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Vol.588 2026.06.23

祝開講15周年―東北大学「SAC脳いきいき学部」

自分らしく取り組む!
脳の健康教室
「スマート・エイジング」

東北大学とKUMONとの共同研究をもとに、2004年に誕生した認知症予防プログラム「脳の健康教室」。自治体による「介護予防事業」としての実施を中心に、今では各種団体や法人が主催する事例も増え、現在全国約200の会場で開講されています。
「SAC脳いきいき学部※1」は、学習療法の生みの親の一人である東北大学・川島隆太教授が長年所長を務めた東北大学加齢医学研究所のスマート・エイジング研究棟にて開講されている、脳の健康教室です。
2026年に15周年を迎える教室の様子を、受講者と教室サポーター※2の声を通じて紹介します。 
 

※1 SACとは、”Smart Ageing Community(スマート・エイジング・コミュニティ)”の略称。「スマート・エイジング」は東北大学加齢医学研究所が2006年から提唱している、「年齢を重ねても人は成長し続け、より良く生きることができる」という考え方に基づき、個人と社会の両方がより賢く持続的に発展していくことを目指す概念です。
※2 受講者(地域のシニア)をサポートするボランティア。

目次

    SAC脳いきいき学部 基本情報(2026年6月現在)

    <SAC脳いきいき学部 基本情報(2026年6月現在)>
    ■2011年9月 開講(KUMON学習療法センター直営)
    ■現在は第27期(継続学習可能) 
    ■月曜日3限、火曜日3限、計6クラス(各日1限、2限は1対2型、3限は全体進行型
    ■受講者74名、教室サポーター17名

    ※1対2型…受講者2名に対して教室サポーター1名での学習。
    全体進行型…受講者3名~4名が1テーブルで同席。全体に対して教室サポーター1~複数名での学習。

    受講者インタビュー①:
    好きなことを継続していきいきと過ごしたい

    KUMONの特集番組を見て、大人もやっていてよかったんだ、と思ったと話す橋本さん
    KUMONの特集番組を見て、
    「大人もやっていていいんだと思った」と話す橋本さん

    ■橋本さん(79歳)第7期(2014年後期)から継続

    私は65歳まで働いた後、2年ほど何もしていませんでした。その頃、高齢者の認知症がずいぶん話題に出るようになって。自分は大丈夫だろうかと思っていた時に、新聞に「脳いきいき学部」の折り込みチラシが入っていたんです。「いきいき」という表現にすごくひかれて、すぐに申し込みました。

    参加してみると、教材の内容は易しいもので、これだったらできるな、と思いました。川島隆太先生も易しいものをテンポよく(速く)行うこと、そしてそれを継続することが脳にいいと言われているし、わずか10分で終わることを、ただ毎日やればいいというだけなので。

    もう12年続けていますが、生活に張りが出たという実感があります。食事と同じで、時間が来たら取り掛かるという感じで、毎日学習に取り組むことに何の苦もないんです。

    声を出して音読することがいいと思います。毎日声を出して教材を読んでいると、妻から「教室でもそんな大声で読んでいるの?」と言われます。でも、普段は老夫婦2人だけですからこんなに大きな声を出すチャンスはないんですよ。川島先生が、意味を考えなくてもいい、間違ってもいい、とにかく速く読むことがいいと言われていたので、そのようにしています。

    学習風景(手前から、橋本さん、亀ケ森さん)
    学習風景(手前から、橋本さん、亀ケ森さん)

    私の趣味は読書なのですが、特にテレビの時代劇の原作を読むことが好きなんです。これからも好きなことを継続して、前向きにいきいきと過ごしていきたいと思っています。教材を解く時間が前より速くなったとか、一つも間違いがなかったとか、そういう達成感があるから、「脳いきいき学部」もずっと続けていくと思います。

    先日、テレビのKUMONの特集番組で脳の健康教室が紹介されて、スタジオでも大人がすうじ盤をしていました。それを見て、KUMONは子どもがやるものと思っていましたが、子どもだけでなく大人の自分もやっていてよかったんだと改めて思いました。
    ※数字が書いてある盤に、同じ数字が書いてある磁石のコマを置いていくもの。

    受講者インタビュー②:
    脳いきいき学部と健康マージャンで健康維持

    教材の話の続きが読みたくて図書館で本を借りることもあると話す平本さん
    教材の話の続きが読みたくて図書館で本を借りることもある
    という平本さん

    ■平本さん(77歳)第5期(2013年後期)から継続

    退職してしばらく何もせず家にいたので、妻が私のことを邪魔になったんでしょうね(笑)。「こういうのがあるよ」と、「脳いきいき学部」のチラシを見せられて、勧められたのがきっかけです。妻は脳いきいき学部と同じフロアのフィットネスクラブに行っていたので、「脳いきいき学部」の存在を以前から知っていたようでした。

    長年続けてきて、特に変化は感じられませんが、変化がないことが効果かなと思っています。読み書き・計算にかかる時間が、13年前の最初の頃とほとんど変わらないんです。人間衰えて当たり前だから、そう考えると脳はしっかり維持できているのかなと思います。

    すうじ盤に取り組む平本さん
    すうじ盤に取り組む平本さん

    「脳いきいき学部」の気に入っているところは、毎週決まった時間に教室に行くこと。また、毎日宿題をすることが生活のリズムになっていて、いいなと思っています。教材ではオリジナルの文章のほかに、文学作品の一部を読むことがあるのですが、続きが読みたくて図書館に行って本を借りたりしています。それがまた出掛けるきっかけになっています。
    また、サポーターさんにはよくしていただいて、本当に感謝しています。「いいですね」「すごいですよ」と笑顔で言われると、やっぱり嬉しい気持ちになります。

    教室以外で取り組んでいることは健康マージャンです。仙台市にはあちこちにあるんですよ。そこでも仲間とのやりとりが楽しいです。脳いきいき学部と健康マージャンを続けて、できるだけ病気にならないようにしていきたいと思っています。

    受講者インタビュー③:
    すうじ盤100の新記録に挑戦したい

    すうじ盤が気に入っているという亀ケ森さん。独自に新聞の株式欄の数字を筆算とそろばんで計算することもしている。
    すうじ盤が気に入っているという亀ケ森さん
    独自に新聞の株式欄の数字を筆算とそろばんで計算もしている

    ■亀ケ森さん(79歳)第20期(2022年10月)から継続

    5年前に注意力に自信がなくなって、運転免許証を返納しました。その後、突発性難聴になったり、目が悪くなったり、記憶力の低下や滑舌の悪さも気になってきて、これは認知症の始まりなんじゃないかと心配していた時期がありました。そんな時に、新聞の折り込みチラシでこの「脳いきいき学部」を見つけ、自分にぴったりだと思って申し込みました。もともと、川島隆太先生の脳トレとか認知症の話には興味があったんです。

    教室に通い始めてから、集中力の継続時間が長くなったという実感があります。言葉を選ぶときのアクセスタイムが短くなって、言葉が出やすくなりました。滑舌も少しは改善したんじゃないかと思います。声を出すことが自分の脳の活性化につながっているんじゃないかな。
    簡単な問題を速く解くことで脳の前頭前野を活性化して、認知症を予防することが一番の目的ですけれど、それだけではなく、前頭前野の活性化がほかの部分にも影響して、よい効果が広がってくれることを期待しています。

    また、すうじ盤がいいですね。仕事は理数系だったのですが、仕事をしていた頃に、億を超えるような桁数の多い数字を読み上げるのに大変苦労した思いがあるんです。現在は仕事をしていませんが、数字に慣れて苦手意識を克服したいので、すうじ盤がいいと思っています。ただ、取り組み始めてから2、3年になりますけど、2分を切るのはなかなか難しいんです。

    亀ケ森さん
    教室サポーターと3人でコミュニケーション

    この教室に通うようになって、何十年ぶりにそろばんを手にしたんですよ。新聞の株式欄に掲載されている4桁の数字をA4版の紙に書き写して、二行ずつ足して、その答えをまた二行ずつ足していって、最終的に出た答えを今度は検算を兼ねて引いていく、ということを筆算とそろばんでやっています。最初は指が動かなかったんですけど、おかげさまで指先が動くようになって、今30分ぐらいでやっています。

    そして、このまま教室を続ける中で、ぜひすうじ盤の2分の壁を突破したい!これがなかなかな難しいんですが、ぜひ達成して新記録を出したいです。

    教室サポーターインタビュー:
    週に1回パワーをいただいています

    先輩方を見習ってついていきたいと話す
教室サポーターの田中さん
    「先輩方を見習ってついていきたい」と話す
    教室サポーターの田中さん

    2015年頃にサポーターになった後、コロナ禍に一度辞めているんですが、2022年にまたお声掛けいただき、復帰しました。受講者の皆さんの方が教室での経験が長い場合も多いので、皆さんに教えていただきながら、ここまで育ててもらいました。

    受講者の皆さんは、お年は召されていますけどとてもお元気で、こちらがパワーをいただいています。最初はサポートする立場でも、皆さんが学習に慣れ、楽しみながらコミュニケーションを取っていらっしゃる様子が見られると、私達もうれしいですし、それが励みになっています。

    教材に掲載されている文学作品を図書館で借りるという話がありましたね。私は図書館でアルバイトをしているのですが、教材に載っている作品の請求が入ると、脳いきいき学部の誰かが来ているのかな、と思うこともあるんです。

    教室サポーターの田中さん

    誰しも年齢とともにできなくなることが増えたり、病気になったりすることもあると思いますが、できないことを数えるのではなく、今できることに感謝していきたいと思います。ここに来ると、先輩方を見習って、ついていこうという気持ちになるんです。毎日宿題するなんて私は無理ですが、週に1回ここに来ると、ちょっとしっかりする感じです。こんな感じで明るく楽しく日々を紡いでいきたいなと思っています。

    KUMON学習療法センター担当者からのメッセージ

    学習療法センター SAC担当 岩瀬
    学習療法センター SAC担当 岩瀬

    「SAC脳いきいき学部」は2011年9月、東北大学との共同研究事業として開講しました。東日本大震災から間もない同年5月から準備を進め、「シニアが日本一元気な街・仙台」をスローガンに掲げて、今年で15年目を迎えました。

    教室では、受講者と教室サポーターの皆さんが一緒になって教室を楽しんでいます。読み書き・計算の教材とすうじ盤、そして楽しいコミュニケーションを通して脳の健康を保ち、地域ではつらつと行動・生活する「元気なシニア」を増やすことを目指しています。

    この教室に携わり皆さんの笑顔を見ていると、私も幸せな気持ちになりますし、元気をもらえます。全国の脳の健康教室でも、「SAC脳いきいき学部」と同様に、皆さんが楽しく脳の健康づくりに取り組んでいます。この輪がさらに広がるよう、これからも宮城県の皆さんとともに活動していきたいと思います。

    脳の健康教室 読み書き教材/計算教材

    <脳の健康教室とは>
    読み書き・計算・磁石すうじ盤とコミュニケーションを基本に、体操やゲーム、講話などを組み合わせた、認知症予防を目的とする教室。週1回通室し、それ以外の日は、各自自宅で宿題をします。

    受講者の脳の健康づくりや認知症予防を図るとともに、受講者同士や教室サポーターの方々が仲間になり、通いの場づくりや担い手づくり、地域のコミュニティづくりへの貢献を目指しています。

    脳の健康教室詳細はこちら

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