船酔いが激しくて、船乗りに向いていないんじゃないかと思ったことはありました。でも楽しいと続く。いろいろあるけど、周りに支えられながら続けていられるんだから、好きなんだろうと思います。
子どもたちには、とにかく好きなことをしようよ、と伝えたい。「好きなことをしてばっかりいたんじゃ……」「人生思うようにはいかないよ」なんていう、つまらない大人の言うことは聞かなくたっていい。その大人の顔を見てごらん。つまらない顔をしているから。そうではなく、「人生って楽しいよ」「好きなことをしなさい」という人は、きっと幸せそうな顔をしているから。
僕の海洋教室では、「白石さんって楽しそう、幸せそうだな、僕も幸せになってみたいな」と思ってもらうことから始まります。そこで子どもたちに「君は何が好き?」と聞く。そこからアドバイスしてあげる。好きなことは変わります。変わっていいんです。変わっても、そのときに好きなことをどれだけ一生懸命できるかが大事です。
親や先生の役割は、「こうしろ、ああしろ」ではなくて、自分が「楽しかったよ」「最高だったよ」と背中を見せてあげることじゃないでしょうか。幸せな人間でないと幸せを教えられませんから。親が幸せで、それを見て「お父さんお母さん幸せそうだな。これが幸せなんだな」という子が増えたら、世の中どんどん明るくなります。幸せそうにしている子は魅力的。だから、世界どこにいっても通用します。僕はそんな「魅力的な子」を育てたい。
問題なのは、楽しいことも好きなことも見つからないこと。恋愛でも勉強でも仕事でも、なんでもいいから一つひとつ一生懸命やっていくと、「ステキだな」と思うことがあるはず。夢を見るのに理屈はいらない。楽しいのが見つからないのは心が開いていないから。どれもいい加減にやっていると、気づかないで通り過ぎちゃうんですよ。