公文の理念に通じる、SDGsの第4目標「質の高い教育をみんなに」
吉田:すでに気になるキーワードが数々出てきましたが、BRACと協力というのは着眼点が素晴らしいですね。
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徳永:先ごろ、創始者が掲げていた理念に立ち返る機会があったのですが、その言葉というのが「われわれは 個々の人間に与えられている可能性を発見し その能力を最大限に伸ばすことにより 健全にして有能な人材の育成をはかり 地球社会に貢献する」なんです。
実は私も入社当時は、社会人になって「地球社会に貢献」という言葉を口にすることには戸惑いがあって、気恥ずかしかった記憶があります。しかし、それが創始者の想いであり、ここに向かって活動しているんだと改めて振り返るようになりました。近ごろはSDGsと発するたびに、一人ひとりが創始者の想いと照らし合わせながら、どこに向かって活動しているのか、私たちに何ができるのか模索している最中です。
吉田:このところ業務としてSDGsに携わる方々も増えておりますが、「わが社がやっていることは実は前からSDGs的なことなんだ」と気づかれるところがかなり多いのではないかと思うんです。
SDGsは便宜上、世界の開発や発展という枠組みの形を取っていますが、一番の問題は我々の日々の営みをどうするのかということなんですね。
日本が自然や、人と人同士、また他国も含めてどのように関わって生活してきたか、日本が大切にしているものが、SDGsが求めているものと親和性が高いとか共鳴するものもたくさんあるのです。自分たちが誇りを持っているけど当然のものと見なしていたことを、SDGsを機に見直し、発信してみるのもいいと思います。
そこで立ち止まってみると、SDGs的文脈で語られる“インクルージョン” (多様な人々が互いに個性を認め、一体感を持って働いている状態)を理解した上でやっていたのか?あるいは、長年培ってきたなかで、もうその恩恵にあやかっているから何がいいのか特に気にしたことがないのか、もしくは、なぜ実現できていたのか理解できているか、など様々なことがわかると思います。
私たちの教育の領域でも、何がいいのか特別気にしたことはないですが、外国から見ると日本型の授業研究がいいと言われるような部分があります。たとえば「どうして日本は先生と先生の間に信頼関係ができているんですか?」と聞かれても、「以前からそういうものなんです」としか答えられないわけですよ。
徳永:確かに、そういうところは往々にしてありますね。