目の前の患者さんと向き合う「医療の原点」が評価された/布施医師会 松山浩吉会長
松山会長は 「脳の健康教室 頑張るのぉ」の名付親 |
赤ひげ大賞は創設されてまだ歴史が浅いものです。大学病院は研究や最先端医療等に対して様々な賞がありますが、認知症や緩和ケアのような目の前の患者さんと地道に向き合う医療を評価しようというものはそれまでありませんでした。大阪府医師会から「ふさわしい方を推薦してください」と呼びかけがあったときに、今回は自信を持って田仲先生を推薦いたしました。惜しくも大賞の5名には入りませんでしたが、功労賞に選ばれたことはとても誇らしく嬉しく思っています。
田仲先生との出会いは7年前、私が副会長の時です。私は耳鼻科医ですが、田仲先生が理事として加わり、医師会のなかで認知症や緩和ケア、在宅ケアについての勉強会や本を紹介してくれて、ずいぶん勉強しました。いつもパワーをいただいています。映画『僕がジョンと呼ばれるまで』の地域上映会や東北大学川島隆太教授の市民講演会なども田仲先生が音頭を取って形にすることができましたし、それが東大阪市での脳の健康教室開講につながりました。今の日本ではこのような地道な医療が求められており、田仲先生はその意味で最先端です。今回の受賞は、まさに今、花開いたのだと感じています。
医師会は開業医の集まりであり、まずは会員の先生方の多面にわたるサポートが前提ではありますが、田仲先生のような、高齢社会を支えていこうという熱意を持った医師を支えるのが、これからの医師会の役目だと思っています。
実現したいことは言い続けること、そして待つこと/田仲みすず先生
田仲みすず先生 |
「生きる質をどう高めるか」が医師である私の長年のテーマです。2007年、学習療法に出合い「これや!」と運命を感じました。介護老人保健施設(老健)の施設長として学習療法を導入し、効果を体験したのち、それまで42年間地域を支えてきた父の医院を承継しました。老健の入所者には認知症の方も多く、困っているご家族のお話もたくさんうかがった経験から、「本人のココロを考え、ご家族に伝える」、そんな家族教育に力を入れた「もの忘れ外来」をスタートしました。そこでさらに非薬物療法の一つとして学習療法を活用する必要性を実感し、認知症サポーター養成講座や認知症の講演時には学習療法について触れ、普及に努めたのです。
脳の健康教室にて 東大阪市より布施医師会が委託を受け 2019年から3年間実施 |
「脳の健康教室が近くににあってほしい」という思いはずっとありましたが、当初はまさか、市の一般介護予防事業として医師会が委託を受けて開講できるなんて、思ってもいませんでした。脳の健康教室は受講者だけでなく、ボランティアとして関わるサポーターの脳も活性化することが示されており、地域高齢者の活躍・生きがいの場になることも期待できます。今後は、受講者やサポーターが核となり、東大阪市の各所で脳の健康教室が開催されること、そして日本全国に取り組みが広がることを目指しており、布施医師会としてもそんな取り組みを支援したいと思っています。
実現させたいと思ったら、言い続けること。言い続けるって大事だなと思いました。そしてじっと待つ、急がず。しばらくほっとく。芽が出たなと思ったらしっかりと水をあげる。ずっと言い続けたことがこの2~3年で形となり、今回の賞は思いがけないプレゼントとなりました。医師会をはじめ支えてくれたみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。
田仲みすず先生が講師を務める「学習療法パートナー研修会」を定期的にオンラインで開催しています。
詳細・申込は下記まで
→研修会について | 学習療法パートナー
関連リンク もり内科クリニック院長/布施医師会(東大阪市)理事 田仲みすず先生|KUMON now! スペシャルインタビュー 日本医師会 赤ひげ大賞 一般社団法人 布施医師会 学習療法センター