学習療法は親子の絆
渋谷忠男さんとお母様のマサさん(85歳)は3年半前からほぼ毎日、学習療法の「読み書き」と「計算」のプリント、磁石すうじ盤を続けています。マサさんのご様子について伺いました。
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「年齢的な物忘れや体調があまりよくない日などはあっても、学習療法をやっているから自分は元気なんだという自覚があるようです。読み書き教材で一部が載っている作品の続きを読みたいと言うので、本を何冊も買ってあげました。元々本を読むのが好きでしたが、学習療法で挑戦意欲が増したようです。磁石すうじ盤でも自分の記録に挑戦するのが楽しいようです。100までの数字のコマを並べるのに、私でも3分かかるのに、2分を切ることもあります。学習療法はだいたい、毎朝体操後にすることが習慣化されました。母にとって学習療法は生活のいいメリハリになっています。おかげで今でも要介護認定を受けることはなく、夕飯の支度は現役です」
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在宅コースではご家庭で学習支援をする方を「パートナー」と呼びますが、高齢者福祉に携わる渋谷忠男さんはどのようなパートナーでしょうか。
「私はもともと家族と一緒にいることがあまり得意ではありませんでしたが、在宅コースを始めてから家族で集うことの大切さを知りました。同居する母の変化に最初に気づいたのは妻です。『学習の日はお母様の夕食が手の込んだ料理になる』と言われ、私の母への接し方が変わりました。もっと優しくなれる気がしたのです。母にはいい方向に変化し、体や脳の機能を維持してほしい。そう思うと母とのコミュニケーションの回数が増えました」
学習療法は心の友だち
二人目のパートナーは子どもの頃公文式学習者だったという小林昌子(しょうこ)さんです。隣に住むお母様の芳子さん(89歳)と半年前から在宅コースを開始し、毎日学習しています。学習療法について芳子さんはどのようにとらえているのでしょうか。小林さんに伺いました。
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「母は一人きりで家の中にいることが多いです。でも今日、用がある、そして自分一人でできる。このことがとても大事であり、学習療法は頭の薬になっていると思います。母は『私これができるからまだ大丈夫』とよく独り言を言いながら学習しています。母にとって学習療法は自分を近くで見ていてくれる心の友だちなのかもしれません。学習時間は決まっていませんが、体の薬と一緒だから毎日やるのが必要だと言って学習しています。私も毎日やることを忘れないようにするために、お薬ポケットと同じように、公文ポケットをクリアファイルでつくりました。その効果もあって私が声をかけなくても毎日忘れずにしてくれています。私が子どもの頃は『毎日公文をするのよ』と母が私に言っていました。今度は逆の立場ですが、学習習慣をつけることの大切さはわかっているのだろうなと感じます。コロナ禍で一緒にいられないことが増えている今、毎日シンプルに継続できることを通して、母の状態を知ることができるのはとてもありがたいなと思います」
学習療法の効果についてもお話しくださいました。
「体調不良を訴える回数が確実に減りましたね。金融機関では家族が代筆せずに本人が自分で伝票を書いています。そんな母を見ていて、『自信と意欲、誇りをもてる』、これが学習療法の良さだと実感しました。ケアマネジャーさんには自分一人で生活できることを自慢しています。そんな母を見ることが私はとてもうれしいのです」
オンラインでのパートナー研修会がいよいよ始まります
在宅コースは、学習療法センターが行う「学習療法パートナー研修会」を受講し、認知症や学習療法について学んだ方(パートナー)が、3親等以内の親族を対象に行います。新型コロナ感染症の影響で一旦中止となっていた「パートナー研修会」ですが、2021年10月からオンライン形式での研修が始まります。研修会では、学習療法の理論の礎となった東北大学・川島隆太教授による脳科学理論を学び、認知症サポート医の田仲みすず先生とともに「認知症の方にどう向き合えばいいのか」を考えていきます。在宅コースの利用を検討されている方だけでなく、超高齢社会を元気に生きるヒントを得ていただく場です。ご興味のある方は下記関連リンクより、学習療法センターの公式サイトをご覧ください。
まずは試してみたいなら・・・『脳を鍛える学習療法ドリル』
![]() 「読み書き」「計算」が各3レベルあります |
親の認知症は心配だけど、まずは試してから検討したいという方には、『脳を鍛える学習療法ドリル』(くもん出版)を購入し、一緒にやってみるという方法があります。
やや軽めの認知症の方向け、中程度の方向け、やや重めの方向けの3レベルがありますが、「1枚1分以内で100点がとれそうなもの」をめやすに、購入する際にはらくらくスラスラ楽しんでできそうなものを選ぶようにしてください。
学習療法センターでは、ご高齢者が地域で暮らし続けられるよう今後も活動を推進してまいります。
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