かつて痴呆症と言われていた「認知症」は、一度症状が出ると改善は臨めないと考えられていました。しかし2001年から3年間にわたる東北大学・道海永寿会・KUMONの三者による共同研究の結果、読み書き・計算、コミュニケーションが脳の前頭前野を活性化し、認知症の維持・改善に効果があることが明らかになりました。「学習療法」により認知症は「治る病気」だというイメージに変わりつつあります。
認知症の維持・改善に寄与し、高齢者の自信や意欲、誇りを引き出す「学習療法」の誕生は、ある二人との出会いなくしては語れません。お一人は東北大学の川島隆太教授。最初は「読み書き・計算」が子どもの脳の発達に及ぼす影響を調べようとしていたので、高齢者を研究対象としたのは偶然の産物でした。しかし、研究を進めると、高齢者に驚くほどの改善がみられ、高齢者の脳機能におよぼす効果が科学的に立証されました。
もう一人の立役者は社会福祉法人・道海永寿会の総所長の山崎律美さん。介護老人福祉施設・永寿園の園長として学習療法の実証実験にご協力いただき、学習療法を介した認知症ケアの質の向上やスタッフの人材育成に務めていらっしゃいます。山崎総所長は、高齢者をどのようにサポートできるかを考えて対応してくれるような職員たちが多く出てくるのが夢だと語ります。
学習療法の理論は「脳の健康教室」として認知症予防にも役立っています。10年以上の実践を経て、今では、学習療法・脳の健康教室はご本人だけではなく、ご家族、施設スタッフ、施設ケアや地域づくりにも良い影響をもたらしています。
川島教授や山崎総所長へのインタビューやいきいきと高齢者介護に携わるスタッフの姿を通して、学習療法の起こりについてお伝えします。
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学習療法センター