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Vol.006 2014.02.14

プロ野球選手 和田一浩さん

<後編>

挫折ミスなことも
「夢」を叶えるための
大切なプロセス

プロ野球選手

和田一浩 (わだ かずひろ)

1972年生、岐阜県出身。中日ドラゴンズ所属。県立岐阜商業高校から東北福祉大学へ。社会人野球の神戸製鋼を経て西武ライオンズに入団。2008年よりFAで地元中日へ。首位打者・最多安打(2005年)ほか多数のタイトルを持つ球界を代表するスラッガー。

プロ野球、中日ドラゴンズの中心打者として主軸を担う、和田一浩選手。遅咲きの苦労人はいかにして一流バッターになったのか。超一流のプロ野球選手の指標である2000本安打を目前にして思う、夢を叶える力とは――

目次

    社会人経験が教えてくれたコミュニケーション術

    プロ野球選手 和田一浩さん

    社会人野球からプロに入って、しかも30歳で初レギュラー。そんな自分が2000本安打を目指せるというのは本当にありがたいことです。別の見方をすれば、それが僕のペースだったということ。選手によっては高校から入ってバンバン活躍して、30代前半で2000本に到達する選手もいますし。それぞれのペースですよね。

    社会人として会社勤務を経験してよかったなと思うことはたくさんあります。あの2年間は僕にとってすごく意味あるものだった。会社に通ってサラリーマンを経験して、さまざまな人とのつながりもできました。高校からプロに入るのとはまた違った人間関係ですね。社会人経験は、プロに入ってからの同僚やコーチとのコミュニケーションの際にも生かされていると思います。

    僕はもともと人を観察するのが好きで、ついつい注目しちゃう。今はできませんが、駅のベンチに座って通り過ぎる人をずっと眺めていたいタイプです。けっこうそれ、大事だと思うんですよ。「この人はこういうことが好きかな」とか、「こういうことが嫌いそうだ」と見極めること。どんな世界もそうだと思いますが、相手の気持ちを尊重することが大切だと感じています。

    プロ野球選手として大切なこと。もちろん技術は言うまでもありません。プロはみな、野球がうまいからプロになるわけですし。だけど、人間対人間で考えたとき、相手の気持ちを思いやることこそ大切だと思います。僕らは特に人から注目される立場なので、余計に気をつけないといけません。野球選手だからといって、自分勝手にふる舞うことが許されるわけじゃない。野球場でプレーを見られるのは当たり前ですが、球場を出てからも、社会の一員として見られていることを忘れてはいけないと僕は思っています。

    いつまでも変わらない夢とは?

    夢は「野球がうまくなること」

    プロ野球選手 和田一浩さん
    © 中日ドラゴンズ

    今、僕は41歳。特に年齢を意識してはいませんが、どうしても周囲からは40代選手として扱われますし、現実として、力が落ちてくれば若い選手に取って変わられてしまいます。だからいかに若い選手に負けないくらい動くかですね。経験という面では若い選手よりも勝っていますが、結局は力ですから、この世界は。18歳だろうが40歳だろうが、闘う舞台はひとつ。つねに危機感はあります。

    だから、いつまでも「野球がうまくなりたい」という気持ちは変わらない。例えば、打率10割ができれば納得すると思いますが、10割を達成することはほぼ不可能。たとえ3割打ったとしても残りの7割は悔しい思いをしているわけです。野球は、なかなか満足する数字が出せないスポーツです。失敗が大きなウェイトを占めるので、いかにミスを減らすかが重要になってきます。だから、上手になろうとすればレベルは天井知らず。ゴールがない。少しでも野球がうまくなりたい……その思いは、初めて野球をやったころから変わらないと思います。だからこそ、やめられないのかもしれませんね。

    実際に、あと100本で2000本安打に到達します(編集部注:2013年シーズン終了時で通算1900安打)が、それが近い数字とも思ってはいません。プロになった人は、みなヒット一本打つことのむずかしさを痛感しています。それをあと100本打たなければならないんですよ。2000本安打は必ずクリアしたい目標ですが、やはり最大の目標はチームが優勝すること。勝つことの喜びは個人の記録とはまったく違いますね。みんなで成し遂げたことは本当にうれしいです。逆に勝てないということは、弱い野球しかしてこなかったということ。そういう練習しかしてこなかったということです。やってきたことは必ず結果に現れるので、同じ失敗は二度とできないなという気持ちでいます。日々勉強であり努力です。

    困難な夢を叶えるために大切なプロセスとは?

    99回キツイ思いをしても、ひとつのいいことは絶対にある

    プロ野球選手 和田一浩さん

    ファンの期待に応えることは僕たち自身の喜びです。ファンの歓声は励みになりますし、逆にヤジられてツライときもあります(笑)。でも、それは期待の裏返しですから。ヤジがなるべく歓声に変わるように努力しなければ。ヤジって実は、ほとんど聞こえているんですよ。精神的に余裕があればそこまで傷つきはしませんが、やっぱりグサっとくるときも……人間なんで。精神的にもタフじゃないと、プロとしてやっていくのはキツイですね。

    でも人生って、うまくいかないことのほうが多いじゃないですか。だいたいが思い通りにはならない。ただ、たとえ99回キツイ思いをしても、ひとつのいいことは絶対にあると思うんです。そのたったひとつのいいことをいかに目指していけるかが大事なんだと思います。夢を叶えるってそんなに簡単なものじゃないですよね。そもそも簡単だったら夢にはしないはず。困難だからこそ、夢になる。だから、挫折もミスも嫌なことも、困難な夢を叶えるためには大切なプロセスなんです。

    今、公文式学習に取り組んでいる子どもたちは、きっと人生の基礎を築いているときでしょう。「これが将来役に立つのかな?」って思いながら勉強している子も多いと思います。だけど、それが勉強なんです。自分の夢を叶えるひとつの過程だと考えてみる。そう考えればやりたくないときも乗り越えられます。一日一日の積み重ねがいかに大切かは、周りの大人が嫌というほど分かってますよ(笑)。

    結果はすぐには出ません。だから投げ出さずに続けて欲しい。今が夢への階段の一歩目二歩目という子もいるかもしれないけれど、一歩目がなければ二歩目はない。夢を叶える力、それは強く思うこと。自分はできると思い込むこと。僕も初めてホームランを打ったときの気持ちを忘れずに、これからも野球がうまくなるようにがんばりたいですね。

    関連リンク
    和田一浩オフィシャルブログ Benchan Diary

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