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Vol.082 2021.10.15

タイガーモブCFO
上原丈弥さん

<前編>

人生の可能性は無限大
自分ではないもの」に身をゆだね
知らなかった「自分」に出会ってみよう

タイガーモブCFO

上原 丈弥 (うえはら ともや)

神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。在学中に公認会計士試験に合格し、大学卒業後PwCあらた有限責任監査法人に入社。2年弱の勤務を経て、2018年1月に教育スタートアップ企業であるタイガーモブに移る。主にバックオフィス業務、全社管理、法人営業、専門性に特化した研修プログラム開発・運営を担う。

公認会計士という専門性を生かし、教育スタートアップ企業のCFO(最高財務責任者)として活躍中の上原丈弥さん。同時に企画や営業など現場業務も担い、公文式学習で身につけた「課題をまとめる力」を発揮して事業推進に貢献しています。順風満帆に歩んでこられたように見受けられる上原さんですが、大学時代にインド合宿に参加したことで「自分」を知り、人生が思わぬ方向に動いたそうです。大手監査法人からスタートアップ企業に転身した理由や仕事への思い、今後のチャレンジなどについてうかがいました。

目次

子どもたちの可能性を抑えていたフタをはずす

タイガーモブCFO上原丈弥さん

私はタイガーモブという海外インターンシップや教育プログラムなどを企画運営する会社でCFO(最高財務責任者)として働いています。CFOというのは会社の財務の責任者で、一般的には資金調達をしたり事業計画を作ったりしますが、私の場合その役割は仕事全体の3割ぐらい。後の7割は、学校などの教育機関や企業に対して海外インターンや研修プログラムなどを企画・提案し、講師として授業をするなど現場に出ています。

タイガーモブは、世界46ヵ国380の現地のスタートアップ企業とのネットワークがあります。例えば、高校生や大学生が、南アフリカのベンチャー企業でマーケターになったり、インドの教育ベンチャーでデジタル教材をつくって子どもたちに授業をしたり。コロナ禍の今はオンラインでの実施ですが、学校の授業に世界中からゲストを招くことができますし、どこからでも参加可能で、オンラインならではの魅力も感じています。

もうひとつの事業の柱が「実践型グローバル探求学習プログラム」の提供です。これは、オンライン・オフラインを問わず、地球規模で実践しながら学ぶ、子ども主体の探究学習プログラムです。2022年度から高校で「総合的な探究の時間」がスタートするにあたり、教育現場では自分の「好き」を開拓して学びを深めるという、より子どもたちが主役となって自分で学びを進めていくためのカリキュラムが求められます。しかし、それを一から設計をしたり、学校が単独で海外との繋がりを作ることはとても難しいです。そこに私たちタイガーモブの知見やネットワークが貢献できると考え、現在全国の私立中高を中心に連携と展開を進めています。

タイガーモブCFO上原丈弥さん

「オンラインで世界を旅して、問いを投げかけて自分の内面を見つめて、実践をして、振り返る」というスタイルで進めていますが、それが先生にも子どもにも新鮮で刺激的になっていると感じます。子どもたちもどんどん変わっていきます。これまでは何かやろうにも自分の身の回りでしか挑戦できなかった子が、自分から動き出すようになり、「私ってこんなことができたんだ」と、自分で可能性に気づいていけるようになります。自分でプロジェクトを立ち上げたり、起業だってできます。でも、大人は子どもの可能性にフタをしがちです。それを外してあげるのが私たちの仕事。子どもたちがどんどん成長していく姿に、私自身大きなやりがいを感じています。

この仕事の一方で、「プロボノ」(自分の専門性を生かしたボランティア)としてNPO団体の予算策定などを手伝っています。NPO法人などのソーシャルセクターにおいては、必要な部分をプロが支援することで、より社会課題の解決が図ることができます。利益を追求する会社員としてではなく、ダイレクトに社会課題を解決できる仕組みに魅力を感じ、大学4年の頃から活動しています。

公文式で磨いたビジネスに通ずる強みとは

学びにフタをしない公文式で
課題をまとめる力が身についた

タイガーモブCFO上原丈弥さん

私は長男として生まれ、どちらかというと甘やかされて育ちました。とくに父方の祖父に可愛がられ、買いたいものを何でも買ってもらえて、親からも何かを強制されることなく、のびのび育てられました。

母のすすめで公文式教室に通うようになったのは5歳のとき。公文の教室が近所にあり、通っている友人も多かったように思います。当初は算数と国語を、小学生になってからは英語も加え、中2まで続けました。

とにかく楽しかったという記憶しかありません。達成感というよりは、プリントを解いてどんどん進んでいくこと、純粋に問題を解くことがおもしろかったですね。やればやるほど知らない問題が出てくるし、進めば小学生でも大学生の勉強をしたっていい。学びにフタをしないで前に進ませてくれるシステムが、私に合っていたと思います。

公文式に通って一番感謝しているのは、教室の先生が本を読む楽しさを教えてくれたことです。プリントに出てくる物語だけでなく「こんな本も読んでみたら」と先生自身の愛読書など、いろんな本を薦めてくれました。それがきっかけで本を読むのが楽しくなり、読解力がつき、国語も得意になっていきました。高校受験前の全国模試の国語の順位が一ケタ台になったこともあります。基礎を公文式でしっかり身につけたお陰です。

今の時代、ビジネス上の課題もすぐ変わりますし、複雑さも増しています。たくさんの複雑な課題が目の前に出てきても、「今、どこに優先度を高くして向き合うべきか」と、課題の整理がすんなりできて、迷わず意思決定することができます。複雑なことを解きほぐして誰にでもわかりやすいように整理して伝えるのも得意です。こうした私の強みは、公文式学習を通して磨かれてきたものに違いありません。

資格取得の先に人生を考えたこと

「頑張っていない自分」に焦り
公認会計士の資格を在学中に取得

タイガーモブCFO上原丈弥さん

高校は、受験をして複数の大学付属の私立高校に合格し、その中で一番偏差値の高い学校に入学しました。登校したら女子がいなくて、そこで初めて男子校だと気づいたぐらい何も確認せずに決めてしまいました。

当時は、将来やりたいこともなく、その状態に悩んだり疑問を感じたりすることすらありませんでした。高校生が大人や社会から求められるのは、「いい成績」で、それをクリアすれば何も問われませんでした。何ごとも順調に進んでいたので、考える必要がありませんでした。

壁に当たったのが大学進学の頃でした。地元の友人は大学受験の勉強をしている。私は付属で勉強せずに進学できる。そこで「頑張っていないこと」への焦りを覚えるようになりました。「何をやったらいいんだろう。でも、そもそも将来が決まっていないと考えられないよな」と思うようにもなったものの、答えは見えず、「自分が得意なのは勉強だから、資格をとるのがいいだろう」と、大学へ入ると資格の勉強を始めました。医師は6年、弁護士は4年かかるので、もう少し早く取れる資格はないかと調べて見つけたのが公認会計士です。いまでこそ会計士を名乗っていますが、もともとは、会計士になりたかったわけではありませんでした。

2年生の夏休み前から本格的に勉強し、3年生の11月には合格通知を受け取りました。当時の会計士の就活は売り手市場だったので、公認会計士の資格があれば、就職はすぐに決まりました。受験校すべてに合格して好きに選べた高校受験時と同じように、就職先も選べて12月に監査法人に決めました。何も考えずに「みんなも行くから」と。今思えば、自分の将来について真剣に考えるタイミングをずっと後ろ倒しにしていました。

就職が決まっても、大学生活はまだ1年残っていたので、これまでやったことないことをやろうと、いろんなことをやりました。インターン、学生団体の活動、プログラミングなどなど・・・そうして手当たり次第やるうちに見つけたのが、「年末年始にインド合宿」でした。それにふつうなら恋人や家族と一緒に過ごす期間にインドに行くなんて変わり者が集まってくるに違いない、「おもしろそうだな」と直感的に思いました。

実は私は、高校も大学も就職もスムーズに決まり、「ふつう」に進んできた自分を変えたいと思っていました。人が変わるのは簡単ではありませんが、環境を変えれば変わるかもしれない。そう考えて参加したことが、その後の人生に大きな影響を与えることになりました。 

後編を読む

関連リンク

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後編のインタビューから

-インドで向き合った「自分」「人生」や「家族」を真剣に考えた
-強みを生かそうと監査法人に就職1年半後には「何が起こるかわからない」スタートアップへ
-生きているだけですばらしいどうすれば楽しく生きることができるか考えよう

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