「勉強の仕方」を先生に相談
特待生として明治大学へ
いずれは起業しようと思っていたので、大学は国公立でも私立でもそんなに差がないと考えました。でも受験まであまり時間がないので、受験科目が少ない私立文系にねらいを定め、それぞれの勉強の方法を先生に聞きまくりました。
やみくもに勉強を始める人も多いけれど、そうではなく、最初に戦略を立ててから勉強しようと考えたんです。先生も喜んでアドバイスしてくれましたね。勉強してなかったやつが急に勉強し始めたので、先生もかわいいやつだと受け入れてくれたんじゃないですか(笑)。
普段から基本的には「活発」だったので、中高時代もそんなに先生にほめられることはなかったのですが、要所要所で自分のいいところを見出してくれる先生がいて、そういう先生によく相談していました。亀井先生と光本先生はとくに印象に残っています。そうやって自分で戦略を立てて、自分より優秀な人を抜いていくのが、ゲーム感覚で楽しかったですね。
結果、センター試験(現・共通テスト)利用入試で明治大学商学部に特待生として合格。センター試験は学年で1番でした。あるひとつのことで、しかも大事なときに1位を取れたというのは、成功体験として大きいですね。それまでは落ちこぼれかつ、見た目や服装が個性的すぎたりしてハグレモノでしたが、ツワモノになれた体験のひとつかもしれません。
大学時代は音楽活動が中心で、アカペラサークルに所属してバンドを組んでいました。大所帯でいろんな人と組むことができたのですが、すごく才能のあるボーカルの子が、バンドを組めなくてやめそうな時があったので、一緒にやろうと声をかけたんです。すると行き場がなかった人がほかにも集まってきて。そんなメンバーでグループを組んで活動を開始したら、それがすごく人気になったという経験があります。
そこで感じたのは、才能がある人が必ずしも正しい評価を受けているとは限らないということ。だからそんな才能のある人を自分の目で発掘してプロデュースしていくということは、たいへん意義のあることだと思いました。それが現在の活動につながっています。
また、バンドをSNSでプロモーションしたこともよい経験でした。どうやったらSNSがバズるか、マーケティングやセルフプロデュース法を考えたり、リーダーシップを取ったりと、プチ起業みたいな感じのことをしていました。あの経験がなければ今のようにはなっていないと思います。
ただ、「目的のために頑張った」というよりも、「好きなことを続けていたら流れにうまく乗れた」という感覚です。
「自分の心地よさ」が
自分を高みに導いてくれた

僕の人生には「こうしなきゃいけない」ということがありませんでした。直感で、自分の好きなこととか好きな人と何かをやる。その軸で様々なものごとを決めて動いてきました。「社会ではこうだから」「世間体はこうだから」ということではなくて、自分の内にあるもの、心にあるものをベースにして決定しているから、その瞬間瞬間は断片的であっても、後でつながってきたのかなと思います。
そんな自分のスタイルを紐解くと、親からは「勉強しろ」と言われたことはなく好きなことをやらせてもらいましたし、KUMONでの「自主決定」、公文国際学園で言うところの「自主自律」もそう。やっぱり「自分で決めて、自分で責任を引き受ける」ということを、無意識に幼少期からやっていたのだと思います。
きっかけは友だちがくれることが多いのですが、誰かに言われて何かをやったこともなく、「やってみたい」ということでしか、僕は意思決定をしていません。だから問題児だと言われたり、ハグレモノになってしまうのかもしれませんが、「自分の心地よさ」が自分の運気を開いて、自分を高いとこに導いてくれたと感じています。
努力して、苦労して、我慢して…ということは、僕の人生にはあまりなかったと思います。あったのかもしれませんが、夢中でやっていたから気づかなかったのかもしれません。
僕は小6の時、『野ブタ。をプロデュース』というテレビドラマにすごく感銘を受けて、自分がやりたいことは「プロデュース」なんだと気づきました。このドラマは、学校一のいじめられっ子を学校一の人気者にする物語ですが、人の評価はそれぐらい簡単に変わるし、仕掛けられるし、仕掛けることの功罪もあります。
以来、「プロデュースする」という人生の軸は変わりません。その中で大事にしてきたのは、yutoriの経営理念でもある「ハグレモノをツワモノに」ということです。まだ見つかっていない才能を見つけて、それらと社会との接点を見つけていくこと、そしてクリエイティブとして形にするということです。

今、yutoriで働く人たちの平均年齢は25歳。主役意識をもたせてあげることを大切にしていて、芸能事務所のプロデューサーという意識で接しています。「社会はこうだから」とか「この会社はこうだから」ということではなくて、一人ひとりのオーダーメイドで、才能ある人を表舞台に立たせてあげるようにしています。
yutoriでは、2027年度から新卒採用を始めます。求めるのは「やさしい・強い・面白い」人。この3つをもっている人がyutoriには合うと思います。会社は新陳代謝がすごく大事。なので、これまでと違うルートから入ってきた人が活躍することによって、お互いに刺激し合い、よりよくなるのではないかと楽しみにしています。
あるがまま
うまく波に乗り続けていきたい

KUMONを学習しているお子さんたちへのメッセージとしては、「自主自律」「自分で決めましょう」につきますね。プリントを1週間で何枚やるのか、小6までにどういう状態になっていたいのか、1学年先をやるのか、皆と同じペースでやるのか、むしろじっくり繰り返したいのか…自分の進む道は自分次第でいくらでも分岐させられます。人生は自分の「決めた」ということの連続でしかありません。
小学生でそこまで意識的にやるのはなかなか難しいと思いますが、無意識でも自分の責任で決めたということは、地固めというか、地層として積み重なっていくので、とても大事なことだと思います。自分の人生を自分の責任で決めて、楽しんでください。
「やりたいことがわからない」という子も少なくないようですが、それは他人の冷笑に負けてしまうということなんですよ。例えば僕が高校生だった頃、ボロボロの古着を着て学校に行くと冷笑されたわけです。それはその場所での共通規範から逸脱しているから。それに負けないというか、学校や今いる場所にやりたいことを楽しめる友だちがいないのであれば、楽しめる場所、コミュニティを自分から探しに行けばいいんです。

僕の場合は、服好きの友だちがいたことが大きかったし、原宿の古着屋でつながった友だちもいました。そういえば、僕はKUMONの進度上位者のつどい※でも友だちをつくっていました。友だちをつくる才能はあるんでしょうね。ひとりで好きなことをしていたら、何か言われたら落ち込むかもしれませんが、友だちがいれば「あいつもそうだし」と確認し合えます。誰にでも絶対に好きなことややりたいことはある。それを「常識的」に修正してしまうことの方が問題だと思います。
※かつてあった、学習進度が学年を大きく超えている生徒が招待されるイベント
yutoriの今期(2026年3月決算)の売上予測は131億円。あと1~2年で200億にする。それが僕の今の目標です。でも長期的な、先のことはあまり考えていません。いいところも悪いところもありのまま、自分の中にあるということが大事だという「タオイズム」という考え方がありますが、この言葉の通り、あるがまま、うまく波に乗り続けられたらいいなと思っています。
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前編のインタビューから -お金・人脈・スキルなし 資本金10万円で起業 |









