歌舞伎で演じられた金太郎
最初にご紹介するのは、歌舞伎で演じられた金太郎の姿を描いたこちらの作品。描かれているのは、歌舞伎舞踊・常磐津「薪荷雪間〈たきぎおうゆきま〉の市川」のワンシーンです。
画面中央でクマを担いだまま見得を切る※のが、怪童丸こと金太郎です。そして金太郎の左右に描かれているのは、金太郎に抑え込まれた、ウサギやクマ、サル、シカなどの衣装を着た役者たち。木の幹の挟み込まれている姿は芝居がかっており、何ともユーモラスですね。そして画面左の女性は金太郎の母親である山姥〈やまんば〉、右は怪童丸の強さを聞きつけた源頼光の家臣、三田仕〈みたのつごう〉です。
※見得を切る=歌舞伎役者が演目の重要な場面で特徴的なポーズや表情のまま動きを止める、観客に強い印象を残す所作のこと。
様々な伝説が複合して成立したと言われている金太郎ですが、広く世の中に知られるようになったのは江戸時代のこと。このような歌舞伎の演目などを通じて、広く庶民に知られるようになっていったと言われています。
アニメキャラに通じる
金太郎の魅力
次は「八頭身美人」というスタイルを“発明”して一世を風靡した絵師・鳥居清長と、その門弟である二代鳥居清満による、金太郎絵の競演です。「節分に鬼退治をする金太郎」というモチーフの浮世絵は江戸時代に数多く描かれましたが、この師弟の描いた金太郎はとても対照的です。
師匠である清長が描いた金太郎は、文字通り鬼を「手玉に取って」放り投げる勇ましいもの。しかし一方の二代清満が描く金太郎は、鬼を退治するどころか、鬼と一緒になって双六遊びに夢中になっています。金太郎は怪力の持ち主だとはいえ、年齢的にはまだまだ子どもですからね。
またどちらの絵でも、金太郎と鬼との間に敵対するような憎しみは感じられず、どこか心が通い合っているように見えるのも面白いところ。幼いころから山の中で動物たちを遊び相手にして育ってきた金太郎ですから、動物や鬼たちとも意思疎通ができる不思議な能力を持っていたのでしょう。
双六遊びを描いた二代清満の作品など、「俺たち何も悪いことしてないのに、毎年節分になると豆をぶつけられるの、ちょっと悲しいんだよね」なんていう鬼たちの愚痴を、金太郎が聞いてあげているようにもみえます。
この金太郎の、子どもらしさと強さ、そして不思議な能力を併せもつ「ちぐはぐさ」は、現代のマンガ・アニメの人気キャラクターとも共通している要素のようにも思えます。











