「かわいいね」と、まず抱きしめよう
わたしは子どもがいないので、子育てについて自分の体験としては語れませんが、「かわいい子ね!」と思って抱きしめるところから始めればいいのではないかと、よく思います。人は抱きしめられると安心します。安心すると優しく嬉しいエネルギーが身体中に広がって、深い呼吸がわいてきて、リラックスできる。「かわいい」と本当に思えば、声も態度も変わります。子どもは感覚が鋭いので、ちゃんと見ていますし、伝わります。イヤイヤやっていると、すぐ見抜かれますから。
向き合っての会話も大事。芝居ではよく言われるのですが、しゃべるときにおへそとおへそを向き合わせると、会話になります。おへそが反れていたら会話にならない。要はストレートに向き合うことではないでしょうか。大きな声を出すことも、自分の意思を他人に伝えるコミュニケーションの第一歩。ぜひ挑戦してもらいたいですね。
失敗も大事だと思います。なぜなら、その失敗を踏み台にして生きることができるから。「これで失敗したのだから、別の方法でやってみよう」と、他のアイデアが出てきますよね。でも最近は親も失敗させないようにし過ぎだと感じています。「育てる」なんてしなくても「見守って」いてあげればいいんじゃないでしょうか。
わたしもそうだったように、幼いころ親から注意されて残っている言葉ってそうたくさんはないでしょう?はっきり記憶しているのは中学くらいからで、そこまでは親が自分の人生の中で“生きていくために大切だな、必要だなと思った知恵を身につけさせる”。それで十分なのではないでしょうか。親御さんがもっと自信を持ったら良いと思います。
ミュージカルのパンフレットの鼎談で、やなせ先生とNHK元会長・川口幹夫氏(当会三代目会長)と3人でお話をしたとき、私は「わたしたちのミュージカルの対象は0歳から99歳までなので、ターゲットは?と聞かれるととても困る」というご相談をしました。川口氏は「テレビ番組でもね、企画書には必ず年齢層や性別と言ったターゲットが必要です。しかし必ずしも当たるとは限らない。むしろ特定の個人を想定した方が番組としてあたる」とおっしゃいました。やなせ先生も「自分の中で規制をつくらないで」そして「稲垣さんがやりたいと思うこと、ステキだと思うことを……」「やればいいんですね?!」と私。「そう!!」とお二人。うれしかったですね。そして自分がやりたいと思うこと、素敵だと思うことをしっかり見定めて、ゆっくり歩いていけたらと思っています。
今の私のキャッチフレーズ。これは昨年の暮れに初演したミュージカル「小公女セーラ」のそれでもあるのですが、“夢見る力は、生き抜く力”。こんな時代ですもの。お互いに大きくて力強い夢を追いかけましょう。
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劇団目覚時計
青少年の心を育てる会
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