子どもたちの可能性を抑えていたフタをはずす
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私はタイガーモブという海外インターンシップや教育プログラムなどを企画運営する会社でCFO(最高財務責任者)として働いています。CFOというのは会社の財務の責任者で、一般的には資金調達をしたり事業計画を作ったりしますが、私の場合その役割は仕事全体の3割ぐらい。後の7割は、学校などの教育機関や企業に対して海外インターンや研修プログラムなどを企画・提案し、講師として授業をするなど現場に出ています。
タイガーモブは、世界46ヵ国380の現地のスタートアップ企業とのネットワークがあります。例えば、高校生や大学生が、南アフリカのベンチャー企業でマーケターになったり、インドの教育ベンチャーでデジタル教材をつくって子どもたちに授業をしたり。コロナ禍の今はオンラインでの実施ですが、学校の授業に世界中からゲストを招くことができますし、どこからでも参加可能で、オンラインならではの魅力も感じています。
もうひとつの事業の柱が「実践型グローバル探求学習プログラム」の提供です。これは、オンライン・オフラインを問わず、地球規模で実践しながら学ぶ、子ども主体の探究学習プログラムです。2022年度から高校で「総合的な探究の時間」がスタートするにあたり、教育現場では自分の「好き」を開拓して学びを深めるという、より子どもたちが主役となって自分で学びを進めていくためのカリキュラムが求められます。しかし、それを一から設計をしたり、学校が単独で海外との繋がりを作ることはとても難しいです。そこに私たちタイガーモブの知見やネットワークが貢献できると考え、現在全国の私立中高を中心に連携と展開を進めています。
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「オンラインで世界を旅して、問いを投げかけて自分の内面を見つめて、実践をして、振り返る」というスタイルで進めていますが、それが先生にも子どもにも新鮮で刺激的になっていると感じます。子どもたちもどんどん変わっていきます。これまでは何かやろうにも自分の身の回りでしか挑戦できなかった子が、自分から動き出すようになり、「私ってこんなことができたんだ」と、自分で可能性に気づいていけるようになります。自分でプロジェクトを立ち上げたり、起業だってできます。でも、大人は子どもの可能性にフタをしがちです。それを外してあげるのが私たちの仕事。子どもたちがどんどん成長していく姿に、私自身大きなやりがいを感じています。
この仕事の一方で、「プロボノ」(自分の専門性を生かしたボランティア)としてNPO団体の予算策定などを手伝っています。NPO法人などのソーシャルセクターにおいては、必要な部分をプロが支援することで、より社会課題の解決が図ることができます。利益を追求する会社員としてではなく、ダイレクトに社会課題を解決できる仕組みに魅力を感じ、大学4年の頃から活動しています。