スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2016/12/16更新

Vol.039 飛込競技選手 寺内健さん  前編

「1.6秒」の演技に
積み重ねた鍛錬のすべて凝縮
最高瞬間を迎えたいからを尽くす

寺内 健 (てらうち けん)
兵庫県出身。生後半年から水泳を始め、小学5年生のときに競泳から飛込に転向、以後通算5大会でのオリンピック出場を果たす。五輪での最高位はシドニーでの高飛び込み5位。2001年の世界選手権では、3m飛び板飛び込みで日本人初となる銅メダルを獲得。現在ミキハウスに所属し、東京五輪で通算6度目のオリンピック出場を目指す。

16歳で初出場したアトランタ五輪に始まり、シドニー、アテネ、引退を決意した北京を経て、サラリーマン生活を挟んだのちに現役復帰を果たし、5度目となるリオデジャネイロ五輪に出場。長きにわたり日本の飛込競技のエースとしてけん引し続けてきた寺内健さんは今、「飛込道の集大成」として2020年の東京五輪を目指しています。厳しい競技の道を選びながら、なお前に進むことをやめない寺内さんに、あきらめないで積み重ねる力の秘訣を伺いました。

ただただ見守ってくれていた母親

飛込競技に転向してからの1か月は、いわゆる「アメとムチ」のアメばかりでした。そしてあるときを境に、急に水には入らせてもらえなくなり、ただひたすら柔軟運動と筋トレの日々。競泳時代よりもずっと辛かったですね。コーチの中では、すでにオリンピックというものを視野に入れながらのトレーニングでした。コーチは中国出身の、それはもう厳しい人で……。うちの親に対しては、「見ているのはつらいかもしれないが、この子の人生にとって非常に意味があることだから」と説得していました。

「見ているのはつらいかもしれないが……」という意味はすぐにわかりました。飛込競技を始めて数ヵ月後、早くも中国に3か月半の合宿に行くといわれたんです。そこから僕にとっての地獄がスタートしました。忘れもしない小学5年の2月です。海外も初めて、そんなに長い期間にわたって親から離れたこともない。正直どこかで、「中国に餃子でも食べに行くのかな?」くらいに思っていました。

しかしもちろんそんなことはなく、着いた翌日の早朝5時から走り込み。それから11時間みっちりの練習、という日々が3ヵ月半続きました。新聞紙を切り取って、「あと○○日」という日めくりカレンダーを作って、ようやく3ヵ月半が終わり、「これでやっとお母さんに会える」と思った1週間前くらいでしょうか、コーチから告げられたのは、「お前だけあと1か月残れ」と……。

今思えば、よく親は小5の子どもを一人海外に、それも4か月半も出しましたよね。コーチの責任と、親の見守る姿勢、それは物凄くタフだったんだなあと。合宿中親へ電話することも禁止されていたんですけど、一度だけ、合宿の延長が決まったときに電話したんですよ。「帰りたい」って大泣きする僕に母親は、「あと1か月やん。3か月半がんばれたんだから大丈夫」って。でも後から母に聞いたら、「今すぐ自分が中国に行って飛込をやめさせて連れて帰る」って、そう思っていたそうです。自分が親になったときにわが子にそれができるかなって考えると……難しいですね。

関連リンク
寺内 健|ミキハウススポーツクラブ


 

 

後編のインタビューから

-選手としての「深みを増す」ために必要なこと
-寺内さんを救った言葉とは?
-寺内さんのこれからの夢

 

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