65歳以上の高齢者人口3,588万人、100歳以上の高齢者8万人、いずれも過去最多を更新した2020年。 学習療法は、超高齢社会の中、脳の前頭前野を活性化し、高齢者の方々がその人らしく、いきいきとした生活を送るための非薬物療法として、全国約1,300の高齢者施設で活用されています。
マスクを外しても安全が確保できるように
もともと高齢者福祉施設では、食事や入浴、排泄介助など「密接」になる場面が多くあります。各施設では日頃よりインフルエンザやノロウイルスなどの感染予防に取り組まれていますが、今年は特に、外出の自粛など日常生活の変化で、高齢者にはさまざまな影響があったと言われています。そのような状況下で、日常のケアとともに学習療法を継続されている施設が数多くあります。
![]() アクリルの衝立とコの字型の配置 |
学習療法は、学習療法実践士の資格をもつ職員が高齢者と楽しくコミュニケーションをしながら行われます。ボランティアによる集団レクリエーションや外出などの楽しみが減る中、読み書き教材を題材にして思い出を語り合い、計算で大きな丸や100点をもらい、すうじ盤のコマをテンポよく並べる学習療法は、ご高齢者にとって楽しい時間となっています。
認知症の方は暑い、聞き取りづらい、表情が見えないなどの理由でマスクを外してしまうことがあるそうです。そこでマスクなしでも安全を確保できるように、アクリルの衝立を入れたり、テーブルの配置をコの字型にして職員との距離を広げたりしています。職員手作りの飛沫防止パーティションを設置した施設では、お互いに口の動きや表情が見られて大変好評だったそうです。新しい生活様式の中、導入施設では様々な工夫をしながら、学習療法を通して意識的な会話をすることで、ご高齢者に笑顔で過ごしていただくことを大切にしています。
ご家族とのつながり
![]() ご家族からのお便りに喜ぶ職員たち |
特別養護老人ホームのような入居施設では、外部との接触を避けるためにご家族との面会を制限することもあります。その一つ岐阜県にある施設では、学習中のコミュニケーションで得た貴重なお話や日々の生活の様子を伝えることでご家族とのつながりを大切にしています。ご家族から「元気で安心している」「感染から守ってくださっていることに感謝しかない」というご返信もあり、スタッフのモチベーションアップにつながっています。
ご利用者やご入居者を感染させない、感染を広げないという緊張感の中で、介護に携わる方々は、ご高齢者がその人らしく、いきいきとした生活を送れるよう務めています。学習療法センターでは、これからも導入施設の方々と力を合わせ、一人でも多くの人に学習療法で得られる喜びを届けていきます。
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